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ヤクルト2位ルーキーを輩出 13年に誕生した京都ポニーが目指す「エンジョイシンキングベースボール」

2023.04.07

 昨夏の高校野球京都大会で、京都外大西西村 瑠伊斗内野手が大会タイ記録の4本塁打を放った。この打棒が高く評価され、昨年のドラフト会議でヤクルトからドラフト2位指名を受けた。

 西村は中学時代、京都ポニーでプレーしていた。2013年に誕生した硬式野球チームで、西村が同チームからのプロ野球選手第1号となった。西村の父・靖峰さんもコーチを務める京都ポニーのチーム方針や注目選手を紹介していきたい。

チームの魅力は「頭を鍛える野球」

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京都ポニーの選手たち

 練習拠点は滋賀県甲賀市にある柑子区民グラウンド。チームの専用グラウンドで、思う存分に練習を行うことができる。

 チームを率いるのは綿井修監督。帝京第五(愛媛)や中学硬式チームでの監督経験があるベテラン指導者で、教え子には楽天・塩見 貴洋投手や元ヤクルト投手の平井諒さんがいる。チームの指導方針について綿井監督は次のように話してくれた。

 「個人個人の能力を引き出すということで、今じゃなくて、高校に行って活躍できるように指導しています。(中学生の間に必要なことは)野球に対する姿勢と、指導者やお父さん、お母さんに感謝の気持ちを持って野球をやることじゃないかなと思ってやっています」

 練習では故障防止のためにアップに時間をかけ、将来を見据えた体づくりを行っている。戦術面としては「エンジョイシンキングベースボール」をスローガンに掲げ、自分たちで考える野球の浸透を目指している。その狙いについて綿井監督はこう語ってくれた。

 「野球は楽しくやるというのが第一目標だと思うんですよね。スポーツというのは楽しくやって、色んな意味でプラスアルファが出てくると思うので、真剣にやるのも良いですが、その中で考えながら楽しくやって、それを自分で感じて、打てた、ピッチャーならストライクを取ってアウトにできたとか、バッターやったらヒットを打ってとか、そういうものを自分で考えて感じてやってくれたら、社会に出た時に色んなことがプラスアルファになると思います。とにかく今の選手は考えないので、考えて色んなことを行動してくれたら、良いなと思っています」

 「頭を鍛える野球が良いと思います」と主将の森山 凛道内野手(3年)が話すように選手たちも京都ポニーの考えて野球をすることにやりがいを感じている。ノックでも様々な状況を想定して行い、選手の思考力向上を目指している。

[page_break:近畿地区の実力校などに進む逸材たち]

近畿地区の実力校などに進む逸材たち

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左から米川航平副主将、森山凛道主将、宮田凌成副主将

 現チームの注目選手として、主将の森山は右投左打の巧打の二塁手で、打順は主に1番を任される。「楽しい雰囲気と厳しい雰囲気を分けて、メリハリをつけたキャプテン」とチームメートからも、そのリーダーシップを高く評価されている。

 森山とともにチームを引っ張るのが副主将の米川 航平内野手(3年)と宮田 凌成捕手(3年)だ。米川は攻守でハイレベルなプレーを見せるバランスのとれた遊撃手。「指示や指摘を凄くしてくれていて、周りの雰囲気を盛り上げてくれる」(森山)と視野の広さも光る。

 宮田は捕手としてチームを支える扇の要。「全体的に総合力も高くて、キャッチャーとしての素質もある」(米川)とチームに欠かせない存在だ。

 センターラインの3人を中心に各大会での上位進出を目指している。今年度の戦いぶりが楽しみだ。

 この春から高校生になった卒団生では井出 暁斗に注目。投手と遊撃手をこなす万能選手で、「パワーがあるので、ホームランを打てるようなバッターになりたいです」とスケールの大きな選手を目指している。

 高校は甲子園初出場を目指す近畿地区の有力校に進学。「自分が行く高校は京都ポニーのように考えてやる野球なので、そういうところに生かしたていきたいなと思います。少しでも早くベンチ入りをして、活躍できるように頑張っていきたいです」と早期からの活躍を誓っている。

 在籍する選手にとって、ヤクルト入りした西村の存在は大きい。冬場はよく練習に参加していたそうで、「間近でプロ野球選手を見られたのがすごく大きかった。僕もこうなりたいという目標が立てられて、凄く良い存在です」(宮田)と良い刺激になった。

 先輩の後を追うように高校以降での活躍を目指して野球に取り組む京都ポニーの選手たち。第二の西村のような選手が出てくる日を楽しみにしたい。

(記事=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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