キューバの環境は東京代表の短期間での急激なレベルアップの一因に!【後編】
全国各地で海外遠征を行うチームが多くなっているが、キューバは日本の高校生のレベルを高めるには絶好の相手だった。それぐらい衝撃度があった。そんなキューバ野球を伝えていきたい。
前編ではキューバ代表のパワーや、試合前のシートノックの日本との差を伝えていった。後編ではキューバ代表から学べること、海外遠征の利点について考えていく。
キューバ野球は日本野球のレベルを高める材料がたくさん詰まっていた【前編】
日本野球がキューバ代表から学べること
ゴロを捕球する成瀬 脩人(東海大菅生)
東京代表はいわゆる日本式のシートノックで準備している。さらには試合前の打撃練習では小倉全由総合コーチ(日大三監督)は守っている内野手にノックを打って準備をさせていた。
それでも選手たちはイレギュラーバウンドに対応できず、エラーを連発してしまった。我々からすれば、人工芝や土のグラウンドで数々の美技を見せている東京代表の選手たちがその姿を見せてしまうのはショックだったが、なぜ差が出てしまうのか、考えないといけない。
やはりキューバの選手は普段からデコボコで天然芝のグラウンドで練習しているから、自然とグラブさばきが磨かれているのかもしれない。環境面では見劣りするかもしれないが、逆にこういうグラウンドこそ選手の守備力向上に一役買っていると言える。
東京代表の選手を見ると、バウンドに苦労した成瀬脩人(東海大菅生)や小松涼馬(帝京)も第5戦になると球際に強くなり、捕球してから送球するまでのスピードが一段と速くなっていた。
ちなみに外野守備では東京代表のほうが優れている。キューバ外野手の打球の反応、送球の正確性、守備範囲の広さは、日本の基準で見ると下手。日本の外野手レベルは本当に高い。MLBで活躍している日本人野手といえば、イチロー、松井秀喜、福留孝介、田口壮など外野手が多いのは偶然ではないのだ。
もちろんキューバも日本の野球から学んでいることはある。キューバ代表のロランド・バスルト監督は「日本野球の時間通り動く、規律の高さは学べるところがあります。キューバ野球の欠点は組織力が低いところです。昔出来ていたところができなくなっているので、日本との親善試合を通して学んでいきたいと思います」と日本野球の規律性の高さを評価していた。
また、第5戦を終えると、キューバ代表と東京代表がホームベース上で集まり、お互いに感謝の意を伝えていた。
この姿を見て、改めて日本の高校野球はキューバ代表ともっと交流したほうが良いと感じた。東京代表の選手は貪欲にキューバ代表の選手から学び取ろうとする様子が見え、短期間で急激にレベルアップをしていた。ぜひ日本高野連、各都道府県の高野連は予算を出して、中南米の野球を学ぶ機会を作ってほしい。
文=河嶋 宗一
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