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花巻東と盛岡大附が引っ張り、一関学院、専大北上らが追いかける【岩手・2018年度版】

2018.02.11

花巻東、盛岡大附の2強が岩手高校野球を引っ張る

花巻東と盛岡大附が引っ張り、一関学院、専大北上らが追いかける【岩手・2018年度版】 | 高校野球ドットコム
2018年のシーズンからメジャーリーグに挑戦する、花巻東出身の大谷翔平

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 プロ野球日本ハムで“二刀流”として大活躍して、2018年のシーズンからメジャーリーグへ進んだ大谷翔平。その大谷を輩出したのが花巻東だ。近年の東北地区で近年最も著しく勢力構図が変化したのは岩手県ともいえる。その岩手県を引っ張る存在が花巻東である。
 花巻東の母体は花巻商業専門学院で、花巻商時代や谷村学院との併合などを経て、82年に花巻東となった。花巻商時代の64年夏に一度出場していたが、90年に二度目の出場。そして、01年に佐々木洋監督が就任し05年夏、07年夏と立て続けに出場するも初戦敗退が続いていた。ところが、09年に菊池 雄星投手(西武)を擁して春は準優勝、夏もベスト4に進出。これで一躍全国区となった。これを見て入学してきたのが大谷 翔平だったのだ。
 そして09年以降は10年間で春2回、夏は4回の出場を果たしている。大谷自身は12年春にエースで出場して初戦で大阪桐蔭と対戦。藤浪晋太郎投手から本塁打は放ったものの敗退している。そして夏は、岩手大会で盛岡大附に屈して出場を逃している。

 花巻東とともに現在の岩手高校野球を引っ張る存在の盛岡大附は、08年以降で春3回、夏5回の出場となっている。甲子園の出場実績という点では、むしろ花巻東を凌いでいる。関東地区や関西地区などの県外生も多いが、08年8月から就任した関口清治監督の「気づいて、感じて、動く」という姿勢を徹底させた指導が功を奏しているとも言えよう。

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2強を追うのは一関学院、専大北上が中心

花巻東と盛岡大附が引っ張り、一関学院、専大北上らが追いかける【岩手・2018年度版】 | 高校野球ドットコム
昨夏、甲子園出場の盛岡大附と2強を追う一関学院

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 この2強を追いかけたいのが、かつては一関商工として一時代を形成した一関学院だ。01年から現校名となったが、新校名でも02年夏以降、春夏二度ずつ甲子園出場を果たしている。昨秋の県大会もベスト4に食い込み、東北地区大会進出を果たしている。
 さらには06年夏に出場を果たしている専大北上も、学生野球憲章違反を問われ、一時部の解散、高野連脱退などの危機もあったが復活を果たしている。現在は、専修大出身でプリンスホテルからドラフト1位で中日入りし活躍して、阪神ではスカウト経験もある中尾孝義監督を招聘して強化体制を整えている。他には盛岡中央なども食い下がっている

 こうした私立校の対決構図という形になってきた岩手県だが、元々は盛岡一一関一花巻北福岡黒沢尻北など旧制中学の流れを汲む伝統校が主流だった。弊衣破帽のバンカラスタイルの応援団とともに、県の高校野球を引っ張ってきていた。
それに対抗する勢力としても,盛岡商黒沢尻工盛岡三盛岡工あたりだった。平成になって盛岡四も実績を上げている。いずれも公立勢である。そもそも、私立校が少なかったということもあったが、野球の応援スタイルも一つの学校のシンボルとして、友情や愛校心が育まれていった背景があった。その上に立って野球部も期待に応えようと努力してきたという事実が、これら公立勢の時代を作り上げていったのである。

 歴昨秋の県大会でも黒沢尻工が準優勝を果たすなど健闘している。そして、21世紀枠の代表校としては17年には不来方がわずか10人の部員で健闘したということで選出されている。また、16年にも釜石が東日本大震災からの復興を目指した活動の中での成果が評価されて、釜石南時代以来の20年ぶりの出場を果たしている。
 とはいえ、今後も私学勢力が中心となっていくという勢力構図は続いていくことになるであろう。それに対して、旧制中学の流れを汲む伝統校などが、どのようにして立ちふさがっていくのかというところも、岩手の高校野球の見どころともいえるのではないだろうか。

(文:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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