第13回 紫と朱、天理と智辯学園の宗教校のライバル対決構図は続く(奈良県)2016年02月28日

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【目次】
[1]紫と朱の圧倒的勢力
[2]天理・智辯学園以外での筆頭格は

 奈良県の高校野球は、二つの要素で語られることが多い。一つは有望な素材が県内に留まらないということに対する嘆きである。
そして、もう一つは、あまりにも強烈な2校があり、今年はそのどちらが強いのか、また、どちらを応援するのかということである。その2校とは、ほとんどの高校野球ファンが周知のように天理智辯学園である。色でいえば紫と朱ということでもわかりやすい。

紫と朱の圧倒的勢力

「朱」の智辯学園

 奈良県は近畿圏の中では近鉄文化圏になる。生駒市などを含めて、ほとんど大阪のベッドダウン化しているということもあって、生徒が大阪の学校へ流れやすい。だから、意識としては大阪という部分もあり、このあたりは首都圏における埼玉の位置づけによく似ている。
その一方で、大阪の有望選手が甲子園に行くためにどこの学校へ行く可能性が高いのかという点では、奈良の学校の方が甲子園の夢を実現しやすいという側面もある。ことに、天理智辯学園も宗教色の強い学校であり、その意味では広く県外生を受け入れやすい環境でもあると言えよう。

 こうして、奈良県の高校野球構図が形成されていった。 歴史的には、天理は打撃力、智辯学園は投手力という印象が強い。県内でのこの対決となるとどちらの力が上回ったかということがそのまま代表に繋がっていくということでもある。
この構図は1970年代頃から、営々と継続されてきている。確実にこの両校の一騎打ちという図式を呈していた時代が長く、会場の橿原市営球場も二分されるという状態が続いていた。ある人はそれを“奈良の宗教代理戦争”とも称していた。そして、それはそのまま天理市と五條市の都市対抗でもあった。

 甲子園での実績ということでは天理の方が勝っている。甲子園では通算72勝47敗で優勝3回というのは見事だ。奈良県のトータル125勝のうちの6割近くを占めているのはさすがだ。近年では、丸2年間遠ざかっていたが、15年には復活して春夏連続出場。 09年春から11年春までは5季連続出場を果たすなど圧倒的だ。

 これに対して智辯学園は甲子園通算27勝26敗で、77年春95年夏のベスト4が最高成績で決勝進出はまだない。それでも天理に負けないだけのインパクトがあるのは、胸に強烈な朱色の文字で書かれた「智辯」のユニフォームの印象もあるだろう。
いずれにしても、この両校で奈良県の甲子園勝利数の8割近くを占めているのだから、圧倒的勢力であることに変わりはない。 この両校の対決構図は、今後も続いていくであろうことは間違いない。

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プロフィール

手束仁
手束 仁
  • 生年月日:1956年
  • 出身地:愛知県
  • ■ 経歴
     愛知県知多市出身。半田高→國學院大81年卒。大映映像事業部など映像会社で、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションに10年勤務後独立。
     99年に『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け、を刊行。同年に『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社・刊)で本格的にスポーツ作家としてデビュー。99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、『ふたりの勇気~東京六大学野球女子投手誕生物語』、『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)などを相次いで刊行。さらに話題作となった『甲子園出場を目指すならコノ高校)』(駿台曜曜社)、『野球県民性』(祥伝社新書)、『プロ野球にとって正義とは何か』、『プロ野球「黄金世代」読本』、『プロ野球「悪党」読本』(いずれもイースト・プレス)などを刊行。
     さらには『高校野球のマネー事情』、『スポーツ(芸能文化)名言』シリーズ(日刊スポーツ出版社)、『球国愛知のプライド~高校野球ストーリー』などがある。
     2015年には高校野球史を追いかけながら、大会歌の誕生の背景を負った『ああ栄冠は君に輝く~大会歌誕生秘話・加賀大介物語』(双葉社)を刊行し18年には映画化された。

     スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」、専修大学で「スポーツジャーナリズム論」などの特別講師。モノカキとしてのスポーツ論などを展開。
     その他には、社会現象にも敏感に、『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)なども刊行。文学と社会風俗、学校と教育現場などへの問題提起や、時代と文化現象などを独自の視点で見つめていく。 そうした中で、2012年に電子メディア展開も含めた、メディアミックスの会社として株式会社ジャスト・プランニングを設立。新たなメディアコンテンツを生み出していくものとして新たな境地を目指している。
  • ■ 著書
    都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社) 
    甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
    高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)

    話題作となった
    甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
    スポーツ進学するならコノ高校
    東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
    三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
    スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
    高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
    野球県民性』(祥伝社新書)
    野球スコアつけ方と分析』(西東社)
    流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW!
  • ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
  • ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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