ホークス・田浦文丸など輩出の糸島ボーイズ(福岡) 躍進の秘訣は中学野球屈指の環境と高い実践力
福岡県内のボーイズリーグで、無類の強さを誇るのが糸島市に拠点を置く糸島ボーイズだ。
毎年セレクションを実施し、選りすぐりの選手たちが集うチームは、2020年もすでに春季全国大会に3年連続5回目の出場が決まっており、2019年夏には2年連続3回目のジャイアンツカップ出場を果たした。
だが、2019年の秋からチームの指揮を任された北村俊策監督は、チームの強さの秘訣はセレクションで選ばれた選手が集まっているだけでは無いと話す。一体どんな秘密があるのか伺った。
状況の想定や強い打球のノックで実践力を磨く
室内練習場での守備練習の様子
「昨年はセレクションに170名の選手が訪れて、1次セレクション、2次セレクションを経て15名が入団しました。この時は少数精鋭でしたが、今の2、3年生の時は20名前後が入団しましたね」
そう語るのは、糸島ボーイズの北村俊策監督だ。
福岡県内に止まらず、佐賀県鳥栖市や長崎県の松浦市からも選手が集う糸島ボーイズは、野球が上手くなりたいと意気込む選手が精一杯野球に打ち込める環境が整っている。
チームにはマイクロバスが5台あり、練習日には選手たちの送迎を行う。また雨の日でも練習が出来るよう室内練習場も完備されており、バッティングやピッチング、体幹トレーニングを行うことが出来る。
中学野球ではトップクラスの環境であり、2009年のリーグ加盟からここまで多くの注目選手が巣立っていった。
2014年に大阪桐蔭の主将としてチームの全国制覇に貢献した中村誠、2017年に地元ソフトバンクホークスにドラフト5位指名を受けた田浦文丸、そして2019年に春夏連続で甲子園出場を果たした筑陽学園には江原佑哉、進藤勇也、弥富紘介、17872と主力に4人が名を連ねていた。
今や九州でも屈指の強豪チームとなったが、北村監督は強さの秘密はレベルの高い選手が集まってるだけでは無いと話す。
技術的、体力的に秀でた選手が多い糸島ボーイズでは、その分実践練習に時間を充てることができる。ノックは様々なケースを想定したり、強い打球への反応、また細かい戦術もチームに浸透させるなど、きめ細かさを選手に伝えることで実践力を磨いているのだ。
「単純なノックはせずに、必ずランナーをつけて『7回裏1アウト一点取られたら終わり』など状況を想定した練習をしています。また内野手はとにかく正面の強いゴロ取れないといけないので、強めのゴロを100本捕る練習もします。他にも、低めのスライダーを捨てろといった指示や、打席に後ろに立って高めの変化球を狙うなど、細かい戦術も選手に理解してもらうようにしていますね」
[page_break:全国大会では準優勝が最高成績、次に狙うは全国制覇]全国大会では準優勝が最高成績、次に狙うは全国制覇
日本代表にも選ばれた尾崎悠斗(左)と香西一希(右)
そんな糸島ボーイズだが、今年も全国大会で上位を目指していけるだけの戦力が揃い、3年連続5回目の出場が決まっている春季全国大会に向けて、少しずつ調整を進めている。
昨年は2枚看板の香西一希(NOMO JAPAN代表)や尾崎悠斗(U-15日本代表)を中心に、投手力も攻撃力も高いレベルにあったが、今年のチームも昨年に劣らない選手が並ぶ。
「昨年は力のあった世代でしたが、バッティングに関しては今年も負けていません。
チームの中心はキャプテンの藤田悠太郎です。運動能力抜群でバッティングも良く、ショートの守備も良いです」
また課題だった投手力も、新戦力の加入よって厚みが出てきた。
昨年末、家族の都合で関東から福岡に引っ越してきた鹿島蔵人が入団。鹿島は、引っ越す前は関東の名門・京葉ボーイズに所属しており、強豪チームで経験を積んできた投手だ。北村監督は、春に向けて鹿島がどこまで通用するか非常に楽しみだと話す。
「昨年は香西、尾崎の二人がいた分、今年は少し経験がないかなと思っていましたが、鹿島が入ってきました。チームに加わったのは1ヶ月くらい前で、秋の時点ではまだ加入していなかったので、これから春に向けて楽しみです」
昨年、Wエースとして活躍した香西、尾崎の日本代表コンビも、「藤田を中心に今年も良いチームです」と太鼓判を押す。
全国大会での実績は、2013年のジャイアンツカップ2013での準優勝、そして2014年の第44回春季全国大会での準優勝が最高成績。次に狙うはもちろん全国制覇である。今年の糸島ボーイズの活躍にも注目だ。
(記事=栗崎 祐太朗)
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