Column

コミュニケーション力を大切に! 九州文化学園(長崎)頑張る!マネージャー

2019.03.17

 長崎県佐世保市にある九州文化学園は、昨年の秋季長崎県大会でベスト4入りするなど着実に力を付けてきているチームだ。そんな九州文化学園野球部を支えるマネージャーは4名。彼女たちの素晴らしさは、「コミュニケーションが取れる」ところ。

 古賀豪紀監督も生徒たちに期待していることはコミュニケーション力だ。
 「コミュニケーションを取って欲しいんですよ。喋れる人間を育てたいと思っています。大人になった時に使えるコミュニケーションの能力をつけてほしい。将来みんな働くわけですから、指示待ち人間でなく、自分で考えてやる、そういう人間を育てたい。」
 古賀監督の想いである。

 今回は、「コミュニケーション」をキーワードに、彼女たちの日々の活動への思いに迫る。

選手の笑顔で癒される


左から見島陽菜さん、松田実恋さん、末竹咲月さん

 九州文化学園の野球部には現在56名が所属しており、その活動を支えるマネージャーは2年生の松田実恋さん、1年生の見島陽菜さん、末竹咲月さん、本田隆成さん、の4名。
 普段の活動はグラウンドの環境整備、各部屋やグラウンドの清掃、お客様の対応、寮の掃除(食堂、洗濯室、廊下、大講義室)、道具の修理、試合中のアナウンスやスコアなど多岐にわたる。

 中でもおもてなしには力を入れているとのこと。シーズン中の紅白戦のアナウンスは変わった活動の一つだ。より公式戦に近い雰囲気で紅白戦を行うことで、選手たちのモチベーションアップに一役買っている。

 球場に行った時の行動や、アナウンスの上達は他の高校のマネージャーに負けていないと答えてくれた。
 「球場に行った際は朝着いたら各部屋の掃除を行います。同じ場所を何人でもするわけでなく、自分自身で考えて行動します。礼儀正しく、挨拶も負けていません。」

 アナウンスでは紅白戦などで何回も練習し、練習試合などで日々の成果を出している。
 球場での行動も、アナウンス上達のための練習も、とても意識を高く持って取り組んでいることが伺える。

 そんな彼女たちは選手との会話や笑い合ったりする時が1番楽しい時間だと話す。
 普段の練習中や試合中など真剣な姿で取り組んでいるが、学校や練習後にコミュニケーションを取り笑顔のみんなを見ていると心が癒されるからだ。

 思わず選手にキュンとしてしまう時は、汗を拭った時と笑顔を作った時。
 普段から、選手とコミュニケーションを取りながらサポートすることを心がけている彼女たちにとって、選手たちの笑顔は格別なものなのだろう。

 どんな時にやりがいを感じるかと尋ねると、選手から「ありがとう」と言われた時や、他の高校の指導者さんや保護者さんからお褒めの言葉をいただいた時だと話してくれた。

 オススメのマネージャーグッズを紹介してもらうと、なんとマネージャー用の携帯があるという。主に先生や保護者の方との連絡を取る際に使用しており、選手と写真を撮れるからオススメだと話してくれた。
 マネージャー用の携帯が受け継がれることによって、チームとしての歴史も受け継がれる。まさに今の時代のコミュニケーションだ。

 マネージャーあるあるとしては、「選手からあだ名をつけられること」「恋愛のことでは必ず茶化されること」と話す。普段からよくコミュニケーションを取り、選手とマネージャーの仲がとても良いからこそのことなのだろう。

  昨夏の大会の中で最も記憶に残っている試合は、2回戦の長崎商業との対戦。
 3、4回で3点ずつ取られ6対0になったが、4回の表で6点を取り返し、5、6回からは1点ずつの取り合いになったが、延長12回裏にサヨナラ打を打たれ、8対9で敗戦してしまった。「あの時は焦りもあり、逆転した時の嬉しさはすごかった」と振り返る。同時に「負けた瞬間は悔しくて色々な思いがこみ上げてきた」とも。
 その試合で引退してしまった3年生マネージャーは、悪いことは悪いとしっかり教えてくれて、いつもは元気一杯で明るいマネージャーだったと話す。

 日々練習に励む選手たちに「甲子園、絶対行こうね!!」と熱くエールを送ってくれた。

 ここからは2年生の松田さんにマネージャーとしての思いを詳しく聞いていく。

[page_break:努力は裏切らない]

努力は裏切らない


左から末竹咲月さん、見島陽菜さん、松田実恋さん

 中学の時にはバドミントン部に所属していた松田さん。野球部のマネージャーになるきっかけは選手からの誘いだった。プレイヤーから選手を支える立場になった松田さんだが、「明るく、みんなからの信頼を得るマネージャーになりたい」と目標を話してくれた。

 マネージャー活動を通して、「気配りができるようになりマネージャーにならないと知ることができない大切さや嬉しさ、大人の方とのコミュニケーションで正しく恥ずかしがらずに何事もできたことで、自分自身が変わった」と話す。
 もしマネージャーをしていなかったら「礼儀を正しくできず、苦手なコミュニケーションを避け続けたりして立派な大人になれていなかったかなと思う」と話してくれた。

 そんな松田さんもマネージャー活動で挫折しかけたことがあるそう。松田さんが辛い時や色々なことで悩んだりしているときに話を聞いてくれた選手の「俺たちの代にはお前しかおらん。みんなで頑張ろう」という言葉がとても心に残っていて、マネージャー活動の中で嬉しかったことの一つだ。

 入部当初の松田さんにとって、アナウンスが大きな壁だった。恥ずかしがり屋で自信が持てずにいたのが、試合で重要なアナウンスという仕事。
 ある日の紅白戦でアナウンスを担当した時に周りからは「下手っ!小学校の運動会やん!」との声。それで心に火がついた松田さんは家のお風呂で[stadium]甲子園[/stadium]で流れるアナウンスを聞き、先輩にも動画を送りながら練習をスタート。すると次の紅白戦では「上手くなったね!」と言われ、「努力は裏切らないなと感じた」と語る。

 松田さんにとってマネージャーとは?と尋ねると「必要不可欠な存在です」と答えてくれた。
 それは選手にとっても同じで、主将の柏木寿志選手は「チームにとってマネージャーはチームの雰囲気を上げることも下げることもできるようなとても重要な存在」だと話してくれた。

 九州文化学園の春の初戦まであと少し。球場でのテキパキとした行動、一生懸命サポートする彼女たちにも注目し、九州文化学園の活躍に期待していきたい。

編集後記
 日頃から「大人とのコミュニケーション」を鍛えているマネージャーだけあり、取材後の写真撮影も、コミュニケーションを取りながらの笑顔が耐えない撮影となった。これこそ、九州文化学園のマネージャー!と思わせてくれた。

(文=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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