Column

県立本部高等学校(沖縄)

2016.02.14

 沖縄本島北部の西端、沖縄県国頭郡本部町にある沖縄県立本部高等学校。町内4つの中学校と連携した中高一貫教育を行っており、地域の教育の場、若者の夢を実現させるための場として重要な拠点となっています。

 新人北部地区大会では名護北山に勝利し中央大会へ出場。勢いのまま勝ち進みたいところでしたが、中央大会秋季大会は1回戦敗退と、自分たちの力を出し切れずに悔しい思いをしました。
ハードなトレーニングと補食で身体を大きくし、身も心も鍛えて真の「戦う集団」へ!生まれ変わろうとしている本部高校野球部に迫ります。

チーム基本情報を紹介!

本部高校の上地 祐斗君(学年:2年/役職:主将)にお話を伺いました!

Q. 部員は何人いますか?

 1年生が11人、2年生が3人です。

Q. 練習のグラウンド環境を教えてください。

 グラウンドはサッカー部と共用です。僕らが入学した当初は外野に雑草が生い茂っていましたが、朝練での整備やタイヤ押しなどの練習で綺麗にしています。

タイヤ押しで鍛えながらグラウンドも整備するとは、なんと賢い!野球部の知恵ですね。

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[page_break:今年のチームについて]

今年のチームについて

上地祐斗主将(県立本部高等学校)

Q. 今年のチームのセールスポイントを3つ教えてください。

 一人一人が個性的で元気がある。あと、グラウンドでは先輩後輩関係なく言い合える。それと、厳しい状況でも笑顔で励まし合えることです。

Q. みなさんキャラが立っているんですね。このオフシーズンではチームとしての目標を教えてください。

 とにかく走りまくって食べまくって体をデカくしながら、野球の動きも身に付けていきたいです。そして、一人の脱落者も出さずに、日々の練習を勝負していきたいです!

Q. 励まし合える強みがここで生かされますね。さて、「そうは言ってもオフシーズンの練習でこれはキツイ…」というものはありますか?

 380mを70秒以内に9本走り、10本目は5分走というインターバルです。全員の体力の底上げということで、アップのように並んで走ります。脱落者が出ないように速い人が後列に行き、送れそうになった部員を押して走り抜きます。制限時間内には曲が流れるんですが、僕らがリクエストした曲を先生が70秒に編集してくれているんです。

Q. キツそうですが、好きな曲で気持ちも少しは楽になれるんじゃないでしょうか?

 それが、自分達の好きな曲が流れるんですが、聞いている余裕はありません(笑)。最後の5分走は、各自極限まで追い込みます。あと、学校の近くに車がほとんど通らない急勾配の坂があります。200m以上の長い坂なのですが、全力でダッシュします。これはメンタルにもフィジカルにも相当キツいです。

Q. すみません、聞いただけで気分が…(笑)。これはだいぶ鍛えられそうですね。ではその練習を乗り越えて、春夏はどんな目標を抱いていますか?

 春季大会はこれまでの練習の成果を試せるので、発表会のようで楽しみです。自分たちが当たり前のようにしている野球は、親や周りの人たちに支えられて出来ています。野球ができることに感謝して、このチームメイトや先生と高校野球ができるのが最後の大会である夏は、自分たちの力を出し切って、悔いのないようにしたいです!

秋の大会を振り返って

Q. 秋の大会はチームにとって、どんな大会でしたか?

 新人戦で勝ち進んで中央大会へ出場した勢いのまま挑みました。でも、自分たちの力を全く出せず、メンタル、フィジカル共に課題の見えた大会でした。

Q. 新人戦は快進撃を見せてくれましたね。その要因は何だったのでしょう?

 夏休みは毎日、早朝・午前・午後と練習を行いました。午後の昼食後は勉強会も行い、野球だけではなく自分達が苦手なことにも取り組んだことでチームに一体感が生まれたのが大きいと思います。また、北部地区予選はリーグ戦だったのですが、各試合、チームで決まり事を作り、それをどんな試合展開でも徹底できたことが良い結果に繋がったのだと思います。

Q. ただ、中央大会では課題が見えた。どういう課題で、改善するために何に取り組んでいますか?

 痛感したのは他校との身体の大きさの違いです。なので、夏休みから取り組んでいる1日に2度の補食トレーニングで身体を大きくしています。打撃に弱さも感じたので、走力を付けながらよりアグレッシブな試合運びが出来るようにトレーニングを積みたいと思います。

Q. 身体が大きくなればパワーも付きますしね!さて、2年生にとっては最後となるオフシーズン。1年生にとっては、初めてのオフシーズンだと思いますが、春に向けてどんな冬にしたいですか?

 このオフは2年生にとって最後のオフですが、去年も経験している分、1年生を引っ張りながら春、夏にむけて仕上げていきたいです。

 上地主将、ありがとうございました!

