日本選手権に8度、全国選抜大会に7度と計15度の全国大会出場の実績がある新宿シニア。チームの創立から今年で47年目を迎え、過去には北海道日本ハムファイターズの浅間 大基選手を輩出した。現役の高校球児でも市川 祐投手が関東一のエースとして活躍中で、昨年からは伊東幸一新監督の下、新たな体制でチームは再スタートした。
「礼儀を尊ぶ精神、団結・協調の精神、勤勉の精神、闘志・闘魂・不屈の精神」の、伝統の4つの精神を重んじる新宿シニアの取り組みに迫った。
人間力の向上を目指す伝統の指導方針

新宿シニアの練習の様子
伊東新監督の下、江戸川沿いの河川敷グラウンドで練習に取り組んでいる新宿シニア。高校野球での活躍ももちろんだが、社会に力強く羽ばたいていける人間の育成を一番の目標に掲げている。
伊藤監督は指導者としてチームに携わるようになり3年程だが、かつては現役の選手たちと同じように新宿シニアのユニホームに袖を通して3年間野球に打ち込んだ。伝統である前述の4つの精神を引き継ぎ、指導にあたっている。
「中学野球、高校野球がゴールではないと思っているので、社会に出た時に力強く生きていけるように上手い下手よりも強く成長して欲しい思いがあります。勝たなくてはいけない場面もこれから出てくるかと思いますが、そこはブレずにやっていきたいなと思っています」
そんな新宿シニアの指導に惹かれて入団を決めた選手の一人が、主将としてチームを引っ張る佐々木大翔選手だ。「人間的な成長が野球の成長にも繋がる」と感じていた佐々木選手は、体験会で挨拶や礼儀を重視する雰囲気を目の当たりにして自身のカラーに合うと直感したという。また全国大会への出場実績も追い風となり、新宿シニアで心身を鍛えることを決意した。
「このチームは野球の実力だけじゃなくて挨拶とか礼儀、道具を並べるといった、野球人として大事なことを教わることができると聞きました。自分の性格やチームのカラーが合っているなと感じて入団しようと思いました」
昨年の夏からスタートした新チームは、投手陣中心にチーム作りを進めており、目標である全国大会の出場に向けて個々のレベルアップに努めている。中でもチームの中心となるのは、右腕の石澤順平投手だ。身長は176センチあり、キレのある直球を投げ込む石澤投手だが、体つきはまだまだ発展途上で伸びしろの大きさを感じさせる。
また主将の佐々木選手も、打線では主に1番や3番に座り、守備でもサードやショートを任されるなど、中心選手としてチームを引っ張る。今年は最終学年を迎えますが、「秋の大会では関東大会に出場することができなかったので、夏に全国大会に出て良い成績を残せるようにこの冬を頑張りたい」と強い意気込みを語る。