第15回 徳島インディゴソックス・鈴木 康友コーチに10の質問 スペシャリストが語り尽くす「指導戦略論」【Vol.4】2017年10月07日

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【目次】
[1]2013年・日本シリーズでの「アイコンタクト」
[2]「何もしない」勇気も必要!とりあえず笑っとけ!

「何もしない」勇気も必要!とりあえず笑っとけ!

Q10.高校球児・高校野球指導者に向けてのメッセージ

鈴木 康友コーチ

――これが10個目の質問です。戦術やゲームプランを駆使して公式戦の勝利を目指す高校球児や指導者に向けて、鈴木 康友コーチから激励のメッセージをぜひ、お願い申し上げます。

鈴木:高校野球の監督さんって大変だと僕は思います。スカウト・スコアラーの仕事もあるし、グラウンド整備もあるし、時は選手バスを運転したりする。

 特に高校球児は多感な、15歳から18歳という時期。身体も心も成長しているし、筋肉も成長している。メンタル面もまだ弱い。そういう大変な時期の選手と一緒になって一緒の目線でやっている。大変だと思います。

 だから、たとえ負けたとしても、チームが一つになって頑張ることが大事なこと。僕は天理で運よく甲子園に4回出られたけど、その時も練習相手になってくれた仲間がいるわけで。彼らの中には試合に1試合も出ていない人もいるんですけど、そうやって辛抱してきた人は社会で成功しています。たとえプロ野球選手になれたとしても、その後の人生もある。高校生ですから、人としてそういうことも教えていけば結束力も高まり、それがチームの力になります。

――鈴木 康友コーチが指導者として一番大事にしていることは?

鈴木:難しい質問ですね。まだまだ自分も高みを追いかけてるし、教える選手のレベルによって大事にしていることも違います。

 ただ、やっぱり「コミュニケーションを取る」ことは大事でしょうね。さきほど話した日本シリーズ第5戦の件も、則本とのコミュニケーションがあったからできたことですから。あとは若いときは違ったけど、最近だと「選手に押し付けない」ということも大事にしています。「これ」っていう答えがないですよね 。

――最後に、戦略戦術で悩んでいる監督へのアドバイスはありますか?

鈴木:バントにするのか。盗塁・エンドランにするのか、それはちっぽけなことです。「何もしない」ことも采配。それはベンチ主導ではなく、選手を信頼するいうことになります。8回、9回は勝つために、ベンチ、監督主導になってきますが、ゲームの始まりは選手主導でよい。

 もう一度言います。「何もしない」ことも采配。だから何かしなきゃいかんというときは「とりあえず笑っとけ」でいい(笑)

 僕だってその場になったらできないだろうけど、何もしない勇気も必要。今この質問でこうすりゃいいなんていう答えはない。ただ、当たり前のことをちゃんとできる基本を身に付けていないといけない。 蔦 文也監督(池田・元監督)も「やまびこ打線」と称して毎日バッティングばかり。それでいいんですよ。

「スペシャリスト」の称号を得ている鈴木 康友コーチですら、今も試行錯誤を続けながら積み上げている「指導」と「戦略」。ただ、その根底には「伝える」でなく「伝わる」手法。そして「メンタル」をいかに鍛え、コントロールすることが大事だということが改めて解る「10の質問」だった。

 この場を借りて野球界発展のために真摯に答えて頂いた徳島インディゴソックス・鈴木 康友コーチには深い感謝の言葉を述べると同時に、高校球児・指導者にとって、珠玉の提言が少しでもチーム・個人向上の助けになれば、こんなうれしいことはない。

(構成=寺下 友徳

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プロフィール

寺下友徳
寺下 友徳
  • 生年月日:1971年12月17日
  • 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
  • ■ 経歴
    國學院大學久我山高→亜細亜大。
    幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。
  • ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
  • ■ 執筆実績
    web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。

    さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。
  • ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
    ■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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