第38回 方針はあくまで底辺拡大。名門・世田谷西シニアが「勝利」でなく「野球の楽しさ」を追及する理由2020年10月07日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

【目次】
[1]全ての選手に誠意を持って接する
[2]大会ではドラマチックな演出にこだわる

大会ではドラマチックな演出にこだわる



バッティングを行う選手たち

 今年の世田谷西シニアの3年生は、小学校時代にNPBのジュニアチームに選抜された選手が10名以上在籍するなど、スター軍団の呼び声もあったチームだが、本来は実績の無い選手を育て上げるのがチームのスタンスだという。

 昨年にジャイアンツカップを制したチームも、小学校時代に実績のある選手は実は少なかった世代で、練習を積む中で大きく成長した選手がほとんどだった。

 「中心だった田上くん(遼平・慶應藤沢)も初めは全然ストライクが入らず、ピッチャーをできるような選手ではありませんでした。少年野球から知っている人たちは、みんなびっくりしていたみたいです」

 選手を大きく成長させる指導の一つに、ストレスフリーの指導を吉田監督は挙げる。
 野球を本当に好きになるためには、ストレスをかけずにプレーすることが大事であると考えており、普段の練習では「上手くなる」という本質的な楽しさを意識させるようにしている。

 「もちろん人様に迷惑をかけないとか、道徳やモラルの問題はしっかり言います。
 ですがちょっとサボってしまうとか、力を抜いてしまうとか、まだ中学生なのでそこは目をつぶって待ってあげます。

 これを『緩い』と感じる人もいるかもしれませんが、高校野球以降で頑張れるために、あえて高校野球と同じことをしないことが、意外と中学生のうちは大事かなと思っています」

 8月17~19日に開催された全国選抜大会(3回戦で打ち切り)では、3回戦で惜しくも浦和シニアに敗れたが、これまでレギュラーでなかった青山達史選手に本塁打が飛び出すなど、新たな注目選手の台頭もあった。

 大会に対しても、吉田監督ならではのユニークな理念がある。

 「あまり優勝だけにこだわってなく、できるだけたくさんの投手を投げさせたりとか、小学校時代のチームメイトと対戦させたりとか、粋な演出をしてどうやってドラマチックにするかにこだわっています。
 ウチが勝ったことなんて、そのチームの人たちしか覚えていないので、勝っても負けてもチーム内でどう見せるかが大事だと思います」

 選手が野球を楽しむことに、とことんフォーカスを当て続ける世田谷西シニア。
 今後はどんな選手が誕生するのかとても楽しみだ。

(記事=栗崎 祐太朗)


関連記事
通算20本塁打以上のスラッガー、二塁送球1.9秒台の強肩捕手など関東地区注目のスーパー中学生
世田谷西シニアが10年ぶり2度目の優勝 富塚が値千金のツーラン【ジャイアンツカップ】
世田谷西シニアトリオがU-15代表で活躍 吉田監督は「この経験を活かして欲しい」

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第992回 スラッガー揃いの東海大相模、総合力の桐光学園、ポテンシャルの横浜など神奈川ベスト8の戦力を紹介!【大会展望・総括コラム】
第239回 中森俊介、篠木健太郎を筆頭にオリンピックイヤーをけん引する40人の好投手たち【ドラフト特集コラム】
侍ジャパンU-18代表vs駒澤大【2019年 第29回 WBSC U-18 ワールドカップ】
世田谷西シニアvs東練馬シニア【ジャイアンツカップ2019】
世田谷西シニアvs八王子シニア【ジャイアンツカップ2019】
東練馬シニアvs浦和シニア【ジャイアンツカップ2019】
第206回 佐々木・奥川らドラフト上位候補だけではなく、ブレイクに期待がかかる逸材投手リスト90名!【ドラフト特集コラム】
第934回 西東京を制すのは東海大菅生か日大三か?それとも新鋭が現るか?戦力を徹底分析!【大会展望・総括コラム】
第918回 横浜、東海大相模を阻む学校は現れるか?ノーシードの実力校も分析!【後編】【大会展望・総括コラム】
日大三vs都立文京【東京都 2019年春の大会 春季東京都高等学校野球大会】
第917回 村田賢一(春日部共栄) 大活躍の源は『鋭い観察力』と『強敵と戦うワクワク感』【後編】 【2019年インタビュー】
第845回 リトルシニア屈指のリードオフマン・内囿光人(世田谷西リトルシニア)が見据える高校野球とは?! 【2018年インタビュー】
第843回 「高校でも最低1回は全国制覇をしたい」リトルシニア全国制覇のエース・池本琳(世田谷西リトルシニア) 【2018年インタビュー】
内海 貴斗(横浜) 【選手名鑑】
木下 幹也(横浜) 【選手名鑑】
廣澤 優(日大三) 【選手名鑑】

コメントを投稿する

コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム