Column

キューバの環境は東京代表の短期間での急激なレベルアップの一因に!【後編】

2019.01.20

 全国各地で海外遠征を行うチームが多くなっているが、キューバは日本の高校生のレベルを高めるには絶好の相手だった。それぐらい衝撃度があった。そんなキューバ野球を伝えていきたい。

 前編ではキューバ代表のパワーや、試合前のシートノックの日本との差を伝えていった。後編ではキューバ代表から学べること、海外遠征の利点について考えていく。

キューバ野球は日本野球のレベルを高める材料がたくさん詰まっていた【前編】

日本野球がキューバ代表から学べること

キューバの環境は東京代表の短期間での急激なレベルアップの一因に!【後編】 | 高校野球ドットコム
ゴロを捕球する成瀬 脩人(東海大菅生)

 東京代表はいわゆる日本式のシートノックで準備している。さらには試合前の打撃練習では小倉全由総合コーチ(日大三監督)は守っている内野手にノックを打って準備をさせていた。

 それでも選手たちはイレギュラーバウンドに対応できず、エラーを連発してしまった。我々からすれば、人工芝や土のグラウンドで数々の美技を見せている東京代表の選手たちがその姿を見せてしまうのはショックだったが、なぜ差が出てしまうのか、考えないといけない。

 やはりキューバの選手は普段からデコボコで天然芝のグラウンドで練習しているから、自然とグラブさばきが磨かれているのかもしれない。環境面では見劣りするかもしれないが、逆にこういうグラウンドこそ選手の守備力向上に一役買っていると言える。

 東京代表の選手を見ると、バウンドに苦労した成瀬脩人東海大菅生)や小松涼馬帝京)も第5戦になると球際に強くなり、捕球してから送球するまでのスピードが一段と速くなっていた。

 ちなみに外野守備では東京代表のほうが優れている。キューバ外野手の打球の反応、送球の正確性、守備範囲の広さは、日本の基準で見ると下手。日本の外野手レベルは本当に高い。MLBで活躍している日本人野手といえば、イチロー、松井秀喜福留孝介田口壮など外野手が多いのは偶然ではないのだ。

 もちろんキューバも日本の野球から学んでいることはある。キューバ代表のロランド・バスルト監督は「日本野球の時間通り動く、規律の高さは学べるところがあります。キューバ野球の欠点は組織力が低いところです。昔出来ていたところができなくなっているので、日本との親善試合を通して学んでいきたいと思います」と日本野球の規律性の高さを評価していた。

 また、第5戦を終えると、キューバ代表と東京代表がホームベース上で集まり、お互いに感謝の意を伝えていた。

 この姿を見て、改めて日本の高校野球はキューバ代表ともっと交流したほうが良いと感じた。東京代表の選手は貪欲にキューバ代表の選手から学び取ろうとする様子が見え、短期間で急激にレベルアップをしていた。ぜひ日本高野連、各都道府県の高野連は予算を出して、中南米の野球を学ぶ機会を作ってほしい。

文=河嶋 宗一

【関連ニュース】
東京代表が合同レセプション!ラテンの雰囲気を存分に味わう!
東京代表が初練習!気持ち1つに、戦闘状態へ!
いざキューバへ!東京選抜が決戦の地へ飛び立つ!
東京都高野連がU17代表のセレクションを実施!参加選手が刺激を受ける有意義なイベントに!
U17東京代表キューバ遠征、コーチングスタッフが決定!選手は11月にセレクションを実施!

【関連コラム】
東京代表の軌跡!キューバ遠征を人生のプラスに!


キューバで見つけた逸材たち【前編】 偉大な父の血筋を引き継いだ長身速球派右腕・ノルヘ・ベラ

【関連インタビュー】
打撃急成長の小松涼馬(帝京)は誰よりも肝が据わっている!
キューバ打線に自責点0の快投!細野晴希(東亜学園)を急成長させた繊細な感覚と観察力
安心感ある守備で信頼を掴み、強い向上心で打撃が急成長!甲子園ベスト4捕手・佐藤英雄(日大三)!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.17

昨秋は仙台育英に勝利も県4強止まり「サイン以上のことをやる野球」を極め甲子園目指す【野球部訪問・東陵編①】

2024.04.17

「慶應のやり方がいいとかじゃなく、野球界の今までの常識を疑ってかかってほしい」——元慶應高監督・上田誠さん【新連載『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.1】

2024.04.17

根尾 昂、一軍昇格へ準備着々! 盤石・中日投手陣に割って入れるか?

2024.04.17

【茨城】土浦日大と明秀日立が同ブロックに!選抜出場の常総学院は勝田工と対戦!<春季県大会組み合わせ>

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.12

【東京】ベスト8をかけ激突!関東一、帝京、早稲田実業などが登場<春季都大会>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード