Column

周りへの感謝を胸に夏連覇を全力で応援!花咲徳栄吹奏楽部

2018.07.22

 昨夏、埼玉県勢で初めて真紅の大優勝旗を持って帰ってきた花咲徳栄。今年は北埼玉の代表として2年連続での優勝を目指す。
 そんな花咲徳栄の心強い味方がスタンドにいる。その味方とは、選手の保護者はもちろんだが、素晴らしい音色で選手の背中を押す吹奏楽部である。今回はそんな吹奏楽部に訪問した。一体どんな練習を毎日しているのか。そしてどんな想いを持って野球部応援をしているのか、お話を伺った。

感謝と生徒想いに溢れる部活動

 「やりたい楽器をやらせます。それで楽器の数とかのバランスが崩れたとしてもです。」
 そう話すのは、花咲徳栄吹奏楽部の川口智子先生である。学校によって楽器の数が違うので希望通りにできるわけではない。もし人数が多ければオーディションを行い、落ちるとあまり人気のない楽器になるケースもあるそうだ。

 そうした理由で好きな楽器を扱えないケースがあるが、花咲徳栄ではそれがないのだ。
「生徒の気持ちを尊重していますので、今までやりたくない楽器を生徒にやらせたことはないです。」
 この川口先生の信念があって、花咲徳栄では生徒がやりたい楽器を演奏することができる。

 生徒のことを大事している川口先生だが、ほかにも大事にしていることがある。それは感謝の気持ちだ。
「私自身が『ありがとう』が一番好きな言葉なので、少しでも思ったら言って欲しいと思っています」と語る。感謝を大事しているのだが、もっとも感謝すべき人は生徒それぞれの親であると川口先生は言う。
「生徒たちの年齢は応援や支えがまだ必要なので、やりたいことを一生懸命応援してくれているのは非常にありがたいことなんです。そのこともあって、何度も生徒には親に感謝しなさいと言っています。」

 感謝という言葉を胸に毎日生徒に指導をしている川口先生。そんな川口先生の指導の下、吹奏楽部の生徒は毎日個人からパート、合奏の流れで練習に励んでいる。
 この個人から全体の練習の流れ。1つのモノを仕上げる時間の長さに野球部と類似した部分があるように川口先生は感じていた。 
 シートノックなら内野と外野を分けてから全体を通す。さらにバッティングもフリーで打ってからケースでのバッティングをしたりと、個人のスキルアップから全体で噛み合わせていく。そこの細かな段取りによる時間のかけかたが吹奏楽部の練習と似ているのだ。

 吹奏楽も野球も、ともに団体競技だ。個人のスキルアップが全体の土台のアップ、そして個々人の連携が取れて初めて演奏が成立する。それが吹奏楽部だというのがこの話から見えてきた。

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様々な活動を通じて、素敵な大人に!

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花咲徳栄吹奏楽部

 西関東コンクールで優秀な成績を収めるなど、吹奏楽部の実績は確かである。だからこそ、コンクールへの練習にこの時期は重点を置いているが、野球部応援が重なるこの時期は川口先生にとって頭を悩ます時期でもある。

 「野球部応援を目的に入部している生徒もいますが、コンクールを目的にしている生徒ももちろんいます。しかしコンクールは55人までなので、参加できない生徒もいます。
 特にコンクールを目指してきた3年生の中にも参加できない生徒もいるので。本当はコンクールに出たいと思っているはずですが、野球部応援に行っている。その生徒は複雑な心境だと思います。」

 「だからこそ、そういった子の分まで私はコンクールの方を頑張らないといけないと思っている」と川口先生。こうしたところからも生徒想いの一面をを覗かせてくれた。
 また自分の願いとは違うと思うが、自分たちの好きなことで喜んでもらっていると信じて頑張る姿が、けなげでかわいらしいと、生徒の一生懸命な姿に心を打たれている。

 こうした生徒への想いを形で表現するために、甲子園の応援から朝帰ってきた生徒に癒されて欲しいので、黒板に「お帰り」と書いておくそうだ。
 甲子園の時期はコンクールの参加メンバーと野球部応援のメンバーの生活リズムが真逆で会う時間も少ないので、こうした形で生徒たちのことを励ましている。

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花咲徳栄 吹奏楽部

 感謝の気持ち。そして生徒想いの一面を持った川口先生は、中学校の吹奏楽部の生徒の間で有名人である。強豪校の顧問の先生であるということはもちろんあるが、実は花咲徳栄は中学生と一緒に野球応援をすることもあるのだ。

 なぜ一緒にやるのか聞いてみると、「大きい音を出してもいいという機会を作るためなんです。それと応援は単純なモノを繰り返すので、難しいことがない。なので、10回やっていれば最初に比べて上手くなる。そうやって楽譜になれることも目的に始めました。」

 これは吹奏楽の世界では、体育連盟に比べて高校と中学の交流はそこまで厳しくないことから、こうしたことができるそうだ。

 なかなか大きい音を出す機会がない中学生にとって、このチャンスはありがたい。そして2時間程度で多くの曲に触れることもできる。野球応援は中学生にとって良い成長の場なのである。その場を提供していることもあり、川口先生の名が広まったのだ。
 つまり、中学生から知られているのは、川口先生の生徒への想いがあってこその認知度なのである。

 感謝の2文字を念頭に置きつつも生徒想いがあふれ出る川口先生は最後に、しっかりと芯が通っていながらも優しい口調でこんなことを話してくれた。
 「今は高校生だけではできないこともあるはずなので、全力でサポートしてもらっているはずなんです。だからこそ大人になったら自分がしてもらったことをできるような大人になって欲しいんです。」

 ここまで見てきた川口先生の指導は、全て生徒の今後を見据えていたからこそのモノだった。
 こうした環境の下で毎日練習する生徒ともに、この夏もコンクールに野球部応援にと、大忙しの夏を過ごすだろう。

 次のページからは、3年生の伊藤剛君(以下、伊藤)、大塚美鈴さん(以下、大塚)、根本真衣さん(以下、根本)、2年生の田中咲さん(以下、田中)、荒木桃花さん(以下、荒木)、佐藤慎一郎君(以下、佐藤)にお話を伺いました!

