Column

3年生座談会 県立小禄高等学校(沖縄)「仲間の大切さを高校野球で学んだ」vol.3

2016.09.26

 第2回では、小禄の3年生メンバーたちに、今夏の沖縄大会の準々決勝と準決勝の激闘を振り返っていただきました。最終回では3年間の振り返り、そしてお世話になった先生方へメッセージ、そして高校野球で学んだことを語っていただきます。

つらいトレーニングが多かった1年間を振り返る!

大城 旭(県立小禄高等学校)

――新チーム発足後からこの一年間を、改めて振り返ってもらいましょう。

銘苅:自分たちは打撃のチームになるんだというのがありました。夏休みのトレーニングでは朝6時から集合、30球のティーバッティングを数セット、昼は補強トレ補食トレ。もし他の部活がグラウンドを使わないのなら、それこそ一日中練習ということをやってきました。暑いしキツかったぁ。

琉依:その夏トレ(笑)のお陰でヒット数とか増えてきたのだけど、チームとしての打線になれていませんでした。クリーンナップも機能せず、秋はピッチャーを助けてやれず野原先生にも頼りないぞと言われていた秋でした。

大城:秋の宜野座戦(試合レポート)ではチーム13安打をマークしたけどまだ“線”になってなかったです(宜野座9安打7点、小禄13安打2点)。走塁でも膨らみが大きくて三塁でアウトになってしまって(一塁からの右中間へのヒットで三塁を狙うも中継に阻まれる)。その悔しさが、冬トレでのベースランをはじめ頑張るモチベーションになってました。

銘苅:キツかった冬トレと言えば、カラーコーンを40mの幅ほどに3つ置いて、往復3週の3セットでホントの1セット。それを5セットやったことです。これ、普通でもキツイのに女子バスケ部が参戦してきたんです。これが女子も速い速い。そこの顧問の先生が『野球部に負けるな!』とハッパを掛けると女子も火が付いて。こっちとしてはもちろん女の子に負けてなるものか!ということもあって(笑)。それから、毎年小禄高校野球部恒例の年納め駅伝もあります。1人3kmほどの距離を、1チーム6~7人でタスキを繋いでいく。終わったあとのぜんざいが美味しかったな。

大城:美味しかったです。

銘苅:冬トレが終わって紅白戦で打率上位者がベンチメンバーになるということで。でも春の大会前にキャッチャーの浩夢と4番優作の2人がケガをしてしまいました。やっぱりキャッチャーが変わってしまうと試合にならないほど相手に打たれてしまうよなぁ。

琉依:GW前に福岡県へ遠征しました。去年の先輩たちとも同行させてもらったときは1勝しか出来ませんでした。体つきも向こうは凄い。対してこっちは全員で向かっていかないと勝てない。去年は無かった、自分たちだけのミーティングとかで一つになってきて、そうしたら全勝出来ました。自分はこの結果が夏へ繋がっていく自信になったんじゃないかなと思います。

銘苅:大会前に嘉手納さんとやったのですが、上原 悠司がナイスピッチで完封しました。打線も仲地玖礼からタイムリーを放って3対0で勝ったのも、夏前の自信になっていきました。

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[page_break:お世話になった先生方へメッセージ]

お世話になった先生方へメッセージ

プレー中の上原 優作(県立小禄高等学校)

――実は県内で、嘉手納が最後に負けたのが君たち小禄高校でした。やはりベスト4は君たちの実力があったことを示す成果だったのですね。ではお世話になった先生方への言葉を掛けてもらいましょう。

◆貞治先生へ
大城:この夏からベンチに入ってくれた貞治先生。アイシングを首にしてくれて少しでも暑さを和らげてくれたりしたことが頭から離れません。だからこそ、いい試合が出来たと思っています。ありがとうございました。

◆ようこ先生へ
前武當:自分たちが入学したときから副部長として去年までされていたようこ先生。野球部の試合の撮影係をしてくれて、DVDに焼いてくれたりして。また、年末の野球部駅伝大会が終わったあとのぜんざいもようこ先生が作ってくれました。違う学校へ赴任されたけど、またどこかでお会いしたらありがとうって言いたいです。

