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「日本一」を目指して選手が集う秦野リトルシニアの取り組みに迫る!

2019.05.09

 神奈川県秦野市に本拠地を置く秦野リトルシニア。関東でも屈指の強さを誇る同チームは、これまで3名のプロ野球選手を輩出し、現在は友永翔太(中日ドラゴンズ)と堀岡隼人(読売ジャイアンツ・育成)の2選手が現役として活躍中だ。
 今回は、そんな秦野リトルシニアの牧嶋和昭監督にお話しを伺い、チームの特色や指導方針、そして今年のチームの現状についてもお話を伺った。

「野球だけではない」指導方針に地区外からも選手が集う

「日本一」を目指して選手が集う秦野リトルシニアの取り組みに迫る! | 高校野球ドットコム
コベルコグランドでの打撃練習の様子

 「うちは野球だけのチームではありません。野球と学業の両立を意識してやってるので、勉強や生活の部分もしっかりと指導しています。そこを評価して頂いて、結果として有望な人材も集まってきたのだと思います」

 そう語るのは、秦野リトルシニアを率いる牧嶋和昭監督だ。毎年、関東地区では上位に食い込み、全国大会にも何度も出場を果たしている秦野リトルシニアであるが、チームの強さを支えているのは決して野球だけではない指導方針にあると牧嶋監督は語る。

 「特に進路指導については、1年生の頃から面談も行います。中学1年なので、憧れの学校はどこなのか書いてもらいます。みんな野球の強い高校を書きますが、そのためには野球だけでなく勉強も必要であることを伝えます」

 そんな牧嶋監督の指導は、毎年野球以外でも明確な結果として表れている。今年、高校に入学した世代の選手たちは、評定の平均が何と35.1であった(5段階評価×8教科の評定)。進学校に進んだ選手も多く、野球だけではないことを見事に証明したのだ。

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友永翔太選手(中日ドラゴンズ)と堀岡隼人選手(読売ジャイアンツ・育成)は秦野リトルシニア出身だ

 「ウチの指導を評価していただいて、秦野市以外からも選手が来てくれるようになりました。(東海大菅生のレギュラーとして第99回全国高校野球選手権大会でベスト4に進出した)小玉佳吾も隣の町から通ってきていました」

 牧嶋監督の指導については、選手たちからの評判もいい。チームの捕手を務める平岡大和選手は、牧嶋監督について次のように語った。
 「牧島監督は、とても優しい監督です。技術を教わるのは村山コーチで、牧嶋監督からは礼儀や勉強のことなど、どちらかと言うと人間的なところを教わります。教わるところはとても多いです」

 「上手くなりたい」と意気込む、高い向上心を持った選手が集まり、そしてその選手たちが伸びる為のサポートは惜しみなく行う指導者スタッフ。この関係性こそが、秦野リトルシニアの強さを支える土台となっているのだ。

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今年は「日本一」を狙っていくチーム

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ティーバッティングを行う秦野リトルシニアの選手たち

 そんな秦野リトルシニアの今年のチームは、4番で捕手の平岡大和を中心に能力の高い選手が揃っており、牧嶋監督は上位進出に大きな期待を持っていると語る。

 「この代は、日本一を取ろうということで集まった代です。今の3年生が、最初に6年生で集まった時に話した言葉が、『この代で日本一を取るぞ』ということでした。その期待が持てる選手が集まったので、是非力を貸して欲しいと言いました」

 そこで牧嶋監督は、この「日本一」という目標を達成させるために、現在のチームが発足した際にある決断をした。
 「この代は、試合の指揮を村山雄輝コーチに任せることにしました。日本一を獲るぞと言ったので、僕も生半可なことができないので、そこで村山コーチと話して任せました。若いですが、意思がしっかりしてる男なので本当に信頼しています」

 村山雄輝コーチは、秦野リトルシニアから桐光学園に進学し、高校3年の夏には甲子園に出場を果たした。その後、中央大学の硬式野球部で野球に打ち込み、現在は秦野リトルシニアで指導にあたっている。
 重責を引き継いだ村山コーチは、現在の3年生は1年時から指導にあたっている思い入れのある代であることを明かし、全国大会に向けて強い意気込みを語った。

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秦野リトルシニアを率いる牧嶋和昭監督

 「今の代は、1年生から見ているチームなので、任せていただけることはありがたいことだと思います。このチームで、とにかく全国で戦えるようにやっていきたいなと思っています」

 そんな中で村山コーチは、現在のチームが全国で戦えるチームになるために、より強い気持ちをもつことを選手に求めている。
 「今年は例年になく意識の高い選手が多く、上を目指してる気持ちは伝わってきますが、その一方で、力の差がある相手と対戦するとあっさり負けてしまうところもあります。
 どんな相手でも、跳ね返せるような気持ちの強さを出して欲しいと思っています」

 「日本一」を掲げたチームも、そのチャンスは日本選手権とジャイアンツカップの2回のみとなった。夏までの残り2カ月で、チームがどこまで成長することが出来るのか。今年の秦野リトルシニアの躍進に注目だ。

(文・栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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