Column

3年生座談会 市立桜宮高等学校(大阪)・前編「代表、サポートメンバーが1つになるために」

2016.11.03

 スポーツが盛んな市立[team]桜宮[/team]。主なOBとしては、矢野 燿大氏(阪神タイガースコーチ)。また八戸学院光星仲井 宗基監督も桜宮の出身である。この夏、快進撃を続け、公立校として唯一のベスト4に入った桜宮の選手たち8名に、この夏を振り返ってもらった。

<メンバー>
松井 満沙樹:主将
出口 翔一朗:捕手
前田 駿:副主将
津田 和樹:3年生サポートメンバーのまとめ役
田辺 行成:三塁ランナーコーチャー
大倉 竜馬:応援団長
松浦 尚矢:データ班
津本 真耶さん:マネージャー

全体的な力をつけることから始まった

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松井 満沙樹(市立桜宮高等学校)

――まず新チームスタートした時の状況を振り返っていただければと思います。

松井:うちは伝統的に部員が多くて、僕らの学年は一学年60人もいます。それを強みにするためにしっかりとチームを団結する必要がありました。意思疎通がとりにくいんです。最初はまとまりがなかったので、僕や副主将が中心となって、ミーティングや話し合いを何回も行って、まとまっていった感じでしたね。

――そうやってチームの団結を深めていった中で、の初戦はの準優勝校の大体大浪商でした。チームとしてはどういう戦いをしようと思いましたか?

松井:相手投手も良かったですし、ミスしたら負けだと思いました。ロースコアで戦おうと思いました。

――結果としては1対3で敗れましたが、この試合で何を学びましたでしょうか。

出口:自分はスタメンではなく、ブルペンでずっと試合を見ていました。その時に感じたのは、コントロールが良ければ通用しますが、相手打線はコントロールミスを逃さない打線でした。コントロールミスをなくすためにはどういう配球をすればいいかを学んだ試合でしたね。

――守備面の課題は分かりました。打撃面についてはどんなことに課題をおいて取り組んでいたのでしょうか?

松井:当時の僕たちは打撃に必要なパワーが根本的に欠けていました。大体大浪商戦の前は相手エースの西田光汰君対策として、マシンを早めに設定して打撃練習をしたのですが、それでも打てなかったです。バットを強く振って速い球を打つ力がなかったことを感じたので、まず基礎体力の向上として、腹筋、背筋のトレーニングを重ねて、スイング量を増やしていきました。

[page_break:個々の成長を実感も守備のミスで春の大会で敗れる]

個々の成長を実感も守備のミスで春の大会で敗れる

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出口 翔一朗(市立桜宮高等学校)

――ひと冬越えて、成長を実感できましたか?

松井:チーム全体を見ると強いスイングができる選手が多くなったと思いますし、投手陣全体を見てもコントロールも上がったと思いました。守備力も基礎練習もしっかりとやっていたので、走攻守の基礎の部分は身についたと手ごたえを感じました。

出口:僕は捕手として、投手陣についてはその持ち味が発揮できるように、投球練習から意識してきました。たとえば、夏では背番号10番だった橋本 拓也には、インコースをしっかりと攻められる投手なので、インコースを生かしてアウトコースへスライダー、カット系の変化球をコントロールよく投げられる練習をしてきました。僕自身としては、走ったら走者をすべてさすつもりで送球練習をしてきまして、盗塁阻止能力はだいぶついたと思います。

――個々の能力アップに努めていった冬だったんですね。その期間、チームをまとめることも大事だと思います。前田君は副主将としてまとめる立場でしたが、どうまとめていったのでしょうか。

前田:副主将の立場としてしっかりしないといけないので、自分が選手へ指摘することが多くなりました。その時気を付けていたこととして、何かあれば、なぜそういうことをしたの?と考えさせるようにしていました。僕はいろいろ注意する立場でしたが、それでも後輩の行動からいろいろ気づかされることは多かったと思います。

――やはりこの人数だと、ミーティングも多くなりそうですね。

松井:この人数ですので、意見が違うこともありますが、それでもお互い意見を出し合うことでチームは1つになっていったと思います。

――個々も、チームも、成長していって、臨んだ春の大会。3回戦では昨年夏のベスト4の大冠に4対3で勝ったのは大きかったですか?

