「野球に対する気持ち」は選手顔負け!大分工マネージャー(大分)
現在55人の選手を抱える大所帯・大分工野球部。昨夏、明豊相手に大接戦を演じ、この春の九州地区予選の上位進出候補として期待される。今回は大注目の大分工を支える1名のマネージャーにお話を伺った。
マネージャーになった時からチームの勝利のため動くと決めている!
1年生の鳴海紗香さん
55名の部員をたった1人で支えるのは、1年生の鳴海紗香さんだ。
普段は補食のお米の準備、ボールを数えやノックの際のボール補給、バッティングのタイム計測、倉庫・部室周辺の掃除など全般的に行っている。
特に食育を大事にする大分工野球部では、鳴海さんが選手全員分のご飯を炊き、補食づくりをしているため日々の仕事量は半端ではない。
そんな彼女がここだけは他の高校に負けない!と言うのは、「野球に対する気持ち」だ。日頃から野球の事を考えて生活しているという彼女は、選手顔負けの意識の高さを持っている。
一人で部活を支える中でもやりがいを感じるのは、先生や選手、保護者の方に「ありがとう」と言ってもらえた時。彼女の頑張りを皆見ているからこそ、感謝は絶えない。また選手が活躍した時の嬉しさは、ずっと近くで見てきた分計り知れないものがある。
マネージャー活動の中で一番楽しい時間は、仕事をしながら選手の練習している姿を見ている時だ。野球がとにかく好きな彼女にとって、練習風景を見られるのは至福の時間だ。
おすすめのマネージャーグッズは、小さい裁縫セット。ユニフォームのボタンがとれたり、物が破損したりした際にすぐ対処できる必須アイテムだ。何かあったらすぐに対処できる準備を整えるのは、マネージャーだけでなく普段にも対応できそうだ。
活動の中で心がけているのは、「選手が練習に集中できるようにする」ことだ。あくまで影の存在として部活を支える彼女の思いが伝わってくる。マネージャーあるあるを聞くと、「色々な作業をこなし器用になる」と答えてくれた。1人で全ての業務をこなしてきた鳴海さんには、本当に感心してしまう。
また思わず選手に胸キュンしてしまう瞬間は、汗を拭う姿を見た時。汗を流しストイックに練習する姿は男女問わずグッとくるものがある。
夏大会では、7月12日に[stadium]大分別大興産スタジアム[/stadium]で行われた明豊戦が記憶に残っている。結果としては4対3で負けを喫したが、エース日高翔太選手が一人で200球近く投げ抜き、強豪校相手に延長戦11回までに持ち込んだ。選手の粘り強さに心を打たれた一戦は忘れられない。
引退した3年生は「明るく、チームの雰囲気をとても和ませてくれた」と語る彼女。しかし今度は新しい後輩たちに先輩として背中を見せる番だ。日々練習に励むチームの選手に一言お願いすると、「沢山迷惑をかける部分もありますが、皆で甲子園出場という夢を叶えられるように頑張りましょう!」と激励してくれた。
[page_break:将来の夢は歌の道に進むこと!]将来の夢は歌の道に進むこと!
将来は歌の道に進みたいと語った鳴海紗香さん
ここからはさらに詳しく鳴海さんにお話を伺った。
中学時代は美術部だった彼女がマネージャーを志した理由は、「小さい頃から野球が好きで、プレーする選手のサポートなどがしたいと思った」から。そんな鳴海さんの目標は「先生、選手、保護者の方々に信頼されるマネージャーなりたい」と話してくれた。
また人をサポートする中で、「以前より人のことを考えて行動できるようになった」のだと話す。中でも頑張る元気をもらえる瞬間は、選手に「ありがとう」と感謝された時だ。
マネージャーの鏡のような鳴海さんだが、挫折しかけたこともある。「(先輩が引退し)マネージャーが一人になってしまい、自分ひとりでやっていけるか不安だった」と打ち明けてくれた。
けれど、苦しいことばかりではない。練習試合で初めてアナウンスを担当した時、「本当に初めてなの?」と先輩に驚かれたことはちょっとした自慢だ。才能あふれる鳴海さんのアナウンス、ぜひ聞いてみたい。
一人で部活を支える重圧に悩む日もあったが、感謝されたり、褒めてもらったりする瞬間があるから頑張れる。「マネージャーとして色々出来るようになってきたな」と褒めてもらえた時は嬉しかったと話してくれた。「少しの成長ですけれど」と謙遜する鳴海さんだが、1人で55人の部員を支える彼女の努力は並大抵ではないことは容易に想像できる。
もしマネージャーをしていなかったら、「以前のようにだらしない生活をしていたと思います」とやはり謙虚な姿勢は忘れずに答えてくれた。
鳴海さんの将来の夢は、歌の道に進むことで、ジャンルはボーカロイドを志望している。しかしまずは就職して1人前になってから歌手の世界に踏み入れたいと語る堅実志向だ。
そんな彼女がマネージャーを一言で表すと、「選手をサポートし、練習しやすい環境を作る存在」と話す。選手が最大限力を発揮できる環境を作る、これぞマネージャー業務の要である。
選手も「いつもマネージャーの仕事をこなし、尚かつ掃除やご飯を作ってくれて本当に感謝しています。チームにとってマネージャーは大切なチームメイトです」と感謝が止まらない。
1年生一人で部活のために奔走する鳴海さんに、多くの読者も勇気づけられたことだろう。鳴海さんのサポートを糧に、この夏は甲子園出場の夢を大分工の選手とともにぜひ叶えてほしい!
文=編集部