メダル獲得に失敗した東京五輪ショックは、韓国球界で尾を引いている。野球の国際大会としては、今年は中国・抗州で開催されるアジア競技大会が重要であったが、コロナで延期。必然的にU18の大会が、重要になってきた。といって、関心が高いわけではなく、メディアの扱いも小さい。

 そのうえ今回の韓国代表には、最速156キロの速球を投げ、超高校級の評価を受けていたシム・ジュンソクが米国行きを表明し、メンバーから外れるなど有力選手の離脱もあり、前評判はそれほど高くない。

 そうした中でWエースとして注目されているのが、右のキム・ソヒョン(ソウル高)と左のユン・ヨンチョル(冲岩)だ。キム・ソヒョンは188センチの長身から最速157キロの速球にカーブ、スライダーなどを投げる。腕の振りがサイドに近く、阪神の藤浪 晋太郎に似たタイプだ。

 一方ユン・ヨンチョルは、最速は145キロほどだが、球の出所が見づらく、球速以上に威力がある。MLBブルージェイズの柳賢振(リュ・ヒョンジン)を手本としており、低めの制球力に優れ、カット、チェンジアップ、スライダー、カーブなど多彩な変化球を駆使し、完成度は高い。日本は左に弱いというのが、韓国では定説になっており、日本戦で投げる可能性もあるが、14日のオランダ戦にも登板しており、微妙なところだ。

 投手登録9人のうち、左投手はユンとファン・ジュンソ(奬忠)の2人だが、2人ともオランダ戦で投げており、日本戦はキム・ソヒョンの先発か?

 打者では不動の4番、キム・ボムソク(慶南)が中心となる。178センチ、95キロのがっちりとした体型。慶南は李大浩(イ・デホ=韓国ロッテ)の母校であり、打撃スタイルも先輩とよく似ている。キム・ボムソクは、中学時代には打率7割を記録したが、高校1、2年はケガで結果を残せなかった。それでも3年の今シーズンは公式戦で9本塁打を記録。これは木製バットとしては過去最多記録だ。今大会は捕手もしくはDHで出場しているが、プロ入り後は一塁手になると言われている。

 そのほか、李政厚(イ・ジョンフ=キーウム)の高校の後輩で、「第2の李政厚」と呼ばれるキム・ミンソク(徽文)や、今大会はやや調子が出ていないが、金泰均(キム・テギュン=元ハンファなど)の後輩で長打力に定評のあるムン・ヒョンビン(天安北一)、ユン・ヨンチョルとのコンビは最強のバッテリーと評されるキム・ドンホン(冲岩)なども注目される。



チェ・ジェホ監督

 代表監督は公募で決められ、江陵(カンヌン)監督のチェ・ジェホが就任した。ソウルの強豪校で実績を積み、2016年に江陵の監督に就任すると、高校球界では無名の同校を強豪に育て、2年前には大統領杯で優勝。これは、韓国東北部の江原道(カンウォンド)の学校として初の全国大会優勝となった。昨年は全国大会の中でも権威のある黄金獅子旗の大会でも優勝するなど、指導力には定評がある。

 今年は台風の影響で十分に練習を詰められず、不安の声もある。それでも、今までは大会の前にドラフト会議が開催された結果、プロチームから選手起用に関して干渉を受けることもあったが、今回は大会直後にドラフト会議が開催されるとあって、代表選手としては最後のアピールの場となる今大会へのモチベーションは高い。

 韓国は前身の大会も含め5回優勝している。元中日の宣銅烈(ソン・ドンヨル)をはじめとする韓国球界のスター選手の多くは、この大会での活躍で評価を高めた。今は関心が、さほど高くなくても、勝てば状況は一変する。その辺の切迫感は、脅威である。

(記事=大島 裕史)