Column

松本深志高等学校(長野)

2017.01.13


集合写真(長野県松本深志高等学校)

秋はみんながHERO!

■学校開校は明治時代と長い歴史のある松本深志

松本深志高等学校は明治9年に開校した伝統校で、昭和23年(1948年)に、現校名となった。数多くの文化人を輩出し、野球部OBではプロ3球団でプレーした土屋 政孝氏が有名だ。昨年はと3季連続でベスト8まで勝ち進み、今年はさらなる飛躍が期待される。今回はそんな松本深志の練習方針、内容などに迫った。

■チームを強くするためには環境整備から

現在24名で活動する松本深志。野球部専用のグラウンドはなく、グラウンド・ブルペン・屋内練習場と全ての施設の整備、環境美化を心掛けている。この意識こそが、チームを強くするための原点だとナインは考えている。そして髙山 起主将がチームの3つのウリを教えてくれた。

1:主体性
練習メニューを自分たちで考えるなど、”考える野球”を掲げています。

2:一体性
選手・マネージャー関係なく全員が深志高校野球部員であるとの誇りを胸に、チームスローガン「蜻蛉は大空をめざす」のもと、不退転の虫であるトンボ(校章)のように、勝利に向かって一体となっています。

3:意外性
全員が自分の持ち味を出すことで、どこからでも深志の奇想天外のプレーを仕掛けていきます。

■秋の大会を振り返る
そんな髙山主将は県ベスト8まで勝ち上がった昨秋の大会を振り返り、最も印象に残っている試合として中信予選会初戦の創造学園戦を挙げてくれた。3対2の1点差で競り勝ったことで波に乗った松本深志はベスト8を決める試合で岡谷南と対戦。延長12回に及ぶ大接戦の末、13対11で勝利を決めた。9回裏二死から追いつかれるという苦しい試合展開だったが、「全員の“必ず勝つ”という思いを結集させ掴み取った勝利でした」と振り返ってくれた。

 多くの公式戦を経験したことは選手たちにとって大きな自信となった。髙山主将は、
「どんな接戦の試合でも、相手より1点多く得点すれば勝ちで次があり、1点でも少なければ負けで終わり。当たり前のことですが、それを改めて感じました。また、チャンス一つひとつをモノにできたチーム力と集中力は自信になりました」と話した。

 しかし準々決勝上田西戦でコールド負け。この試合で感じた課題について髙山主将はこう語った。
「走塁・心・体、どれをとっても完敗でした。しかし、優勝チームと自分たちのレベルの差を体感できたので、この感覚と大敗した悔しさをこれからの練習に生かし、心・技・体の全てを鍛えあげたいです」
この戦いは自分自身を見つめ直す試合となり、有意義なものとなった。冬の練習では「どれをとっても上田西に追いつき、そして追い越していくように練習に臨みます」

この気持ちを忘れず、厳しい冬の練習に励んでいる。

■全員がHEROだけど、その中でも活躍してくれた選手!

昨秋活躍した選手について髙山主将に伺うと、「どの選手も全員が自分の力を出すことでひとつひとつの勝ちに繋がったと思います。いわば、全員がHEROです」とたたえたが、その中でも活躍してくれた選手を紹介してもらった。
まず新井 智也選手は1番打者として攻撃の起点となり、守備でも扇の要の捕手として投手陣をリードし、チームをまとめていった。そして4番として勝負強さを見せ、勝利の原動力となった金井 翔吾選手、創造学園戦で決勝適時打を放った今井 駿介選手、岡谷南戦(試合レポート)で勝ち越し適時打を打った北原 拓泉選手と多くの選手が、一人ひとりが自分の役目を果たし勝利に貢献。また投手陣の柱は一年生の小林 綾小林 絃の双子コンビ。さらなる活躍が期待される。

 今春へ向けて期待する選手について聞くと、豪快なバッティングフォームの福岡 陽向選手には長打を期待し、ムードメーカーの山口 俊哉選手には、チームを勢いづけてくれるチャンスに強いバッティングを期待。そして、松下 武史選手はみんながうらやましがる記憶力の持ち主で、勉強でも一度聞いたことをすぐに覚えてしまうので成績も常に上位の選手。松下選手には、「その記憶力を生かして、相手バッターの特徴や相手バッテリーの特徴をチームで共有したいです。そして“考える野球”の中心であってほしいと思います」とそれぞれの選手に対して、期待を込めていた。

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[page_break:松本深志ナインに珍指令!?]

■目標に向かってユニークな取り組みも紹介!

今シーズンは春の大会県ベスト4。夏は甲子園出場を目標に掲げた松本深志ナイン。そのために、オフシーズンではいろいろな取り組みを行っている。まずは管理栄養士の先生の指導を受けながら体重増加に取り組み、強い体を作り、また、秋季大会で課題となった走塁強化に取り組んでいる。松本深志独自のメニューとして、打撃・守備・走塁、全てに必要な柔軟性・バランス力を身につけるために、前方倒立回転跳びや後転倒立などの器械体操を全員がこなす。「ここぞ」で決めるための集中力も養うのが目的だ。

 さらにもう1つ面白い試みがある。チーム力を上げていくに欠かせない「相手を思いやる気持ち」を身につけるためになんと「部員全員が彼女を作る」ことも目標としている!人によってはかなり難しい目標だと髙山主将は語るが、松本深志ナインはこの難題を乗り越えることができるか?

