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元プロを父に持つU-12代表、NPBジュニア経験者など東京城南ボーイズから今年も多くの逸材が巣立つ

2021.12.18

 中学硬式野球の強豪・東京城南ボーイズからは、今年も多くの逸材が巣立っていく。春季全国大会に2年ぶり12回目の出場を果たしたが、横浜に進んだ金井慎之介(3年)、杉山 遙希(1年)、山崎 隆之介(1年)が激戦区・神奈川大会を勝ち上がり夏の甲子園出場を果たすなど、多くのOBが高校野球の舞台でも活躍中だ。

 さらに、今年のドラフトでは昌平に進んだ高校通算56本塁打を誇る吉野創士(3年)が楽天に1位指名を受けるなど、東京城南ボーイズにとって躍進の1年となった。

 そんな東京城南ボーイズの今年のチームは、NPBジュニア経験者やU-12日本代表、そして元プロ野球選手を父にもつ選手など、入団時からポテンシャルを秘めた選手が多く、「投手陣、野手陣共にバランスがよく、180センチを超える選手が打線に並ぶ『大型チーム』だった」と大枝茂明監督は語る。

 ドラフト1位でプロの世界へ進む、吉野選手の背中を追いかける後輩たちは、どんな選手がいるのだろうか。今回は来春から高校野球の舞台へ進む3年生をピックアップして紹介したい。

180センチ以上が並ぶ大型打線だった

元プロを父に持つU-12代表、NPBジュニア経験者など東京城南ボーイズから今年も多くの逸材が巣立つ | 高校野球ドットコム
日ハムコーチ・矢野 謙次さんを父にもつ矢野 丈太郎

 4番を務めた林 幸介選手は、185センチ、78キロとがっちりとした体格で通算17本塁打を記録したスラッガーだ。小学生の頃は宮内子ども会野球部(神奈川)でプレー。小学6年生の頃は「横浜DeNAベイスターズジュニア」に選出されNPBジュニアトーナメントに出場した。持ち味はなんといってもその体格を活かした長打力で、球を遠くまで飛ばす力はチームNo.1だ。「1年生からベンチに入るくらいの強い気持ちで城南ボーイズの同期のみんなに負けないように、日々努力していく」と鼻息を荒くする。高校野球の舞台でも先輩たちのように、全国区の選手に成長してほしい。

 主に1番に入った飛田 優悟選手は、小学生のころ、南加瀬越路少年野球部(神奈川)で主将を務めた。自身の持ち味は「足が速いところ」と語り、50メートル走は6.4秒の俊足で出塁率はチームトップクラスだ。高校野球では「自分の持ち味を活かしてチームに貢献できる選手になりたい」と力強く語る。高校野球の舞台でも俊足巧打の選手として活躍を期待したい。

 大枝監督も入団当初から一目置いていたのが矢野 丈太郎選手だ。巨人、日本ハムで活躍し現在は日本ハムのファーム打撃コーチを務める矢野 謙次さんを父にもつ矢野は、眩しい笑顔からもお父さんの面影を感じる。

 小学生の頃は市ヶ尾シャークス(神奈川)でプレー。小学6年生の頃は「横浜DeNAベイスターズジュニア」に選出された。打線では1、2番を務め自身の最大の持ち味は50メートル6.2秒の「足の速さ」と語る。

 目指す選手像は「走力も活かして長打も打てる選手」という。「体が大きくなるにつれてパワーもついてきて球を飛ばせるようになしました」と181センチ、84キロとすでに父の身長を超えており、俊足でパンチ力も兼ね備えたプレースタイルは父親譲りのようだ。

[page_break:世界大会経験者が2名 分業制を敷いた豊富な投手陣]

世界大会経験者が2名 分業制を敷いた豊富な投手陣

元プロを父に持つU-12代表、NPBジュニア経験者など東京城南ボーイズから今年も多くの逸材が巣立つ | 高校野球ドットコム
U-12日本代表も経験した川越 昂太郎

 投手陣について大枝監督は「先発完投ではなく、決められたイニングを任せて継投ができる豊富な投手陣だった」と語るように今年のチームは分業制で試合を勝ち上がってきた。

 中川 皓太投手は主に中継、抑えを担当し、狙ったところにキレのあるストレートを正確に投げる抜群のコントロールが持ち味。制球力は今年の投手陣でNo.1のようだ。高校野球では「エースになるのが1番の目標で、甲子園に出たい」と闘志を燃やす。

 先発、中継を務めた法橋 瑛良投手は身長184センチの長身右腕で小学6年生の時には「横浜DeNAベイスターズジュニア」に選出された。三振を狙うのではなく、変化の小さいスライダーなどで打たせて取る投球が光る。

 林 京乃佑投手は先発、抑えを担当。2019年にはU-12日本代表に選出され、台湾で行われた第5回WBSC W杯に出場した経験を持つ。最速135キロの直球が持ち味で、打者の手元で伸びるような球でフライを打たせて、変化球も使いながら打ち取っていくタイプだ。高校野球の舞台では「ストレートで打者を押して打者が手を出せないような球を投げられるようになりたい。注目される選手になりたいです」。強気な性格で速球派右腕としてのポテンシャルを大いに秘めている。

 川越 昂太郎投手も抑えとして投手陣を支えた。父はオリックス、ロッテで活躍し現在はロッテ2軍のチーフ投手コーチを務める川越 英隆さんで、川越投手も2019年にはU-12日本代表で世界大会のマウンドを経験している。

 最速は134キロで、カーブと真っ直ぐのコンビネーションで打者が簡単に遠くに飛ばせないような重く伸びのあるボールを投げこむ。すでに完成された正統派の投球フォームも印象的だった。「中川くんのようにコントロールの精度を上げて、直球中心で勝てる投手になりたい」と高校野球の舞台でもそれぞれの個性が光った東京城南ボーイズの仲間とともに切磋琢磨していく。

[page_break:逸材を怪我なくゆっくり鍛えるのが城南のモットー]

逸材を怪我なくゆっくり鍛えるのが城南のモットー

元プロを父に持つU-12代表、NPBジュニア経験者など東京城南ボーイズから今年も多くの逸材が巣立つ | 高校野球ドットコム
東京城南ボーイズ・大枝茂明監督

 東京城南ボーイズは毎年、小学生の頃から実績がある選手が多く入団してくる。そんな逸材選手たちを「怪我なくゆっくり鍛えて高校野球の舞台に送り出すこと」が大枝監督のモットーだ。

 学童野球ではどうしても試合に多く出場していて疲労の蓄積がある選手もいる。そんな選手たちには最初の半年間は、他競技なども行い遊ばせながら、オーバーホールのトレーニングを行う。そして体の成長に合わせて樹脂のスパイクから金属スパイクへ、軟式から硬式へ、距離も徐々に広げる。段階を踏みながらうまく慣れてもらい、1年越えてから本格的に野球を取り組むカリキュラムを実践している。

 大枝監督はこれから高校野球の舞台に羽ばたく選手たちには「3年後に活躍してもらいたい」と語る。「早くから試合に出てほしいというより、1年目はゆっくり体を鍛えて、高校生の体になって、2年、3年でしっかり活躍してほしい」。高校野球では最上級生のシーズンでピークへ持っていき、その上の舞台への道を切り開いてほしい、これが大枝監督最大の願いだ。

(取材:藤木 拓弥

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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