指導してきた約20年間で印象に残っている素晴らしい選手 平川 敦(北海)vol.8
今まで指導してきた約20年間で、印象に残っている「自分で考える」ことの出来た素晴らしい選手はいますか と平川 敦(ひらかわ・おさむ)監督(北海)に聞いてみた。
今までの連載コラム
「不易流行」高校野球で絶対に変えてはならないこと 平川敦(北海)vol.1
人間教育・前編「学校生活からの取り組みが重要」平川 敦(北海)vol.2
人間教育・後編「裏表のない素の自分を鍛える」平川 敦(北海)vol.3
人間教育・番外編「他競技から学ぶ!大坂なおみのプレー」平川 敦(北海)vol.4
何が目的なのか考えられる力 平川 敦(北海)vol.5
「流行」今の子に合わせた指導 平川 敦(北海)vol.6
今の子に問う「だから何がしたいのか?」 平川 敦(北海)vol.7
平川監督の心に残る選手
平川敦監督(北海)
「鍵谷 陽平(日本ハム)。自分のことは自分でできる子かな。鍵屋は地方から出て外宿だったんですけど、自分の自己管理・体の管理・身の回りのこと・練習・学校、やっぱり一言で言うと自分のことは自分でちゃんとやるできる。そういう選手はいいんですよね。」
また、U18アジア選手権で日本代表のコーチだった平川監督は、根尾昂(大阪桐蔭→中日ドラゴンズ)についても言及してくれた。
根尾 昂(大阪桐蔭→中日ドラゴンズ)
「根尾は抜群にいいですねではあの子はすごいなとあの子はすごい西谷(浩一(大阪桐蔭監督))さんが「根尾さん」というのが分かりますもん。」
そして、最後にゆっくりとそして力強い口調で
「野球には力がなくても、人間的に素晴らしい選手は結構いますよ。控えでも沢山いい子はいます。行動・言動を見ているとだいたいわかります。」
と話してくれた。
この最後に出てきた一文こそが北海の強さの秘密が入っている。平川監督の人間教育のもと「控え選手にも、自分で考えられる選手がいる」のである。
昨年末に興南の我喜屋優監督と話した時の言葉が思い浮かんだ。「試合に出れない縁の下の力持ちも根っこだし、この目に見えない根っこを沢山鍛えることで、しっかりとした簡単には倒れない大きな木に育つ」
北海は、北海道の大地で平川監督の指導のもと、しっかりと根をはやした大きな木になっている。このことは、素晴らしい投手、素晴らしい野手がいることよりも強調しておきたいことである。
文=田中 実