3月27日から関東地区14会場で開催された、ボーイズリーグの全国大会「スターゼンカップ 第53回日本少年野球春季全国大会」。5度目の出場となった大分明野ボーイズは、主将でエースの林田 滉生選手(3年)を中心に高いチームワークで勝ち上がっていったが、特に目を引いたのは積極果敢な走塁だ。

 選手たちは常に次の塁を狙う姿勢を見せ、少しでも隙があれば一気に次を陥れる。相手投手はリズムを崩し、また野手もプレッシャーからミスが出てしまう。高校野球界で一世を風靡した、健大高崎の「機動破壊」を彷彿させる攻めを見せた。

 指揮官の吉川真仁監督は、いかにしてこの積極果敢な走塁をチームに根付かせたのか。

毎回1時間、シーズン問わず走塁練習を実施



走塁練習の模様

 大分県大分市、乙津川高田橋河川グラウンドで活動を行う大分明野ボーイズ。すぐ側には室内練習場も完成し、平日や雨の日も、ここで練習ができるようになった。約4年前に監督に就任した指揮官は、強豪がひしめく大分県をいかにして勝ち抜くか、常に考えてきたと言い、その中で他とは一線を画した指導法を実戦し続けてきた。

 その一つが、徹底した「走塁への高い意識」だった。

 他のチームとの能力差をいかにして埋めていくか。ノーサイン野球や座学など、定石にとらわれないチーム作りを行うなかで、走塁力を突き詰める野球にたどり着いた。

「ノーサイン野球には、選手にしか感じれない雰囲気を感じてもらうメリットがあったり、座学で野球を教えることも、今でも結構な頻度で行っています。近くの公民館を借りて、基本的なルールも教えますし。野球偏差値を高める練習を、常に意識して活動しています」

 ウォーミングアップが終わり、まず最初に行うメニューが走塁練習。試合で起こるであろう場面を何パターンも想定し、選手たちはイメージと声だけを頼りに、次の塁を狙う練習を行う。打球の方向や相手野手のポジショニング、肩の強さなど、様々な要素を想定して、その中でいかにして次の塁を狙っていくか。

 この走塁練習だけで、毎回1時間ほどの時間を割く。これをシーズンを問わず年中続けることで、走塁への高い意識はチームに深く浸透したのだ。

「走塁の強化はチームの方針にも掲げているので、グラウンドで練習を行う水曜と土日は、必ず走塁練習を行います。こちらが方針として明確に掲げることで、選手たちにも意図が伝わって、理解した上で練習に取り組んでくれるんです」

 チームの色を明確に掲げ、極端に行動で示す。徹底された意識は、指揮官の強固な理念の中で培われたのだ。

(記事=栗崎 祐太朗)