■深志野球部員であることを忘れず

そして最後に髙山主将は冬の練習の意気込み、目標を語ってくれた。
「長いようであっという間に過ぎてしまうのがオフシーズン。限られた時間を大切に、1日、1週間、1ヶ月と目標を決め、効果的な練習を積み上げていきたいと思います。人として深志野球部員であることを肝に銘じて、チームとして戦う集団であることを忘れず、春・夏と勝ちます!」
強く宣言してくれた髙山主将。1日1日の練習を大事に、深志野球部員として大きく成長した姿を見せていく。

松本深志ナインに珍指令!?

北原 拓泉選手(長野県松本深志高等学校)

 ここからは北原 拓泉副主将と柏原 朋意マネージャーに答えていただきました。

Q. この秋を振り返って、見つけた課題を教えて下さい。

北原:攻撃面において、「走塁」が武器にならなかったことです。盗塁が仕掛けられない、単打で二塁から本塁へ帰って来られない。あと1つ先の塁を取るというプレッシャーをかけられず、思うように点が取れませんでした。また攻撃、守備いずれにおいても終盤の粘りが課題として表れた秋の大会でした。
柏原:昨秋は勝たなければいけなかった試合に勝てなかった、このことに尽きると思います。チームが思うようにいかない時に、きちんと先頭を走れなかった私たち2年生には課題が残りました。

Q. この冬はどんな冬にしたいでしょうか?

髙山 もえかさん、柏原 朋意さん(長野県松本深志高等学校)

北原:春ベスト4、夏甲子園出場と大きな目標を掲げる中で、各自が1週間ごと、もっと言えば1日ごとに明確な数値、目標を課してそれをクリアしていく中で、成長できる冬にしたいです。チームとしても、あらゆる面でのスピードアップにこだわって、数値と向き合う中で自分と戦っていきたいです。
柏原:いろいろな面で当たり前の基準を上げて、数値など形として残していきたいです。課題克服のために何をすべきか自分たちで考えることを大切にして、チーム全員で“すべては春ベスト4”のため、この思いひとつで大きく成長できる冬にします。

Q. モットーにしている好きな言葉は何でしょうか。

北原:「正しい練習は嘘をつかない」です。
柏原:「強いチームにはすばらしいマネージャーがいる」
私の野球ノートに監督の守屋先生から書いていただいた言葉です。それにふさわしい、“マネージャーの力あって”と言われるようなチームへの関わり方をしていきたいと思っています。

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[page_break:先進性と独創性のある練習を積み重ねよう]

練習風景(長野県松本深志高等学校)

Q. このチームの好きなところ、負けていないところは何でしょうか?

北原:チームとしても強く意識している「考える野球」です。何が必要なのか、何をすれば流れを作れるのか、練習においても各自がどれだけ工夫できるのか、といったように考えることを重視しています。この「考える野球」で勝負する戦い方は他のチームには負けません。
柏原:普段の練習のメニューを選手自身で考え、進めていくところが深志野球部の強みだと思います。今の自分たちに何が必要か考えて立てられたメニューは、時間が分刻みなため、スムーズに練習を進められるように準備することをマネージャーとして心がけています。

Q. ではこのオフシーズン、「自分はここまで成長するぞ!」というこの冬の熱い宣言をお願いします!

北原:「走塁」を武器にした攻撃力の先駆者に自分がなれるよう、バッティング・走塁を磨いていきます。守備でも、ここぞで勝負が出来るような、補殺が奪える外野手になります。
柏原:アナウンスの質を上げることです!秋の北信越大会の開会式で司会を務めさせていただいたり、公式戦でアナウンスをする機会も増え、アナウンスについて深く考えた秋でした。冬の間に、もっと研究と練習を積み重ね、聞き心地の良い声を目指し、最後の夏、先輩方と同じ夏の大会の開会式の舞台に立ちたいです。

 お2人とも素晴らしい宣言ありがとうございました。柏原さん、夏の長野大会の開会式の舞台に立つことを編集部一同、お祈りしております。

先進性と独創性のある練習を積み重ねよう

 守屋 光浩監督にお話を伺いました。

Q. 新チームが始まってからどんなテーマを持ち、チームを作り上げてきたのでしょうか。

 夏の大会を経験した選手が少なかったので、試合に近い形での練習、オープン戦を多くしてチームスタイルの確立を目指しました。ただ、秋の大会では目指すべき形での勝ち上がりができなかったので、この冬は深志スタイル“自分たちの野球”の確立に励みたいと思います。

Q. 厳しいトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします!

 偉大だった3年生を追い越すために、本校野球部の大きなテーマ“先進性”と“独創性”ある練習を積み重ね、大空を本気で目指そう。

 松本深志野球部の皆様、ありがとうございました!


今年も大好評!
冬が僕らを強くする 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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