Column

選手の笑顔は本当にかわいい!部員大好きマネージャー 春日部共栄(埼玉)

2019.03.10

 現在79人の部員が在籍する春日部共栄野球部。昨夏は11年ぶりの初戦敗退を味わったが、この屈辱を乗り越え、昨秋は関東大会準優勝を果たした。今回は名門・春日部共栄野球部を支えるマネージャーにお話を伺った。

土日はお米80合!沢山のおにぎりで大好きな選手の笑顔が見たい!


左から飯野桜さん、吉原麗渚さん、寺崎あいりさん

 お話を聞かせてくれたのは、2年生の吉原麗渚さん、寺崎あいりさん、グラウンドマネージャーの内谷悠太郎さん、1年生の飯野桜さんだ。

 男子1人、女子3人で活動する春日部共栄マネージャー。普段はおにぎりやジャグ作り、掃除、スコア記録や集計、アナウンスにと、部員のために幅広く働いている。

 おにぎり作りに炊くお米はなんと、1日80合!380個ものおにぎりを1日に作る時もあるというからびっくり。1人約4個のおにぎりを食べるのだから、成長期真っ盛りの食欲は本当にすごい!

 そんな彼女たちがここだけは他の高校に負けない!と言うのはマネージャーの仲の良さ、後輩マネージャーの面白さだ。「ただでさえ部活で毎日顔を合わせるのに、オフの日も一緒に遊ぶほどお互いのことが大好き!」と話してくれた。部活も遊びもいつも一緒、まさに4人はマブダチなのだ。

 忙しい中でもやりがいを感じるのは、おにぎりが全部なくなったり「美味しい」と言ってくれたりした時。4人が苦労して作ったおにぎり、選手達もさぞかしありがたいだろう。

 また、ベンチに入ってスコアを書いている時や、部員の父母から「いつもありがとう」と感謝されたときも嬉しいのだと話す。

 マネージャー活動の中で一番楽しい時間は?との問いに対し、アナウンスやスコアを書いている時と答えてくれた。スコアラーとしてベンチに入ることで、プレーはせずとも選手と一緒に戦っている気持ちになり、悔しさ・嬉しさを一緒に味わえる。選手のとびきりの笑顔を一番近くで見られることも、何よりの幸せだ。

 冬の洗い物は冷たい水の中、手の感覚もなくなり辛いが、笑顔で明るくいることを心がけ選手をサポートしている。「選手の前では絶対にくよくよした姿は見せられません」と話すプロ意識には感服だ。

マネージャー同士で話すのは大体部員のこと。「部員の恋愛事情には結構詳しいです(笑)」と内部事情には精通している様子。「なんで知っているの!」と驚かれることも多々あるというから、女子の情報網は侮れない。

 そんな彼女たちが語る選手の胸キュンポイントは、「髪を切った時など些細な変化にも気づいてくれ、かわいいと言ってくれること」。「ふざけているのかもしれませんが、正直照れてしまいます(笑)」と話してくれた。

 そして「選手の笑顔は本当にかわいいです、スマホの壁紙は部員の写真にしています」と語る選手愛の強さ。まさに”青春”!甘酸っぱいやり取りに筆者も思わず悶絶してしまった。

 おすすめのマネージャーグッズは、おにぎりの型。同時に2個おにぎりが作れるので、効率アップを図れる時短グッズだ。

 また「寮母さんのほうき」は曲がってなくて掃きやすい、お気に入りアイテムなのだという。

 これまでの試合の中でも特に記憶に残っているものを聞いてみた。

 寺崎さんは、9月28日に[stadium]さいたま市営大宮球場[/stadium]で行われた正智深谷戦を挙げた。「初めて球場のベンチに入りスコアを書く試合で緊張していました。しかも序盤は劣勢が続き内心ハラハラでした。しかし徐々に巻き返し、最終的に勝利した瞬間の安心感と嬉しさは忘れられません!」

 吉原さんは、10月3日、[stadium]さいたま市営大宮球場[/stadium]で行われた上尾戦が記憶に残っている。「初めて立ってスコアラーとして記録していたら、ホームランを打った選手がとびきりの笑顔でハイタッチしに来てくれたのが嬉しかったです!」と振り返る。また自然と「ナイスバッティング!」と叫んでいて、選手と一体になれた試合だった。

 飯野さんは、10月23日、[stadium]山日YBS球場[/stadium]で行われた関東大会準決勝横浜戦が忘れられない。「勝てないと言われていた横浜に、立て続けにホームランを放った先輩はとても誇らしかった」と話す。

