第62回 上田誠さん(元慶應義塾高等部監督)「主将の選び方とこれからの指導者の在り方を語る」【後編】2019年12月27日
【目次】
[1]高校生の故障は、再発が多い
[2]面倒見が良いからと言ってキャプテンに向いているわけではない
面倒見が良いからと言ってキャプテンに向いているわけではない

上田誠さん(元慶應義塾高等部監督)
―― 上田先生はチームのキャプテンをどうやって決めていたのでしょうか。
基本的にはその学年と一つ下の学年の子たちに投票させていました。でも人気がある選手がいても投票しないときもあります。例えば、一番信頼されているけど、キャプテンまで任すと潰れそうな子とかは副キャプテンにして、別の子にキャプテンをしてもらう。選手の意見も聞くし、開票結果も話します。
―― キャプテンのプレッシャーに押しつぶされそうな子とは、具体的にどういう特性があるのでしょうか?
周りの事ばかり考えて、自分が打てなくなっちゃう子。逆に、自分の事ばっかり気になっちゃって、周りがどうでもよくなる子。両方ともキャプテンには向いてない。面倒見がいい選手だからキャプテンに向いているとは限らないです。自分のことと、周りのこと。両方に気を配れるバランスの良い子にキャプテンを任せます。
全然試合に出られない控え部員にも細やかな配慮が出来る子ほど、キャプテンに向いていると思いますね。
―― 今まででいいキャプテンだったと思う選手はいますか。
今JX-ENEOSにいる山﨑錬とか、東芝の佐藤旭とかは社会人野球でもキャプテンをやっているくらいだから、やはりいいキャプテンでしたね。大学や社会人でキャプテンをやる子は、本当に適性がある子です。
キャプテンも色々あって、下手でも、打って投げてプレーで引っ張っていくキャプテンもいます。プロなんかでも、そういうタイプはいます。
上田誠氏の取材を終えて、まさに「固定概念」にとらわれず、新たなことに挑戦する指導者だと感じた。そういう姿勢がまだ古い体質が残っていた慶應義塾をどんどん変えることができたと思うし、慶應義塾の姿勢を学ぼうとしている野球人も現れている。特にネット、SNSの活用はやり方次第で、大きな武器になる。ぜひ現代の指導者、選手はチャレンジして伸びてほしいと思った。その先には野球を深く追求することは楽しいという姿を示してほしい。
文=河嶋 宗一

- 編集長 河嶋 宗一
- 出身地:千葉県
- ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
- ■ 編集長であり、ドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
- ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
- ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
コメントを投稿する