Column

PL学園が迎える最後の夏。 春夏全国優勝7回の王者の歩み

2016.07.09


輝かしい戦績を誇るPL学園。ユニフォームは遂に見納めとなるのか?

『強豪校』はPL学園の代名詞だった

 日本高校野球史にその名を轟かせたPL学園、休部前最後の大会。今年の夏が近付くにつれ、大阪はもちろん全国の高校野球ファンはその事実が逃げようなく現実味を帯びてきたと感じていることだろう。在籍する3年生12人は、文字通り「最後の夏」を迎える。

 PL学園といえば大阪の、いや全国を代表する強い高校の代名詞だった。
数々の名勝負を生み、名選手を輩出し、日本球界の発展に貢献したチームの一つであることは疑いようもない。

全国大会の戦績は、下記の通り凄まじい。
夏:出場17回、優勝4回、準優勝3回 48勝13敗
春:出場20回、優勝3回、準優勝1回 48勝17敗

 勝利数は春は3位タイ、夏は4位。何より凄いのは、多くの学校が30回から40回と数多くの出場から積み上げたのに対し、PL学園は春は20回出場、夏は17回出場と全国常連校と比べれば少ない出場回数でここまで数字を積み上げたのだ。

 ここでPL学園の歴史を振り返ると1955年に学校が創立され、そして1956年に野球部が創部。1962年に甲子園初出場を果たすと、創部6年目で、大阪の強豪校の仲間入りを果たしたPL学園。しかし当時は浪商(現・大体大浪商)、大阪明星、北陽(現・関大北陽)といった学校が全盛期で、また興國、大鉄(阪南大高)の躍進もあり、PL学園も大阪大会の上位まで勝ち進むも、なかなか全国大会に辿りつくことができなかった。そして甲子園に顔を出すようになったのは、1970年代からだ。そして初優勝を果たしたのが1978年の第60回記念全国高校野球選手権大会である。それまでも過酷な大阪を勝ち進んだ強者は選手権でも決勝の舞台には、2度(1970年、1976年)進んでいるものの、あと一歩が足りなかった。だがこの大会は、準決勝、決勝を奇跡的な逆転勝ちを見せる。まず準決勝では中京(現・中京大中京)に9回二死まで0対4で敗れていた。ここから同点に追いつき、そして延長12回裏にサヨナラ勝ち。そして決勝では高知商に、9回表が終わって0対2で敗れていた。しかし9回裏に3点を入れて逆転サヨナラでこの大会を制し、初優勝を飾った。このとんでもない逆転劇により、PL学園は、「逆転のPL」と呼ばれるようになり、「逆転のPL」が数々の信じられないプレーを起こしたことから「甲子園には魔物が棲む」と言われるようになったという説もある。これ以降、PL学園は黄金期を迎えることとなる。

 特に1980年代は1981年のセンバツから1987年の選手権まで、毎年途切れることなく全国大会の舞台へと進んできた。
センバツ、選手権合わせて出場は10回。その間、センバツ3回、選手権3回の優勝を誇り、準優勝はそれぞれ1回。87年には春夏連覇も果たしている。初戦敗退となった1986年の第58回選抜高等学校野球大会では浜松商に1回戦で敗れ初戦敗退となり大きな話題になったものの、それ以外は出ればベスト4は当たり前、決勝に進めなければニュース沙汰という異次元の世界だった。

 その後、1990年代に入っても強さは健在で、1998年には春ベスト4、夏はベスト8。夏では神奈川横浜と延長17回の死闘を演じ、その対決の内側に迫ったストーリーが書籍化されて大ヒットするなど、未だに高校野球ファンにとって思い出深いカードとして語り継がれている。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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