試合は試合で覚える!春のベンチ入りは驚きの方法で決める 古賀 豪紀監督(九州文化学園)vol.7
今までの連載記事
vol.1:背番号は総選挙で決めるその真意 古賀 豪紀監督(九州文化学園)
vol.2:どこよりも重みのある背番号 古賀 豪紀監督(九州文化学園)
vol.3:個人的な会話をしない「見る」コミュニケーション 古賀 豪紀監督(九州文化学園)
vol.4:たった一言の「声がけ」が大きな力になる!古賀 豪紀監督(九州文化学園)
vol.5:7分間ノックはしない!どこで最高のパフォーマンスを出すのか?古賀 豪紀監督(九州文化学園)
vol.6:取捨選択の裏にある、非常に高いレベルでの要求!古賀 豪紀監督(九州文化学園)
野球はゲーム、ゲームはゲームで覚える
九州文化学園ナイン
「僕は実践が大事だと思ってる。野球はゲーム、ゲームはゲームで覚える」
古賀 豪紀(こが・ひでとし)監督(九州文化学園)の言葉である。言われてみればその通りなのだが、つい野球の練習というと、キャッボール、トスバッティング、ノックにフリーバッティング、ベースランニングなどするものと、固定概念が邪魔をしてしまう。
「日本人はどうしてもきつい練習に美徳を感じるじゃないですか。死ぬほどきつい練習をして良かったんだと感じてしまう。でも野球は、ゲームじゃないですかアメリカ人からすれば、ベースボールゲーム。何で練習に死ぬほど力れるの、ゲームの中で覚えていけばいいんだから。テレビでゲームするとき練習するか?とテレビゲームをしながら覚えていくだろう。テレビゲームの時もボタンの押し方を練習しない、実戦をしながら覚えていくだろうと。あれゲームなんだから。だからうち全部実戦」
「昔なんかお金がないからこんにゃくを切って刺身を切る練習をする。お金があれば刺身で練習すれば一番いいんですよ。チャーハンもご飯がもったいないから塩を振ったりする。でも今は道具があるんですから、昔の道具がない時代をそのままやってるわけですよ。それが正しいみたいに。道具があるんですから、マシンから何から全部あるんですから。だからそっちを使った方がいいわけですよ」
多くの指導者も頭では理解したとしても、それを実際に行動にうつし、練習試合や紅白戦を中心の実践練習に切り替えるには勇気がいるに違いない。今までと違うことをやることでその責任をとれるのかと考えてしまうだろう。そんな中での自身を信じて行動に移せるのが、古賀監督なのである。それは自分自身がプロ野球選手になり、さらに高校の指導者になる目標を達成するなど、行動をしながら、経験を通して成長してきたからこそ出来る決断だ。
[page_break:春のベンチ入りは驚きの方法で決める!]春のベンチ入りは驚きの方法で決める!
古賀 豪紀(こが・ひでとし)監督
オフシーズンに取材に行った時も、九州文化学園は4チームに分かれたリーグ戦をしていた。
このリーグ戦について、古賀監督はこのように話している。
「11月シーズンオフなったらずっと2月の終わりまで4チームに分かれてリーグ戦をします。優勝チームが春の大会にチームとして参加する。だからみんな真剣に冬はリーグ戦ずっとやってますよ」
「優勝したチームは、春の大会に全員ベンチ入り出来るので、みんな頑張る。だってチームで出るんだから。だからランナーコーチで頑張ったり、代走で頑張ったり、なんかで頑張るんですよ。みんなミーティングして勝つためにどうしたらいいか本当に真剣ですよ。チームのキャプテン中心に話し合ってます」
実践で実力を付けていく、更に全員が頑張れる仕組みが出来ているのである。こんな大胆な決定が出来るのはなぜか?それは、古賀監督が、自分のための野球でなく、選手が主役の野球を目的としているからだ。
今までの連載コラム「背番号は総選挙」「声がけの力」でも伝えてきたように、これは古賀監督の一貫した考え方である。多くのユニークな取り組みがあるが、根本は何も変わらない、古賀監督は「選手が成長するために」が中心にある。
文=田中 実