WBC特別企画スタート！ グラゼニ女子が韓国エージェントに直撃！
3月に開幕する第4回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）に先駆け、特別企画がスタート！週刊モーニングで連載中の野球漫画「グラゼニ」の公認PRガールとして誕生した「グラゼニ女子」（※1）たちが、「世界」をテーマに各国のエージェントやNPB・独立リーグのフロント、またMLBのスカウトに直撃インタビュー！※グラゼニ女子は、2月17日をもって活動を終了しました。
今回はその第1弾として、韓国の野球事情に迫ります。グラゼニ女子の豊島わかなと芹玲那が、弁護士として日本でお仕事する傍ら韓国エージェントとして活動する金 弘智（キム・ホンジ）氏にお話を伺いました。
韓国野球のマネー事情
韓国エージェントの金 弘智（キム・ホンジ）氏
グラゼニ女子：はじめまして、グラゼニ女子の芹 玲那と豊島 わかなです！
さっそくですが、エージェントのお仕事は具体的にどんなことをするんですか？
金 弘智（以下、金）：通常、弁護士の場合は一般的にだいたい97％ぐらいは普段の弁護士のお仕事をしていて、残りの3％でエージェント活動をしている感じになると思います。
例えば、弁護士が選手の代理人を務める場合、シーズンオフの契約更改のときや、フリーエージェントで選手が移籍するときなど、スポット（単発）でお手伝いをすることが多いです。なので、1年のうち選手と直接関わる時間というのは弁護士の場合、短いです。
普段はその間にマネージメント会社が入り、選手の普段の生活とか、健康管理、イベント等のスケジュール調整とか、グッズの作成とかを担当することが多いと思います。僕が代理する韓国人選手の場合も、日本と韓国にそれぞれマネージメント会社がついていますので、普段はそのマネージメント会社の方が管理をされています。但し、僕の場合は四国アイランドリーグ等の独立リーグに所属する韓国人選手の代理もしているので、NPBの支配下選手登録期限である7月31日までの契約を目指して、選手の売り込み等、シーズン中も積極的に活動しています。
豊島わかな（以下、豊）：スポットでとおっしゃっていましたが、FAのときは選手もモヤモヤするときだと思います。そこにスポットで入るのは大変じゃないですか？苦労話とかがあれば教えてください！
金：僕の場合はもっぱら韓国人選手でしか代理をしたことしかないのですが、そもそも韓国人の選手たちにとって国外移籍というのは夢であり憧れなんですよね。特にアメリカ野球や日本野球に対して韓国人選手は夢と憧れをもっているので、自分に対して良いオファーがあるのかどうかというところで、シーズン中から日本野球への関心をもっている選手は多いかなと思います。
豊：日本でプレーしたい選手は多いんですね！
金：以前はとても多かったと思います。ここ2、3年はアメリカへの関心がより高まってはいるんですけれども、日本の甲子園とかは韓国でも観ることができるので人気が高いです。アマチュアレベルから多数の観客が入って、マスコミの注目度が高い日本の高校野球については、アマチュアのときから憧れをもっている選手が多いですね。
豊：へー！甲子園にも関心があるんですね！韓国国内でも、野球は結構右肩上がりで人気が上がっていると聞きました！それでも国外に出たいって思っている選手が多いんですね！
金：3、4年前くらいでしたら、みなさん無条件に国外に行くという感じだったと思うんですけれども、最近ではその流れは変わりつつあります。
韓国国内ではFA選手の年俸がものすごく高騰していますので、日本で1年目にもらえるオファーの金額よりも、国内移籍したときに提示してもらえるオファーの金額の方が高いこともあり、両方提示を受けて結局韓国国内で移籍を選ぶという選手が増えてくるのではないかなと思います。
WBC韓国代表を分析！
左から芹 玲那さん、豊島 わかなさん（グラゼニ女子）
豊：韓国代表の選出方法には特定の基準などありますか？
金：特定の基準があるわけではないですけど、韓国代表の金 寅植（キム・インシク）監督やコーチングスタッフが何回かに渡るミーティングを経て決めています。
豊：特に絶対条件というのは設けているわけではなくて、韓国の中でも実力があったり人気があったりする選手の中で決めていくという感じでしょうか？
金：そうですね。前年に優秀な成績を挙げた選手が選ばれることが多いのですが、監督がよく韓国のマスコミに対して語っているのは、単純に韓国のKBOリーグ（韓国のプロ野球リーグ）での成績が良い選手も大事だけど、国際大会の経験があり、国際大会に通用するかどうかで決めているようです。
芹玲那（以下、芹）：韓国は国際試合が強いですよね！
