江陵高等学校(北海道)
練習風景(江陵)
昨年、北北海道大会ベスト4に進んだ先輩たちを超えるためには
■古谷投手の快投で沸いた江陵!
北海道中川郡幕別町にある江陵高等学校。1946年4月に開設されると、1985年4月に現校名となった。有名なOBといえば、昨年、福岡ソフトバンクホークスから2位指名を受けた最速154キロ左腕・古谷 優人投手。昨夏は古谷投手の快投で北北海道大会ベスト4入り。その古谷投手の代に続いて、自分たちもさらなる躍進を目指すべく日々の練習に励んでいる江陵ナインを追った。
■雪上でもグラウンドで練習!
江陵高校の専用球場は学校隣のグラウンドにある。冬場は完全に雪で覆われている。普通ならば、グラウンドではなく、室内練習で練習ということになりそうだが、江陵はその状況下でもグラウンドで練習を行う。高橋 良太主将は「やはりグラウンドで練習することで、シーズンになった時、打球勘など違和感なく追うことができます」とグラウンドで練習するメリットを実感している。
その中でも名物メニューは、丸太走。ただでさえ走るのもつらい丸太走だが、それを滑りやすい雪上で走るのだから、相当きつい。主将は「滑りやすいですし、バランスを保つために、体幹がしっかりとしていないといけないので、足腰、下半身かなり鍛えられますね」と話す。プロ入りした古谷投手は相当速いスピードで駆け抜けたようだ。また雑巾がけをしながら走るメニューなど、体の機能性を高めるメニューを取り入れており、「野球につながるトレーニング」をするのが江陵の方針である。
■自分たちの未熟さを知った昨秋の支部大会
昨秋は十勝支部予選Bブロック2回戦で帯広大谷に2対3で敗れた江陵。この試合について、高橋主将は「勝てる試合を自分たちのミスでつぶしてしまった試合でした。それと同時に自分たちの力のなさを実感した試合でした」と反省する。このような負け方をしないためにも、冬は「人間力」を磨くことをテーマに試合に臨んでいる。
■142キロ右腕、センスの塊のショートなど個性的な選手が揃う
春、夏とさらなる浮上を目指すために、選手たちのレベルアップがカギとなる。
率いる谷本監督は、「力は昨年以上だと思います」と評するように今年のチームは個人の能力は高い。高橋主将は、「個性的な選手が多いのが特徴で一番のウリは、投手陣で、2学年で8人いますし、またいろいろなタイプがいて、それぞれが競争しあっているので、春以降の活躍が楽しみです」と投手陣の活躍に期待を寄せる。
その中でも注目なのがエースの工藤 遼太朗投手だ。181センチ79キロと恵まれた体格をした右の本格派で、1年秋から古谷投手とともに活躍。最速142キロのストレートと不規則に変化するフォークを武器にする工藤投手は、「もちろんコントロールも大事ですけど、僕は下半身が弱いので、下半身を鍛えて、さらにスムーズに動ける体にして、5キロ~10キロアップを目指したい」と意気込む。モチベーション高く望めるのは、1学年上にプロ入りを果たした古谷投手の姿がある。
「投手としての存在感、背中の大きさを一番見てきて、古谷さんの存在は本当に大きかったですね」
その古谷投手に続こうと、努力を重ねている。その工藤投手とともに投手陣の柱として期待され、打者としての能力の高さも評価されているのが小森 翔也選手だ。運動能力が非常に高く、外野を守りながらマウンドに登る。球質の良さが魅力で、工藤投手とは違った魅力があるという。
そして高橋主将を支えるのがゲームキャプテンの谷口 海斗選手。チームの中で最も成績が良く、さらに野球も知っていて、試合時のプランニングをする上では欠かせない選手。高橋主将や副主将が不在な時にチームを支える役割を果たしている。1年生ではショートストップの佐藤 那都(なつ)選手に注目だ。右投げ両打ちで、守備もうまく、俊足。2年生の選手たちは佐藤選手のことをセンスの塊と評する。
■春の大会へ向けて
高橋主将は、春の大会へ向けての意気込みを語った。
「秋は結果が出ていないですし、日々、支えている方々のためにも技術、人間力を磨いて恩返しをしたいと思います。そして僕たちが尊敬をしている昨年の3年生の先輩たちが残した北北海道大会ベスト4を超えたいです!」
チームのモットーである「球道即人道」を忘れず、人間力を磨き上げ、春と夏に向かう。
左から谷口 海斗選手、佐藤 那都選手、関谷 一輝選手、工藤 遼太朗選手、高橋 良太主将(江陵)
今度は選手としてベンチ入りをしたい
関谷 一輝選手にお話をお聞きました。
Q. 関谷選手は2年夏までマネージャーをやられていたと聞きました。
関谷:そうです。昨夏はスコアラーとしてベンチ入りさせてもらいました。なぜマネージャーをやっていたかというと、選手として能力では、ベンチ入りができないと感じ、どうすれば、3年生たちに貢献ができるのか?と考えたとき、マネージャーをやろうと思いました。
Q. そういう決意があったんですね!では選手として復帰した2年秋はいかがでしたか。
関谷:ベンチ入りができず、悔しい思いをしています。
Q. そうなるとベンチ入りが目標なんですね。
関谷:そうです。やはり最後の夏までには絶対にベンチ入りしたい。そんな思いで日々の練習に取り組んでいます。
Q. チームの支える役割をしている関谷選手だからこそ、いろいろ高校野球の魅力を感じていると思いますが、どんなことでしょう。
関谷:高校野球は3年間しかないんですけど、一番思い切り打ち込める時期であり、一番人としても成長できる時期だと思うので、そこが高校野球の魅力だと思っています。
Q. では最後に日々、成長のためにモットーにしている言葉を教えてください!
関谷:チームのモットーですね。球道即人道ですね。凡事徹底を積み重ね、人間力を磨くことが大事だと思っています。それを忘れずやっていきたいと思います!
関谷選手、ありがとうございました!
[page_break:課題は人間力]タイヤ押しトレーニング(江陵)
課題は人間力
最後に谷本 献悟監督にお話をお聞きしました。
Q. まず昨秋の大会はいかがでしたか。
昨秋は主力選手がケガなどで出られないこともありましたが、それでも帯広大谷に1点差の勝負を演じたのはよくやったと思います。
Q. 高橋主将も話しをしていましたが、今年は能力が高い選手が多いようですね。
それは私も感じますし、むしろ能力は古谷たちがいた代よりも上だと思っています。
Q. では選手たちの課題は何でしょう?
やはり人間力という部分だと思います。彼らの課題はそこですね。私の指導では、人間力がなければ、技術も伸びていかないと思っています。むしろそういう問題が見える選手は試合に出さない方針です。
プロ入りした古谷も、入学当初はプロへ行くような選手ではありませんでしたが、努力を重ね、そして人間的にも大きく成長したからこそ、プロへのステージに行けたと思います。
今年の2年生たちは能力は高いものを持っている選手が多いんです。あとはちゃんと人間力を磨く姿勢があるかですね。
Q. 最後に選手たちへメッセージをお願いします。
これまで人間力の話をずっとしてきていますが、うちのモットーである「球道即人道」を忘れずにしっかりとやってください。
江陵高校の皆さん、谷本監督、ありがとうございました!
今年も大好評!
【冬が僕らを強くする 特設ページ】
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!