松井:強いのは分かっていましたし、公立対決といわれていたんですけど、僕らは気にせず戦えたのが大きかったと思います。この試合、先制して、その後追いつかれたのですが、何とかしのぎ切って、出口が決勝タイムリーを打ったんです!

――では出口君に聞きましょう!

出口:二死三塁から、真っすぐ狙っていて、低めの変化球を捨てて、思い切って真っ直ぐ絞っていました。読み通りストレートがきて打ち返したら、センター前へ打つことができました。公式戦では初の殊勲打ですね!

――チームにとって会心の勝利でしたが、次の4回戦の初芝立命館戦では4対7で負けてしまいました。

松井:この試合では、僕のエラーをきっかけに1イニングで6点取られてしまった試合で、悪い流れを止めることができなかったのが反省点です。ミスをしなければ戦える相手だったので、悔しかったです。

[page_break:代表、サポートメンバーが1つになる]

代表、サポートメンバーが1つになる

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前田 駿(市立桜宮高等学校)

――春の大会を踏まえて、夏ではどんな戦いをしていこうと決めていきましたか?

松井:やはりミスが響いた負けでしたので、グラウンドに入ってからの姿勢を見直すことになりました。グラウンドでは常に走って、てきぱきと行動することを心がけました。あとは、レギュラー争いができるのもこれが最後。3年生全員がベンチ入りできるわけではないですし、60人以上いるので、3分の2が外れます。みんなで悔いなくレギュラー争いをしよう!と誓いました。

――最後の夏で、厳しい競争があったと思いますけど、3年生の皆さんはモチベーション失わず、どうやって取り組んできたのでしょうか。

津田:僕は外れた選手のまとめ役としてチームを見ていたのですが、背番号が決まった後、外れた3年生を集めて、「背番号をもらった選手は全員の代表やねんから、もらえなかったらといって心が折れる姿を見せたら俺は許さん。だからやるべきことをやってくれ」と伝えました。そのあと、3年生1人1人が自分たちの役割を見つけてくれたと思います。

――桜宮高校はベンチ入りが決まるとレギュラー選手は代表と呼び、それ以外の選手たちは、応援、分析、サポートに回ると聞きました。それぞれの方々のリーダーにお話を聞きたいのですが、松浦君はデータ班のリーダということなんですけど、分析は得意なんですか?

松浦:いや、全くの未経験でしたね(笑)。選手としてやりかったですけど、せっかくここまで3年間やってきたのだから、印象に残ることをやろうと思って分析班を選びました。分析班は7人いるんですけど、メンバーの家に泊まってずっとビデオを見たり、その後、分析した結果をチームメイトに説明することをやっていきました。

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津田 和樹(市立桜宮高等学校)

――分析班が動き出すのはいつ頃なのですか。

松浦:僕らは練習試合の時からビデオを撮っているので、まず過去にあったビデオを探しました。春の大会のビデオを探す形ですね。あとは偵察するサポートメンバーが球場までビデオを撮ってきてきます。それを僕らが分析します。

――本格的ですね。応援団長の大倉君に話を聞きたいのですが、桜宮の応援はバリエーションが多いと思ったんですけど、どのように決めているのですか?

大倉:僕と、副応援団長4人がまとめ役で、この場面でこういう応援するのを決めたり、またタオルを回すタイミングなども決めたりしています。新しい応援を入れたいときは、動画サイトをみていました。

――桜宮のチャンス時では、広島東洋カープのチャンステーマでしたね。あれは気に入ったんですか?

大倉:そうなんです!大阪府は楽器が使えないので、手拍子と声の応援になるんです。その中でチャンステーマでどれだけ盛り上がれるか考えると、広島チャンステーマが良いのかと思いました。これがかっこいいんですよね。
桜宮ではこれを「魔曲」と呼んでいるのですが、これを歌い始めてから大量得点をとって勝つことが多いんです。

 後編では夏の大会を模様を振り返っていきます。

(取材・写真=河嶋 宗一

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【僕らの熱い夏2016 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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