Column

週刊せり高校野球【神奈川“同名対決”を見てきました!】

2017.05.12

 みなさん、こんにちは!『バトルスタディーズ』×高校野球ドットコム「強い者にはワケがあるキャンペーン」公式レポーターの芹 玲那です。

 皆さん、こんにちは!
『バトルスタディーズ』×高校野球ドットコム「強い者にはワケがあるキャンペーン」公式レポーターの芹玲那です。

 春季大会も大詰め。5月20日から茨城県で開催される春季関東地区大会の組み合わせもついに決定しました。
なんと今年の関東地区の春季大会は、東京、神奈川、埼玉、群馬の4都県の決勝戦が1点差ゲームになる大接戦!

 私はこのうち南関東3都県の決勝を球場で観戦しましたが、毎年甲子園への切符を争っているライバル校同士の対決に、多くの方が球場を訪れ、その熱戦に球場は大変盛り上がっていました!

 そんな中、神奈川県大会でちょっと珍しい対決が実現したのをご存知でしょうか?
それは学校の読み方が同じという『同名対決』です!
週刊せり高校野球第四回では、同名対決ならではの観戦の面白さについてご紹介したいと思います。

アナウンスはどうなる!?

週刊せり高校野球【神奈川“同名対決”を見てきました!】 | 高校野球ドットコム

立花学園のユニフォーム

 「同名対決」が実現したのは、4月20日に[stadium]海老名運動公園野球場[/stadium]にて行われた春季神奈川県大会3回戦、橘学苑立花学園戦です。
そう、「たちばながくえん」対決です!

 私はこの対戦が決まった時に、真っ先に観戦したいと思いました。
それはなぜかって?
まず「アナウンスはどうなるの?聞いてみたい!」と思ったからです!
野球観戦されるほとんどの方はウグイス嬢の方の声に耳を傾けますよね。

 高校野球の地方大会の多くは野球部のマネージャーの方や放送部員の方がウグイス嬢を担当します。
高校生とは思えないほど大人っぽいアナウンスをする方、高校生らしい初々しく明るいアナウンスをする方…十人十色のアナウンスを聴くことができるのも高校野球の魅力だと私は思っています。

 その楽しみに加えて、同名対決だとどういった風にアナウンスされるのか――
これは是非とも球場で確かめたいと思い海老名運動公園野球場へと向かいました!

 もちろんこの2校、読み方が同じだけではありません。
両校ともに近年実力をつけてきている新鋭の注目校なんです。全国屈指の激戦区である神奈川県内でも立花学園は過去10回ベスト8入りし、2005年秋には神奈川県の「21世紀枠」候補に選出されています。橘学苑も2010年春にベスト4入りして夏の第一シードを獲得するなど活躍が光っています。

 橘学苑は、横浜市鶴見区にある学校で、以前は女子高校。
2006年に全面男女共学となり、野球部が創部されました。
創部と同時に現監督である石黒滉二監督(桐蔭学園‐東海大)が就任し、2009年夏に神奈川県ベスト16入り。同年秋にベスト8。
2010年春にベスト4入りした時には、センバツ帰りの東海大相模を破りました!

 立花学園は、足柄上郡松田町にあり、野球部は1972年創部。
菅野敦史現監督(横浜商業‐立教大)は、96年横浜商業の監督時代に秋季神奈川県大会優勝、関東大会準優勝。翌春のセンバツ出場へ導いた名将です!
2011年に立花学園の監督に就任されてからも、就任3年間で県ベスト16入り4回、ベスト8入り2回。
毎年強いチームを作り上げてくると定評があるチームだそうです。

 そんな2校の「同名対決」は、実は過去にも一度ありました。
2011年秋季大会の時に対戦し、その時は8対2で立花学園が勝利。
頭角を現してきた2校の6年ぶりの対戦というのもワクワクしますね!

 [stadium]海老名球場[/stadium]に到着すると、平日だったのでお客さんの数は少なめでしたが、高校野球ファンの方や、両校の野球部員や保護者の方の「勝つぞ!」熱気に溢れています。そして、いよいよ注目のアナウンスが始まりました。普通の試合では学校名を言うだけ。
同名のときはどうなるのか!? 

[page_break:同名対決のアナウンスの場合はこうやります!]

同名対決のアナウンスの場合はこうやります!

