Column

作新学院(栃木)磨いてきた人間性で選手に元気を与えられる演奏をしたい!

2018.07.07

 いよいよ開幕する夏の栃木大会で、大会8連覇を目指すチームがいる。2年前の甲子園優勝校・作新学院である。そんな作新学院の背中を押す力強い味方が今回訪問した吹奏楽部だ。

 作新学院吹奏楽部は昨年、東関東吹奏楽コンクールと呼ばれる、千葉・茨城・神奈川・栃木の4県合同で開催される大きなコンクールで金賞を受賞するなど輝かしい実績を持っている。そんな作新学院吹奏楽部はどんな活動をしているのか顧問の先生や生徒からお話を伺いました。

良い演奏は人間性から繋がっている

 『礼儀正しい。気が遣える』
 この言葉がふさわしい、という印象が強い作新学院吹奏楽部。部室の方に足を運べば生徒は必ず『こんにちわ』と元気に笑顔で挨拶をしてくれた。取材中も、生徒は今どこで練習をしているのか質問すると、とても丁寧な言葉づかいで答えてくれた。

 非常にしっかりした生徒だと私は心から思った。だが、どうしてこれだけしっかりした生徒がしっかりしているのか。これは顧問の三橋英之先生が礼儀といった人間性を重んじる指導方針が中心に据えられているからだ。

「若い時はコンクールのため、全日本吹奏楽コンクールに行くために、勝利至上主義をもって生徒に対して厳しい言葉を使っていた」と昔を振り返る三橋先生。
 だが様々な経験を積んでいく中で、礼儀といった人間性を磨く大事さにも気づいたのだった。なぜなら演奏するのは「人」だからだ。

 その意識は扉の開け方1つとっても徹底されている。
 「扉の向こうには必ず誰かいると思って生徒には扉を開けさせるようにしています。それくらい気を遣ってほしいんです。」
 毎日の生活をどれだけ誠実に過ごすか。ここでコンクールに向けて最後の調整するときに、全員の意思が合うか。それとも合わないのかがかかってくる。

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作新学院吹奏楽部の皆さん

 また同じ音を出すにも、人によって捉え方は様々。短い音で吹く者もいれば、長く音を吹く者もいる。この辺りの意識を統一するためにも、人として誠実に育てることが大事で、その一環にあったのが礼儀だと説いてくれた。

 インタビュー中、終始明るい表情を見せていた三橋先生が、コンクールへの熱い想いを見せた瞬間だった。それだけ良い演奏をするためにはきめ細やかな心遣いが必要である。その重要性を感じさせる言葉だった。

 生徒はその教えを胸に学校生活を送っていることもあって、学校案内のパンフレットに掲載されるモデルや、級長になるなど模範的な生徒が多い。

 三橋先生は他にも生徒に対して接しやすい雰囲気を作るために、対話を重視して110名いる部員一人一人と、少しでも会話をするようにしている。
 こうすることで生徒が部活に来るのを楽しみしてもらえるようにした。これも三橋先生が多くの経験を積んで変えて来た部分である。

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ワクワク・ドキドキする舞台に行けるように丁寧な演奏を!

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顧問の三橋英之先生

 作新学院の吹奏楽部は月・火曜日はオフにしているが、土日は学校外のイベントにほぼ毎週参加している。さらにこの時期は野球部応援にコンクールへの練習など、ハードな日程をこなしている。

 このハードな日程にも三橋先生の意図が隠されていた。その真意を真剣な眼差しで語ってくれた。
 「様々なイベントに参加することで生徒の中で演奏のレパートリー・引き出しといった経験値が増える。それがコンクールやコンサートに活きてくるんだとわかったんです。」
 野球部応援は50曲以上のレパートリーがある作新学院吹奏楽部。それは生徒のレベルアップに直結するためだったのだ。 

 しかし、ただ参加するのではなく一つ一つのイベントに対して丁寧に、自分たちの持っている100%の演奏を生徒に演奏するように意識するように話している。すべて自分たちの演奏のスキルがアップするチャンスをもらったと考えれば当たり前だと三橋先生は話す。
 そのおかげもあり、オファーも来るようになってありがたいと感謝の言葉を述べた。

