台湾記者から見た日本の高校野球のスゴイところは?
いきなりですが、皆さんは「日本の野球」に対してどういった印象を持っていますか?
日本の野球というと全力プレーであったり、とんでもない大逆転であったりと様々なドラマが起きるというイメージですが、他国からはどういう風に見られているのでしょうか。
そこで今回は台湾でメディア関係の仕事に努めており、野球事情には非常に詳しい雷 明正さんに台湾から見たU‐18の侍JAPANについて伺いました。現在、U‐18侍JAPANが高校日本代表としてアジア選手権を必死に戦っている真っ只中ですが、なかなか他国から日本野球はどう思われているのかは聞けないことですので是非ご一読ください!
日本の努力があってのスモールベースボール
雷さんが注目選手に挙げる今井達也(作新学院)
日本の野球は全体的に細かいところが出来ていると思います。天性的に野球をやっているだけではなく頭もよく使っていますし、それは普段から基本的な練習をしているから細かい野球が出来ていると思いますね。まさに「スモールベースボール」。そして日本の野球は完全現代主義ですよ。1、2番の役割、4番の役割、先発・中継ぎ・抑えの役割など全てに対して役割がしっかりとしているし、また、08/31の台湾戦で特にその役割というのが象徴されていたのはバントですね。台湾の選手たちはバントがなかなか決められないですけど、日本の選手はほとんど成功していました。そのバントを決められる背景には先ほど言ったように練習から細かい事ができているからだと思います。今回は特にそれが強い印象ですけど、毎年見る度にそういった印象を持ちますね。
そして日本はしっかりと打線が「線」になっています。日本は伝統的に4番を中心に展開される打順を考えていて、4番を固めたら次は3番5番、1番2番と固めていくような打線を作っています。ただ台湾は全く違う。台湾の場合はまず最初に決めるのは先頭バッターです。足の速い選手を1番に置き、次に2番、それから長打力がある打者を3、4、5番と置いていくのが台湾の打順の決め方ですね。
日本の場合は、1番が出たら2番は90パーセント近くの確率でバントをしてきますが、台湾の選手はあまりバントが上手ではないので、バントはあまりしません。台湾の選手は野球というものに対しては、運動神経がある為、ある程度のプレーは出来るけど、野球全体に関しての知識はありません。ここで何をすべきかの役割や、ピッチャーが次にどういった球を投げてくるかなどは全く分かりません。台湾は天性の才能だけで野球をやっていますけども、もし台湾が日本のように頭を使う野球ができるようになれば、台湾は日本よりも強くなれる可能性はあると思いますね。
私が見て、今大会の日本代表は実力に関しては一番上であり、最強のチームだと思います。日本は毎年甲子園のモンスター達が代表として出場していますが、注目選手は今井 達也と寺島 成輝ですね。野手なら林中 勇輝、佐藤 勇基など。特に投手陣には注目が集まっています。多分、間違いなく日本のプロには行くとは思いますし、そういった将来のスター選手を台湾メディアは非常に注目しています。そういった選手が数多くいるのでこれからの試合も日本らしい野球に注目していきたいですね。
雷さんの話を聞くと、我々とはまた違った目線で日本の野球を見ていて、とても面白い話が聞けたと思います。次回は小学校から高校野球までの台湾の野球事情について雷さんにお話を伺いましたので次回もぜひお楽しみに!
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