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[page_break:指導者が語る!このチームの強み]

 ここからは、本部の学生コーチ、兼城 昌平君にお話を伺います!

兼城昌平学生コーチ(県立本部高等学校)

Q. 学生コーチ、兼城君から見て秋に活躍した選手はどなたでしょう?

 上地 祐斗主将です。2年生が少ない中、チームをまとめるために誰よりも声を出して引っ張ってくれました。

Q. 頼もしいキャプテンですね。では、これから春に向けてキーマンになる選手はどうでしょう?

 上地主将は引き続きキャプテンとしてチーム全体の士気を上げてくれると思います。
それと、宮里 優志仲田 怜。2人は秋季大会に出場したものの、ケガで思うようなプレーが出来ませんでした。長い間ノンスローで走り込みの日々を過ごしていましたが、万全の状態で春季大会に挑めると思います。
あと、渡久地 亮ですね!口数は多くはないのですが、かなりの努力家でいつもトレーニングで自分を追い込んでいます。その姿勢はここ一番で絶対に結果に繋がると先生もおっしゃっています。

Q. 楽しみですね。兼城君が高校野球が好きな理由は何ですか?

 ドラマがあって面白いところですね。

Q. この冬はどんな風に過ごしていきたいですか?

 なるべく先生の隣にいて、先生が言っていることや考えていることを部員にダイレクトに伝えるようにしています。今後もそういう部分は遠慮をしないでいきたいです。

兼城君お手製味噌汁!(県立本部高等学校)

Q. そこは1年生も2年生もないですからね!

 はい、それが僕の役目なので。それと、部員の身体を大きくさせたいので、土日は先生と一緒に味噌汁やカレーを作っていますが、料理のレパートリーも増やしたいと思っています。

Q. 料理もできる学生コーチ!素晴らしいですね。野球をする上でモットーにしている好きな言葉ってありますか?

 夢です。僕たち本部高校は「咲學大夢」というチームスローガンを掲げています。「小さな学校、大きな夢」という意味です。僕たちの場合、夢イコール甲子園です。夢を夢で終わらせないように、先生が口癖にしている小さな事を大事にして、甲子園を現実にしたいです。

Q. 良い言葉ですね。最後に『自分はここまで成長するぞ!』と、いう熱い宣言と夏までの目標をお願いします。

 先生に言われなくても、自分から進んで行動できるようにします。学生コーチという立場は部員や先生からの信頼が無ければ成り立ちません。部員や先生方にとって100パーセントの学生コーチになりたいです。

 学生コーチの支えがあってこそ、選手たちは力を出せますからね。兼城君、ありがとうございました!

指導者が語る!このチームの強み

宮城 岳幸監督に質問!

Q. 今年のチームは勉強会をやったり、かなりきめ細かく指導されているんですね。

 日頃から生徒には「選手である以前に生徒」ということを言い聞かせています。真の戦う集団になるには、学校生活で勝負できることが前提であると考えているからです。

タイヤ引きアメリカンノック(県立本部高等学校)

Q. その甲斐あってか、選手達がしっかりしている印象を受けます。トレーニングもハードなようですね。

 秋季大会は、力を発揮できないまま負けました。心の弱さが露呈した形です。この冬はメンタルとフィジカル両面の強化に励んでいます。瞬発系を鍛えるアジリティトレーニングやサーキット、心肺機能を高めるインターバル、下半身強化のタイヤ引きアメリカンノック、タイヤ押し、坂道ダッシュ等、目的に応じて生徒が飽きないように様々なメニューに取り組ませています。そういったトレーニングを効果的にするための補食トレーニングも早朝練習後と午後の練習前の2回行っています。

Q. 兼城君が補食のレパートリーを増やすと意気込んでいましたよ!最後に、厳しいトレーニングに取り組んでいる選手達へ、一言お願いします!

 課題はたくさんあるけども、君たちは間違いなく成長しています。現状に満足しないで、もっとチャレンジを続けよう!

 宮城先生、ありがとうございました!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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