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橘学苑のユニフォーム

 そのときの私の心境を例えるなら、「9回裏二死満塁フルカウント。一打サヨナラのチャンスが訪れた」時のようなドキドキ感。
私は全神経を耳に傾けて聞き入ります。
凛としたウグイス嬢の声が流れます。

 「試合に先立ちまして、両校のスターティングメンバーを発表します」
「先攻、松田町・立花学園、1番~」「対します後攻、横浜・橘学苑、1番~」

 なるほど!! 音声だけでは区別できないので、学校のある地名を頭につけるんだ!!
ああ、観に来てよかった!!

 このアナウンスが流れた時、スタンドには「やっぱり」「なるほど」と呟いたり、くすりと笑う方がちらほら…。私と同じくちょっとコアな高校野球の楽しみ方をしている方がいらっしゃいました!

 それから、私がこの「同名対決」をご紹介したいと思った理由がもうひとつ。
「同名対決」ならではの“ライバル関係”が生まれるのではないかと思ったからです!

 実際2度目の“たちばながくえん”対決は、最後までどうなるか分からない良い試合でした。
まず先制点は4回表、立花学園の攻撃。
二死から3番・宮台選手が死球で出塁すると、4番・金井選手、5番・日暮選手、6番・小山選手の連続安打で2点を先制します。

 ですが、その裏から橘学苑がすぐさま反撃開始。
4番船岡選手が四球で出塁し、5番・渡邉選手、6番・米田選手の安打で一死満塁!
7番・麦田選手のショートゴロの間に船岡選手がホームに生還し一点を返します。
5回からは両チームともエースが登板し、力投!

 結果は、5回裏に橘学苑立花学園エース・近松選手の立ち上がりを攻め、逆転した橘学苑が4対2で前回のリベンジを果たしました。
これで対戦成績は一勝一敗。
実力は拮抗しているように見えましたし、次回もこの対戦を観たくなるような試合でした!

[page_break:全国大会でも行われる「同名対決」]

全国大会でも行われる「同名対決」

 実は夏の甲子園でも「同名対決」が過去に2度あったんです。
長崎海星(長崎)vs三重海星(三重)です!

 こちらは県名もアナウンスされるのは勿論、漢字名まで同じだった為、スコアボードには
「長・海星」「三・海星」と表示。
一度目の対戦は、1972年第54回大会の初戦で、2対0で長崎・長崎海星が勝利。
二度目は、1989年第71回大会の二回戦。この時は10対2で三重・三重海星が勝利しました。
こちらも対戦成績は一勝一敗。

 そして驚くことに、甲子園で長崎県勢と三重県勢の対戦は過去この“海星”対決しかないそうです!
同じ大会に代表校として揃うのもかなり珍しいはずなのに、この偶然はすごいですよね。
“何が起こるか分からない”といわれる高校野球だからこそ、「同校対決」にはなにか特別なライバル関係が生まれるのではないか、と思わず期待してしまいます。
そういった意味でも「同名対決」は高校野球の注目ポイントとしてご紹介しておきたかったのです!

 アナウンス、ライバル対決…と「同名対決」の試合には観戦を楽しめるポイントが沢山あります。
また、今回は試合に熱中し過ぎてしまいチェックしそびれてしまったのですが、両校の応援…エール交換も是非チェックしたいポイントですよね!
今回ご紹介した「たちばながくえん」対決や「海星」対決は勿論、全国には同県内でも他県でも同名の学校があり、再び「同名対決」が実現される可能性が十分あるんです。

 例えば、2014年第96回選手権大会では、惜しくも対決は叶いませんでしたが、大会第5日目の同じ日に島根・開星と長崎・長崎海星が登場しました。
また、福岡県内には福岡光陵高校、高稜高校と「こうりょう」が2校あります。
県内は勿論、甲子園で広島・広陵高校と対戦…なんて可能性もありますね!

 上記はほんの一例です。
「同名対決」が実現した時は、是非球場でこの対決ならではの楽しさを体感してみて頂きたいです!
私もこの「同名対決」をこれからも追いかけていきたいと思います!

 今回は、少しコアな高校野球観戦の楽しみ方についてお届けしましたが、いかがでしたか?
第五回では、とある学校の素晴らしいと思ったチームでの取り組みについてご紹介したいと思います。
次回も宜しくお願いします!それでは、また!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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