第10回 キューバ野球は日本野球のレベルを高める材料がたくさん詰まっていた【前編】2019年01月13日

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 全国各地で海外遠征を行うチームが多くなっているが、キューバは日本の高校生のレベルを高めるには絶好の相手だった。それぐらい衝撃度があった。そんなキューバ野球を伝えていきたい。

パワーは評判通り



ホームランを放ったモリーナを迎えるキューバ代表の選手

 5試合を行った東京代表とキューバ代表。実は日本代表の方が長打を打っている。キューバは1本塁打、5二塁打に対し、東京代表は1本塁打、7二塁打、2三塁打を放っている。それでも長打力はキューバの方が優れている印象がどうしても否めない。

 何といっても彼らがすごいのは外角球の対応力の高さだ。第1戦、ベレグリンが右中間へ二塁打を放ったのは外角ボールゾーン。日本の打者ならば届かないと思うゾーンを捕らえてしまうのがキューバである。第4戦でキューバの右スラッガー・マイケル・モリーナが右中間スタンドへ打ち込んだ飛距離、打球速度は日本の基準でいえばNPBの打者と変わらなかった。そんな18歳がいるのだ。

打撃動作は捻らない、余計なアクションは省く それでも強いスイング

 キューバの打撃練習を見ると、とにかく飛ばす。スタンドインも当たり前。それよりも興味が沸いたのが打撃動作である。キューバの打者はトップの動きを見るとトップに入った時、ヘッドの傾けが小さく、グリップ位置が低い選手が多い。少しだけヒッチさせて、腰を思い切り回転させてボールをぶつけていく。インパクトに入るまでの動作の無駄を省いているのだ。なんといってもこの腰の回転は日本の打者にはない鋭さ。これが強烈な打球を生み、詰まっても飛ばすことができるのだろう。

 外角球、低めのボールに強く、日本の打者ではあまり長打にできないゾーンを簡単に長打にしていた。対して東京代表の選手はトップをとったとき、ヘッドを投手方向に入れてタイミングを取る傾向が多い。良い悪いではなく、そういう成り立ちなのだろう。ただヘッドを入れすぎると、振り遅れる傾向が強い。最初はなかなか打てなかった。

 だからこそ東京代表の打者にも影響を与えた。佐藤 英雄日大三)は昼食を早めに食べて、キューバ選手の打撃練習を見て自分の打撃フォームの中に取り入れたのもこれまでのインタビューでも紹介させていただいた。

ノックは日本の基準では超適当 でも試合になるとジャンピングスロー、スナップスローなんでもこなす!


 海外の野球を見させてもらうと日本のシートノックの華麗さは世界一だと思う。大阪桐蔭のノックや強豪大学、強豪社会人チームのように、内野手が華麗なグラブさばき、素早い動きを見せてボールをさばいて、外野手が強肩を披露する。動きだけではなく、大きな声を出して、連携を取る。シートノックでそのチームの能力値はある程度把握できると思う。

 対してキューバ代表のノックははっきり言えば、適当である。ノッカーはマウンドの手前に立って、バットを半分持って、軽く転がす。外野ノックでもその位置である。日本ならば、ノッカーが自分の腕前を見せようと鋭い打球を右、左に打つが、基本的にキューバのノッカーが外野の頭を超える打球を打つことはほとんどない。本当に調整のためのノックである。

 ただその中で、内野手はジャンピングスローを魅せたり、バックハンドトスしたりと、リズミカルだ。ここがポイントで、日本のノックはずっと同じ姿勢でボールを裁くが、キューバの場合、ランニングスロー、ジャンピングスローといった動作を必ず取り入れる。適当なように見えても、抜け目ないことをしている。実際に試合に入ると彼らはエラーしない。内野グラウンドは芝目が深かったり、浅かったりとするもので、キレイに整ったグラウンドではなく、打球が遅くなり、イレギュラーバウンドも多いのだが、まったくエラーしない。彼らは形ではなく、アウトをすることを目的としているのだ。

文=河嶋 宗一

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プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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