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記念の大会で連覇を成し遂げて欲しい!

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左から、大塚美鈴さん、根本真衣さん、伊藤剛君、伊藤慎一郎君、荒木桃花さん、田中咲さん

――Q徳栄の印象は?

佐藤:
入学式の時に、2階で演奏している吹奏楽部を見たんです。自分の中学の頃はこんなに大所帯ではなかったので、人数の多さに圧倒されて、凄いなぁと思いました。

荒木:
中学の時に高校生もいる大きな演奏会の場で、同じ中学の先輩も行っている徳栄の演奏を聞いて、まずは人数の多さに圧倒されました。また西関東大会に出るだけの音に迫力があり、カッコ良かったです。

大塚:
座奏で西関東大会に出場している吹奏楽部に入りたかったので、そういう印象がありました。
田中:
定期演奏会を見た際に、知らない楽器や人数の多さに感動しました。徳栄は強豪で、最初は中学とはレベルが違いますので、先輩が怖いのかなぁと思っていました。ですが、見学した際に同じ楽器の先輩がいて、同じパートに多くの人がいるのが初めてで楽しみが強かったです!

根本:
入学前に部活体験でここに来た時に、先輩方の雰囲気が明るく、メリハリがあるなと思いました。実は中学の頃がダラけた感じで良くないと持っていたので、高校なら良くなれるかなと思って入りました。ちょっと変われたと思います。

伊藤:
初めて演奏を聞いたのが、定期演奏会を中2で聞いたときです。他の学校より、心を動かされました。また伊奈学園春日部共栄とも違った雰囲気を定期演奏会から感じました。それと全国にまだ出たことがなかったので、自分たちの代で行きたいと思って進学を決めました。

――Q野球部応援の面白さは?

大塚:
野球応援していることそのものは楽しいですが、演奏を聞いて打席に入る選手たちのテンションが上がる、モチベーションが上がって点数が入る、またヒットが出るのは嬉しいです。

佐藤:
一体感が一番だと思います。吹く人・打席・応援する人の曲でまとまれる感じが楽しいです。

田中:
外で演奏すること自体が楽しいです。また頑張っている選手が自分たちの演奏する曲で盛り上がっているのも嬉しいですし、去年もヒットの後に校歌を吹けたのも幸せです。とにかくまとまれる。1つになれるのは嬉しいです。

荒木:
吹奏楽部と野球部、他部活の人など全員で応援。学校全体で野球部を全力で応援するんだ。雰囲気が団結している感じがして楽しいです。

根本:吹奏楽を好きでやっているので、その好きなことで誰かを応援できていること自体が嬉しいです。

伊藤:
観客が一体となって応援できることだと思います。掛け声であったり、演奏していない人も掛け声で応援してくれる、一体感あるところが好きです。

――Q野球応援の一押しの楽曲は何ですか?

田中:サスケです!一番野球部が盛り上がって、楽しくできます!

根本:
アフリカンシンフォニーです!打楽器が他と違うリズムで、腕取れそうなくらい大変ですが、好きです。

大塚:サンバですね!明るい曲の感じが野球部応援に向いている感じがしますし、実際に吹いていて面白いです。

佐藤:サウスポーです!チャンスが来ているな、そんな感じがするんです(笑)

荒木:ヒットの時のBGMです(笑)短いですが、野球部・吹奏楽部もテンションが上がっているので、楽しいです!

伊藤:サスケです!やっぱり徳栄っていう感じがするので!

――Q最後に野球部の皆さんにメッセージを!

大塚:100回大会で2チーム埼玉からは出場できるので、去年の優勝で油断せずに、夏連覇してほしいです。

田中:去年凄く幸せな瞬間を野球部のおかげで味わえました。今年も野球応援のレベルを上げて良い音を届けられるように精一杯応援するので、連覇してほしいです。
根本:去年野球部が全国制覇をして、吹奏楽部は西関東コンクールがありましたが、野球部が優勝してから本番をやって、全国に行きたいという想いが強くなりました。良い刺激を受けられました。ですので、今年も野球部・吹奏楽ともに全国で1番になれるようにしたいのでお互いに頑張りたいです。
佐藤:今年は、去年の同じクラスメイト含めて、同級生が沢山出ていて見ていて頑張れるので、優勝して目指して頑張って欲しいです。
荒木:今年は100回大会で記念にも歴史にも残るので、記念すべき年だからこそ2連覇して欲しいです。
伊藤:去年に引き続き甲子園に出て欲しいです!自分たちもそのサポートになるように演奏で後押しできるようにしたいです。
野球部も吹奏楽部も全国大会を目指して。甲子園目指して頑張っていきたいと思います。

■花咲徳栄メドレー

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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