目次

[1]「試合の度に選手が成長する」を体現したチーム
[2]元メジャーリーガーのポリシーを受け継ぎ

元メジャーリーガーのポリシーを受け継ぎ



守備練習中の様子(草津リトルシニア)

 練習ではキャッチボールや全力疾走といった基本的な部分を大事にしている。特に目を引いたのがキャッチボールの後に塁間より短い距離でボール回しをしていたことだ。この練習を行う理由について西村監督は「至近距離でもある程度のスピード感をつけて、素早く回すことで集中力も高まるんです」と説明してくれた。

 全体練習は休日しかやらないため、一球に対しての集中力が求められる。短い距離で集中力を養った後に塁間でのボール回しを行い、野球の基本となるキャッチボールの技術を高めていく。

 「キャッチボールやボール回しから丁寧にやるようにしていますね。その先に応用がある。プレーの中で送球ミスは起こるんですけど、『キャッチボールから』と言われていることはここなんだと気づいてくれたらもう一つ先に進んでくれるんですよね」(西村監督)。

 中学で基本をキッチリ教えているからこそ、高校に行っても高いレベルに対応することができる。卒団後も上の舞台で活躍できる選手が多い理由はそこにあった。

 基礎の重視や文武両道の実践といった部分はチームの創設者であり、現在は会長を務める大家氏の理念に沿ったものである。大家氏は年に数回、練習や試合に顔を出し、日本選手権に出場した時は球場まで駆けつけてくれたそうだ。

 練習に訪れた際には選手にアドバイスを送ったり、ランメニューを教えたりしているそうで、「アドバイスは具体的で、楽しくできるランメニューを教えてくれる」と選手たちからは好評だ。

 世界の舞台を経験した選手の言葉は多感な中学生にとって与える影響は大きい。「普通の子ですよ。奥村なんか泣き虫だったし、京山はガッツマンでもなかったし、ちょっとクールな子でしたね」と西村監督が話すようにプロに進んだ二人も中学時代は特別な存在ではなかった。それでも大家氏の理念を指導者が共有し、その指導を選手が吸収することで有力選手を次々と生み出してきたのだ。

 「今まで通り、野球が大好きな子を育てていきたいですね。大家さんの言っている理念があるので、他のコーチングスタッフとコミュニケーションをとりつつ、大家さんの土台を継続しながら全国を目指していきます」と今後の展望を語った西村監督。元メジャーリーガーのポリシーを受け継ぎながらこれからも有力な選手を輩出していく。

(記事=馬場 遼)

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