目次

[1]テークバックをしないのではなく、効率的な動きでキレのあるボールを投げる
[2]次なる課題は外角に沈む変化球を 目指すは武田勝、山本昌のような投手を

 優勝候補・横浜の初戦の相手が東北に決まった。東北のエース・渡辺 法聖横浜打線が苦しめるのではないか?と注目される。その理由は、テイクバックをしない、「テイクバック0投法」を軸とした変幻自在な投球だ。

 2年まで全く実績なし。試行錯誤を続け、ようやくこの投法を見つけ出した渡辺は、今年の宮城大会で快投を続け、48イニングを投げて、僅か8失点。決勝戦の利府戦では2安打完封勝利で甲子園出場に導いたのだ。その渡辺のピッチングをじっくりと見ると、長い時間をかけて作り上げた、真の変則派左腕であることが分かった。

テイクバックをしないのではなく、効率的な動きでキレのあるボールを投げる

渡辺 法聖(東北)

 投手においてテイクバックを全くしないということはありえない。バックスイングする動作は、力のあるボールを投げるためには欠かせない動作。ここから、腰、体幹といった「軸」となる部分を連動させて腕を振ることで、力強いストレートを投げることができる。このバックスイングがなければその連動もできないのだ。

 渡辺の動作をじっくりと見ると、確かにテイクバックの動きは小さい。だが招き猫のような動作の中でも、若干バックスイングを取って、トップを作っているのだ。渡辺は始動から足を上げて、テークバックを取るまでの動作で、全く腕が見えないように工夫している。打者からすれば、なかなか腕の振りが見えない。

 そこから腰の回転と腕の振りを連動させることができており、変則的に見えても、投球のメカニズムはスムーズなのだ。渡辺はこのフォームで、130キロ~130キロ後半の速球を投げ込み、最速139キロ。変則的なフォームになる投手はどうしても動作がぎくしゃくしたものになり、球速が出ない投手が多いが、渡辺の場合、リリースの時にしっかりと肘が立って、投げることができる。細かい動作を見ていくと強いストレートを投げられる腕の振りをしている。

 タイミングが取りにくい、出所が見えにくい、さらにスピードは130キロ後半と想像以上に出ている。これは打者からすれば厄介。渡辺はこのフォームで1つのウリができているのだ。