金：コーチングスタッフに元中日の宣銅烈（ソン・ドンヨル）さんがコーチにいたりして、やはり国際経験、短期決戦の戦い方を良く知っているメンバーがコーチにも選手にも集まっているのかなという気がします。
芹：すごく韓国の選手を見ていると、国際試合に強いというイメージがあって、それは選手同士の間で何か意識していることがあるのでしょうか？
金：国内よりも国際試合の方が通用する選手がいると思うんですけど、監督がそういった選手を集めていることが強さのポイントなんだと思います。
日本でも以前、千葉ロッテの渡辺 俊介選手（現・新日鐵住金かずさマジック選手兼コーチ）や牧田 和久選手（埼玉西武）がアンダースローでよく選出されていたかと思うんですけど、韓国でも今回、横手投げのサイドスローの選手が5人ぐらい選ばれているんです。ピッチャーとバッターが初めて対戦することが多いと思いますから、韓国国内の成績よりも、初見で結果を残せる可能性が高い選手を選んでいるのではないかなと思います。
芹：団結力もすごくありますよね！
金：代表選手の中には、2009年のWBC、2008年の北京オリンピックを経験した選手もいるので、そのベテランの選手たちを中心に組織されて、よく固まっているんじゃないかと思います。
今大会注目の韓国人選手は？！
左から金 弘智（キム・ホンジ）氏、芹 玲那さん、豊島 わかなさん（グラゼニ女子）
豊：今大会注目の選手を教えてください！
金：いっぱいいますが、今まで日本代表との試合に出てこなかった選手で考えると、ピッチャーでは梁ヒョン種（ヤン・ヒョンジョン）選手に注目です。去年はNPBへの移籍を模索したようですが、1年間KBOリーグのKIA タイガースに残留すると報道されていると思います（ヤン選手は1年契約でKIAに残留が決定）。
その梁ヒョン種選手は前回のプレミア12にも出ていなかったですし、2013年のWBCにも出ていなかったので、WBCやオリンピックなどの代表レベルの試合では、日本とはまだ対戦していない選手です。
以前から日本のスカウトからも評価が高い選手なので、こういった大舞台で日本代表ともし当たった場合には、どういったピッチングをするのか注目されています。
豊：動画で拝見しましたが、左で152キロって速いですよね！縦に落ちるスライダーもすごい！
金：アジアシリーズとか春季キャンプの練習試合とかで日本の球団とはよく試合をしているかと思うんですけど、公式戦や代表戦では初めてになるかと思いますので、僕自身も非常に注目しています。
芹：他にはどんな選手がいるのでしょうか？
金：若手ではないんですけど、ストーリー的に僕がとても気になっている選手がいます。NCダイノスのサイドハンドのピッチャー、元鐘玄（ウォン・ジョンヒョン）という選手です。
去年は54試合を投げて、17ホールドを挙げる投球を見せて、大ブレイクした選手なのですが、2年前に大腸癌を患っています。そこから復帰して、今回の代表入りまで上り詰め、すごく応援しているファンも多いかと思いますし、注目される選手の一人です。サイドハンドから結構速い球を投げるピッチャーなんです。
他にも、韓国にはパワーで押すクローザータイプのピッチャーがたくさんいます。今回各チームのクローザーを務める選手が、4、5人選ばれているので、監督が最初から継投を考えているのが伺えます。球数制限もありますし、継投で乗り切ることを想定しているんじゃないかなと。
豊：左腕投手もしっかりと揃えてきていますね！
金：そういえば、凡田 夏之介選手（グラゼニの主人公）のような左のサイドハンドのピッチャーが一人いますよ！
クローザーには、李賢承（イ・ヒョンスン）選手に注目で、彼は韓国シリーズの2年連続優勝のトゥサン ベアーズで、プレミア12でも最後投げています。準決勝の日本戦で最終回の3アウト目をとった投手です。
豊：おー！まさに！（笑）
金：同じトゥサン ベアーズだと、7年連続二桁勝利を継続中で昨シーズンも15勝挙げている張元準（チャン・ウォンジュン）選手もいますね。今回の代表では先ほど話をいたしました梁ヒョン種（ヤン・ヒョンジョン）選手、2013年から3年連続で二けた勝利を記録している右腕の禹奎珉（ウ・ギュミン）選手（サムソン・ライオンズ）、昨年まで千葉ロッテに在籍していた李 大恩（イ・デウン）選手、多分この4人が先発の軸になります。
あとは先発もロングリリーフできて、昨年日本に来るとも噂にもなりましたが、サムソンからLGツインズに移籍した車雨燦（チャ・ウチャン）選手も面白いでしょう。彼は2015年に最多奪三振を記録している。あとはさきほど紹介したクローザー軍団で、継投、継投で繋げていくんじゃないかと思います。
後編では韓国の高校野球事情や、WBCの見所、さらにイケメン選手についても教えていただきます！お楽しみに！