◆伊集先生へ
琉依:若くて僕らとの距離が近かった伊集先生。教員採用試験を控える忙しい中、少しでも時間があればグラウンドへ顔を出してくれたし、遠征にも付き添ってくれました。それから、試合外で自分たちの気持ちを理解してくれてフォローしてくれました。伊集先生が顔を出すと負けなくて。みんなからの信頼が厚かった先生でした。ありがとうございました。

◆川上 琢也先生へ
優作:川上先生は僕らが入学したときから一緒。技術的なことはもちろんだけど、生活面を重視して教えてくれました。僕は前のチームからベンチ入りさせてもらっていたけど、「ベンチに入れた君の力は凄いけど、漏れた3年生のことを考えたことはあるか?と。それまでの僕は学校での生活面もダラダラしていて。でも先輩たちの気持ちを考えた振る舞いなど気付かせてくれてから、僕も凄く成長出来ました。川上先生には感謝しかありません。

◆野原 潤一先生へ
銘苅:僕はキャプテンという立場上、先生の指示を側でたくさん聞いてきました。初めは怖い先生で厳しいことを言われても誰も理解出来なかった(苦笑)。でも後々、自分たちのことを思って言ってくれてるんだなと気付いて。それからみんながしっかり野原先生の指示をしっかり聞いてやっていこうと一つになっていきました。

それから優しいところもある先生。夏前、ベンチ入りの果たせなかった3年生たちのために、[stadium]セルラースタジアム[/stadium]を借りてくれて試合を組んでくれました。電光掲示板に名前が載って、みんな喜んでいました。褒める言葉は中々掛けない先生だけど、みんなにくつ下をプレゼントしてくれたり。ずっとキャプテンとして接してきた野原先生には感謝しかありません。ありがとうございました。

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[page_break:高校野球で学んだこと]

高校野球で学んだこと

大城 旭、前武當 一斗、銘苅 梨氣、上原 琉依、上原 優作(県立小禄高等学校)

――では最後の質問です。みなさんにとって高校野球とはどのような存在でしたか。

琉依:高校野球は、中学までとは違い全員が同じ方向を向かないと目標が達成されないものであることを学ばされました。また仲間を思いやるという大切なものも学びました。一人でも違う方向を向いていたら絶対上手くいかない。高校野球はチームワークが試される場なのだと思わされました。

前武當:改めて仲間を感じさせてくれたのが高校野球です。信頼され、信じることが大事。この人キライだから話を聞かない、ということではチームはまとまらない。僕らもあったけど、話し合って一つの方向を向いていこうと。それが同級生29人、誰一人辞めずに一緒に走れたことにも繋がりました。楽しかった高校野球でした。

優作:高校野球は人をアツくする。自分たちで考えて行動することで、より強くなれるのが高校野球です。一つの目標に向かうことが中学までとは違うレベル。その意味で自分の中ではどのようなものよりもアツくなれたものが高校野球でした。

銘苅:高校野球で学んだことは、野球以外の面も大切なんだと思ったことです。挨拶しかり。また4月から朝30分早く登校してはゴミ拾いを続けてきたけれど、きっとそれがこの夏のベスト4に繋がったと思います。いい形で終わることが出来たし、やることに無意味なことなんて無いんだと気付き、小さなことが大事なことなのだと学びました。高校野球ありがとう!


彼らがまだ小学校3年生だった2007年、ベスト4入りを果たした小禄高校だったがその後は1回戦敗退、ベスト16、ベスト16、2回戦敗退、2回戦敗退、1回戦敗退、1回戦敗退、2回戦敗退と昨年まで低迷を続けていた。たくさんの先生方や大勢の仲間と過ごしてきた時間の中で、時には相容れないときもあったが、みんなで同じところを向くことで真の一致が生まれ、それが9年振りの4強に繋がった。熱い夏を走り抜けた彼らの仲間意識は、これから社会に出ても強い絆として互いに支え合い励ましあっていくに違いない。

(取材・写真=當山 雅通

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【僕らの熱い夏2016 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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