目次

[1]守:継投しつつ意識する点の奪われ方
[2]9イニングを俯瞰してプラスアルファを探す
[3]プランをトレーニングする唯一絶対の場は練習試合

 もはやおなじみの「機動破壊」。だが、健大高崎はそれだけではない。走攻守にわたり緻密に練られたゲームプラン。その存在がチームの力を何倍増しにもしている。いったい、どのような流れでゲームプランは練られていくのか。立案者である葛原美峰コーチに秘訣をうかがった。第3回となる今回はそのゲームプランをいかに実践するかを解説します。

守:継投しつつ意識する点の奪われ方

健大高崎・葛原 美峰コーチ

 健大高崎の投手起用で特徴的なのは、継投を採用していることだ。
「自分の中でこだわりたい部分です。どんなに絶対的なエースがいたとしても、トータルで見れば継投の方がはるかに勝率は高くなります」

 用意するのはスターター、ミドル、セットアップ、クローザー。さらにスイングマンという次戦の先発投手も入れて5人。各役割のピッチャーには、大体何イニング目からどれだけ投げてもらうか、を事前に通告しておく。その際、自分は何点取られていいかも把握しておく。

「継投は失敗が恐れられますが、普段からきっちりとした役割分担をして慣らせておけば、大崩れする確率は減ります」

 実際、健大高崎ピッチャー陣には継投に際する不安はないという。練習試合から常に継投を試しているので、誰が先発向きか、そして誰がどのようなタイプのバッターに強いか、などが全てデータとして蓄積されているからだ。
「想定外の試合展開になった時も、例えば『5回からいくぞ』と伝えているミドルを前倒しすることはありません。もし1回に先発が崩れたら、スイングマンに代える。それで4回まで投げてもらって5回からは予定通りミドルを投入する。これが想定外になっても試合を壊さない回避法です」

 健大高崎には「エースと心中」という哲学はない。そして守備においても常識を覆す考え方を持っている。冒頭で述べたように、最初に「何点勝負」になるかを見通した場合、許していい失点数が見えてくる。プランとして重要なのは「いかに点をやるか」だ。

 高校野球に限らず、野球では「先制点が重要」とまことしやかにささやかれている。なぜなら最初にゲームの主導権を握れるからだ。また、失点することで相手チームは勢いづき、自チームが落ち込むことでビッグイニングを作られる恐れもある。
「私の考えは逆です。1つの失点を惜しむからビッグイニングを作られる。あっさり、無駄な抵抗をしないで点を許した方が単発な攻撃で終わることが多いと考えています。実際、試合結果をトータルして見ると、1点を争う攻防となる試合は少ない。でも人の記憶には1点を争う接戦のインパクトばかりが残る。そこは切り離して考えるべきです」

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