目次

[1]お茶当番の廃止/子供たちの成長に合わせた指導
[2]自分で考えて練習できる/強くならないと大切な人を守れない



東都京葉ボーイズの選手たち

 関東ボーイズリーグの強豪・東都クラブ京葉ボーイズ(千葉)。近年は2019年に全国大会「春夏連覇」を達成し、2021年も春季全国大会ベスト4入りを果たした全国大会でも実績豊富なチームだ。

 東都クラブは2009年に創設され、京葉ボーイズの他に京葉下総ボーイズ、八街京葉ボーイズの3チームが連盟の千葉県支部に所属して公式戦に出場している。総勢130人以上の部員がいる大所帯だ。そのためコーチ、スタッフも20人以上在籍しており、コーチ同士で「高校時代に対戦した」昔話で盛り上がることも珍しくないようだ。

 昨年のドラフトでは習志野から国士舘大に進んだ池田 来翔外野手がロッテ2位指名を受けるなど、OB選手の躍進も見逃せない。そして、この春のセンバツ出場校には大阪桐蔭(大阪)の海老根 優大外野手(2年)、國學院久我山(東京)の齋藤 誠賢外野手(2年)、日大三島池口 奏内野手(1年)が在籍していた。

 また実績だけでなく、先進的な中学生球児の育成環境、取り組みも東都クラブの魅力だ。今回はクラブのオーナー兼球団代表を務める勝本俊朗さんに、現在もアップデートが進んでいる取り組みについて話を伺った。


お茶当番の廃止



八街グラウンドに新設された「カフェ」

 東都クラブの活動拠点である八街グラウンドには昨年、「カフェ」を設置。高性能浄水器や大型製氷機、コールドテーブルなど厨房設備があり、階段で屋上へ登るとグラウンド全体が一望できる。選手の熱中症予防やケガ人の救護施設も兼ねているが、子供の応援にきた保護者の方々が休憩できる「サロン」のようなスペースとして活用されている。取材日も選手の兄弟であろう小学生たちが宿題をしていたり、テラス席で子供の練習を応援する保護者の姿もあった。

 そして今年の3月中には「お茶当番」を廃止する予定だという。「野球は大変」というイメージを払拭すべく、子供を応援する保護者の方々にとってもカジュアルな環境を目指している。

子供たちの成長に合わせた指導



トレーニング施設「知ろう館」

 東都クラブでは「子供たちの成長に合わせた指導をすることを大切にしている」と勝本代表は言う。まだまだ成長期にある中学生はケガのリスクが高い。「昭和の時代に生まれ、野山を駆け巡る環境で育った我々と違い、(今の)子供達の身体は十分に『開発』されていません」。足首が硬い、股関節が動かない…。そんな中で技術だけを先行させて野球をすると、腰椎分離症やヒジの故障を起こすリスクを持っている。そもそも、体が動かないのに技術ばかり詰め込んでも、技術は入ってこない。そのため東都クラブでは「ケガをしない、させない」を第一目標に科学的なトレーニング法を取り入れ選手育成に努めているという。

 その「科学的なトレーニング」を可能にしているのが、中学野球のクラブのものとは思えない充実した施設だ。専用グラウンドとは別に市川市二俣新町には室内練習場「絆塾」があり、その隣には昨年、トレーニング施設「知ろう館」もできた。「知ろう館」にはベンチプレスをはじめ、さまざまな器具が揃っており、全身が映る鏡張りのスペースも有効活用されている。

 専門のトレーナーを招聘(しょうへい)し、身体を大きく使いながら野球の動きで必要な部位の可動域を開発する「ダイナミックストレッチ」など、科学的根拠のあるトレーニングを練習メニューに取り入れている。
 さらに、ゴロの正しい捕球姿勢や投球動作など、鏡で確認しながら正しいフォームを身につけていく「ドリル練習」を行う。待ち時間の長いシートノックや、投球過多が懸念される「投げ込み」ではなくとも反復練習で技術を磨いていく。

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