 もうじき夏の応援が始まるが、最大の課題が天候。栃木は雷がよく落ちるため、どう対策を練るか。どれだけ天候が悪くなっても100%を発揮するにはどうするのか考えることがコンクールとは違う。
 それだけではなく音を相手のスタンドに向けて吹く。ただ、あくまで綺麗な音を出すことを野球部応援では気を付けている。

 この夏も野球部は優勝候補筆頭だが、もし優勝すれば8連覇となる。野球部も吹奏楽部も近年何度も甲子園に行っているが、「芝の青さや歓声などがとにかく凄い。何度言ってもワクワク・ドキドキを感じる」と、少し興奮気味に甲子園への想いを語ってくれた。

 「授業で教えている野球部の生徒も何人かいるので、愛着があります。だからこそ心から応援してやりたいんです。」 明るい音で選手を元気にできるような演奏をしたいと最後は落ち着いた口調ながら、自信をもって意気込みを話してくれた。

 次は、部長の小林ひかるさん、野球応援責任者の佐藤梓さん、野球応援コンサート責任者の菊地梨歩さんの3人にお話を伺いました!

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100回目の記念の夏に一緒に甲子園に行きたい!

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左から小林ひかるさん、菊地梨歩さん、佐藤梓さん

 ここからは小林ひかるさん(以下、小林)、佐藤梓さん(以下、佐藤)、菊地梨歩さん(以下、菊地)の3人にお話を伺いました!

――Q入学前は作新学院吹奏楽部にどんな印象を持っていたのでしょう?

佐藤:
中学生の頃は県内トップと思っていたので、礼儀や技術が凄いんだろうなぁと思っていました。

小林:
演奏会の様子しか知らなかったですか、凛としている。しっかりしていてカッコイイと思いました。だから多分練習も凄いんだろうなって思っていました。

菊地:
私も2人と同じ感じで、練習と礼儀が凄いんだろうなと思いました。

――Q実際入部したら、練習は大変でしたか?

菊地:
思っていたよりも厳しかったです(笑)

小林:
1年生の時はついていくので精一杯でしたが、私の中ではハードルを物凄く高くしていたので、そこまで驚きはありませんでした。

――Qコンクールと野球部応援の練習は分けるのですか?

佐藤:
野球応援はあまりやらず、部活終わりに少しだけ個人で練習をやるような感じです。

――Q野球部応援の面白さとは

小林:
コンサートはかなり神経を使うなりに面白さも沢山あります。けど、野球部応援だけが色んな曲を使うので、その辺りも面白いです。

菊地:楽しいというのもありますが、外なので開放感がありますね(笑)

佐藤:私もその点は同じです!

小林:それはあるかも(笑)

――Q甲子園のスタンドはどうでしたか?

佐藤:アルプスの一体感が凄かったです!特に決勝戦とかはまとまりがありました。

小林:
観客の多さが凄くて、そこに甲子園で演奏している実感が湧いてきました。

菊地:スタンドの人数が凄くて、ヒットとか少しのことで盛り上がって、とにかく歓声が物凄かったです。あと優勝が決まる瞬間も凄かったです!

――Q甲子園での演奏はどんな感じだったんですか?

小林:聞こえないと言われました。

佐藤:うん、言われたね!

菊地:県大会よりスタンドとグランドが離れているので、そういう言われました。

――Q一押しの楽曲は?

菊地:必殺仕事人です。ラッパのソロの部分が好きなので!

小林:アフリカンシンフォニーが吹きやすいので、好きです!

佐藤:去年から入れた曲ですがモンキーターンです。テンポが速くて、気持ちや勢いで吹けるので良いです!

――Q最後に選手たちにメッセージをお願いします!

佐藤:100回記念で選手も私たちも甲子園に行きたいと思っているので、全員の想いを胸に頑張って欲しいです!

小林:3年生にとって最後の夏なので、思い切ってやって欲しいです。

菊地:100回記念の大会で3年生の同じクラスの友達が活躍しているのを見て、自分も頑張ろうと思えるので、甲子園に行って活躍してほしいです!

 質問に対して丁寧に答えてくれた3人。三橋先生が考える、誠実な生徒という印象を見受けられたが、話していく中で時々見せる満面な笑顔がさらに好感を持たせた。模範生となるのも納得がいく。

 彼女たちの応援を背に作新学院がどんな野球を見せてくれるのか、楽しみだ。

■作新学院メドレー

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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