週刊せり高校野球【清宮幸太郎選手だけじゃない!西東京にいた逸材】
みなさん、こんにちは!『バトルスタディーズ』×高校野球ドットコム「強い者にはワケがあるキャンペーン」公式レポーターの芹 玲那です。
春季東京都大会は、この原稿を書いている段階で残すは決勝のみとなりました。早稲田実業対日大三という秋季大会決勝の再戦が早くも実現!しかも、舞台は再び神宮球場です。劇的な試合となった、昨年11月3日の決戦戦。私は外野席で観戦していました。
ナイター照明が灯る中、野村大樹選手(早稲田実業)のサヨナラ本塁打、沸き上がる球場――。
決勝当日、神宮球場へ入るだけであの感動が蘇ってきそうです!
締め切りの都合上、この記事が公開されているころには、結果が出ていることでしょう。センバツを経験して春季大会に挑んだこの2校の戦いぶりは次回触れたいと思っています。
連載第2回目となる今回は、私が春季東京都大会を観戦する中で“もっと脚光を浴びるべき”と感じた注目の選手をご紹介したいと思います!
春季東京都大会で存在感をみせた小玉佳吾選手(東海大菅生)
今大会でも本塁打を放ち、高校通算82号まで伸ばした清宮幸太郎選手(早稲田実業)や櫻井周斗選手(日大三)らドラフト注目選手の活躍が光っています。ですが、同じ西東京地区だけでも、もっと脚光を浴びるべき注目選手たちがいるのです。その中で私が最も気になったのは、東海大菅生の小玉佳吾選手です!
小玉選手は「ドラフト戦線に急浮上」してきた選手としてインタビュー記事も掲載されています!
【インタビュー記事】ドラフト戦線に急浮上!東海大菅生の右腕・小玉佳吾に熱視線!
東海大菅生は東京都あきる野市にある学校で、1983年創立。春夏通算5回の甲子園出場を誇り、2014年から3年連続西東京大会準優勝という西東京屈指の強豪校です。中日などで活躍した元プロ野球選手の若林弘泰監督の指導により“多くの逸材輩出が期待できる学校”として高校野球ドットコムでも紹介されています。
そんな若林監督が「活躍してもらわなければならない選手」と期待を寄せるのが小玉選手です。高校野球ドットコムのスカウト部長と呼ばれる河嶋副編集長も「17年ぶりの夏の甲子園出場へ小玉選手の存在は欠かせない」と熱視線を送っています!
私が今季小玉選手を初めて観たのは4月10日、ダイワハウススタジアム八王子にて行われた春季東京都大会4回戦の東海大菅生と日大三戦(試合記事)。2年春から公式戦へ出場していた小玉選手がついにヴェールを脱ぎました!
[page_break:小玉選手に注目したキッカケ]小玉選手に注目したキッカケ
小玉佳吾選手(東海大菅生)
エースナンバーを背負っている小玉選手ですが、若林監督は小玉選手の野手としての能力も高く評価しているそうで、この日も「4番・セカンド」としてスタメン出場。注目するきっかけとなったのは、3回裏の5番・比留間海斗選手のライト前へ抜けるかというヒット性の当たりを好捕したプレーです。
打球に素早く追いつき、グラブからボールがこぼれてもすぐさま右手でキャッチして送球。その華麗なプレーに私は思わず歓声を上げてしまいました!
このプレーを見て、小玉選手に俄然興味がわきました。なぜなら彼は、守備以外にもいろいろな“肩書き”があるのです。
・背番号はエースナンバーの「1」
・打順は4番
・そしてチームの主将!
エースとして、春季大会のここまでの試合すべて二桁得点と圧倒的な力をみせる日大三打線をどう抑えるのか。4番打者として全国屈指の左腕・櫻井周斗選手に対してどんなバッティングをするのか。そして主将として、チームをどう鼓舞し、日大三に挑むのか――。小玉選手のプレーをもっともっと見てみたいと目を魅かれるようになりました。
まず、4番打者として活躍をみせたのは、4対1と日大三リードで迎えた7回裏です。東海大菅生は、センバツ後公式戦初登板となった櫻井選手にここまでわずか1安打に抑えられていました。4回以降、三者凡退の回が続き、球場には「このまま打てないのでは」という雰囲気も――。
そんな空気を打ち破ったのが小玉選手でした。この回先頭打者だった小玉選手は見事ライトオーバーの二塁打!櫻井選手の球をあそこまで飛ばすのを観たのは秋季大会決勝の早稲田実業戦やセンバツ一回戦の履正社戦以来でしょうか…!
続く5番・奥村治選手のレフト前ヒットで小玉選手は本塁を突きましたが惜しくもアウト。しかし、東海大菅生はこの回1点を返します!この回から東海大菅生の反撃が始まりました。そして、チームを勢いづかせるプレーはその後のピッチングでも続きました。
[page_break:熱い学校でもっとも熱い小玉選手!]熱い学校でもっとも熱い小玉選手!
東海大菅生ナイン
8回表から5番手としてマウンドに上がった小玉選手はいきなり上位打線との対決。一球投げるごとに聞こえてくる気合いの声。好投手の揃う東海大菅生の投手陣の中でも、球速は一番早く感じました。
そして、打者としても素晴らしい日大三の3番・櫻井選手への初球。小玉選手の投げる時の声がスタンドにも響いてきて、さらに球速が上がった球、投げた後の「どうだ!」と言わんばかりに拳を握りしめている姿。ギアを上げたのが伝わってきました!
それは、4番・金成麗生選手に対しても続きました。このとき、球速は最速142キロを記録していたそうです。今まで様々な投手を見てきましたが、ここまで一球ごとにマウンド上で熱い感情を表に出す選手はあまり出会ったことがありませんでした。
私は、このひとつのプレーに素直に、熱く向き合っていく小玉選手のプレーに自然とエールを送りたくなっていました。実は、東海大菅生は、とても“熱い”学校です。選手たちだけでなく、応援団も熱いんです。メガホンを使った大声量の応援歌、「○○行けよー!」と絶えず選手に送られる声援!
熱い学校でもっとも熱い小玉選手。活気溢れる東海大菅生を纏める主将に相応しい選手だと思いました!
若林監督は小玉選手のことを「練習も真面目にやり、取り組む姿勢もいい」と語っているそうなので、機会があればぜひ試合以外での主将としての立ち振る舞いや心構えも伺ってみたくなりました。
この試合は惜しくも4対3の1点差で敗れてしまいましたが、試合後に「今日負けた悔しさを糧に、練習をして、本当に甲子園に出たいです。チャンスで打てなかったので夏は打てるように頑張っていきたい」と話した小玉選手。
東海大菅生に入部してから、毎年あと一歩で甲子園に届かなかった悔しさを経験し、涙する先輩の姿を近くで見てきたからこそ、甲子園にかける想いはとても強いと思います。
夏までに「勝負強い選手になってほしい」という監督の期待にもきっと応えられる選手です!走攻守&熱血さの4拍子そろったプレイヤー・小玉佳吾選手の最後の夏に是非注目して見て下さい!
週刊せり高校野球、第二回はドラフト候補選手紹介でした!第三回は、早稲田実業と日大三をピックアップします。センバツを経験した両校が得たものとは?強さのワケに迫っていきたいと思います。
それではまた次回お会いしましょう!
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