 夏の大会では、7月13日に[stadium]市営大宮球場[/stadium]で行われた昌平戦が印象深い。

 序盤から打ち込まれ厳しい試合展開が続き、試合終了後、3年生のマネージャーの先輩が泣いていた光景には胸が掴まれる思いだった。

 引退した3年生は

 「頼まれたことは何でもでき、自分たちから仕事を見つけ正確にこなすことが出来る。何でもできる憧れの存在でした(寺崎)」

 「何でもこなす憧れの先輩です。部員や後輩マネージャーのことも沢山気遣ってくれ、いつも寄り添ってくださる素敵な先輩です(吉原)」

 「困ったときにはいつも助けてくれ、必要な時はちゃんと叱ってくれました。自分が共栄のマネージャーになれたのは3年生の先輩のおかげです。大好きです(飯野)」と語る。

 3年生の偉大さが伝わってきたが、これからは彼らが先輩の背中を超えていく番。

 日々練習に励むチームの選手へ一言お願いすると、「引退まで後悔しないように頑張ろう。最後は笑顔で終われるように(寺崎)」「マネージャーはみんなのことが大好きです。自分に出来ることは本当に何でもしたいと思っているのでどんどん頼ってくれたら嬉しいです!(吉原)」と激励してくれた。

[page_break: ”挫折しかしてないんじゃないか” でも支えてくれる人がいる

”挫折しかしてないんじゃないか” でも支えてくれる人がいる


洗い物をする春日部共栄マネージャー

 ここからは寺崎さん、吉原さん、飯野さんにマネージャーになった経緯などを伺った。

 3人がマネージャーを志した理由は、

 「中学1年生の時に共栄が甲子園に行った際応援に行き、とても楽しかったのでもう一回行きたいと思った(寺崎)」

 「成田翔くん(千葉ロッテマリーンズ)が本当に大好きで、甲子園という同じ舞台へ行きたいと思った(吉原)」

 「甲子園を見るのが好きで、共栄に入ったら野球部のマネージャーか帰宅部しか選択肢がなかった。入学直後、クラスで自己紹介する時間に野球部の子が”甲子園へ行くので応援してください”と言っていたのを聞いて、応援したいと思ったから(飯野)」

 マネージャーにとしての目標は、

 「どんな状況でも冷静かつ笑顔でいられること(寺崎)」

 「選手に必要とされるマネージャーになること(吉原)」

「みんなに頼られ、”こいつに任せれば大丈夫”と思ってもらえる存在になりたい(飯野)」

 やはり選手から頼られることはマネージャー冥利に尽きる。

 また活動を通じて、自身が変わったことを尋ねた。

 「掃除が上達、挨拶が出来るようになりました(寺崎)」

 「肉体的にも精神的にも強くなりました(吉原)」

 「心が強くなり、少し考えが大人になりました。メンタルが弱くて小さい頃から習い事が続いたことがなく、中学も部活は真面目にやっていませんでした。しかし学年にマネージャーが一人という責任感が自分を強くしていると思います(飯野)」

 マネージャー業務を通して、それぞれが確実に成長を感じているようだ。

嬉しかったことは、「アナウンスが上手いと褒められたこと(寺崎)」
「選手と凄く仲良くなれたこと。入部当初はどうしたら仲良くなれるのか悩んだぐらいでしたが、今では本当に仲良しでクラスでも沢山話しかけてくれるし、恋愛相談をしてくれるほど打ち解けてくれた部員もいます(吉原)」
「赤バックを持っているだけで話しかけてくれたり、野球部として試合応援できる。また他校に友達ができること(飯野)」

 しかし、時には挫折した経験だってある。

 「最初は全くスコアが書けず、自分は向いていないのかと思うことがあった(寺崎)」

 「挫折しそうになったが、部長先生が真摯に相談に乗ってくださったし、部員が手紙を書いてくれたりして沢山の方が支えてくれたからこそ、今までマネージャー続けられた。本当に感謝しています。(吉原)」

 「挫折したことしかないんじゃないかと思うほど挫折しています。休日遊べる友達が眩しく見えたりしますが、コーチや部員、部員の父母さん、近所のおじさんが気にかけてくれたり、”いつもありがとう”と言ってもらえることが心の支えです(飯野)」

 ちょっとした自慢を聞くと、

 「部員に愛されていると思います(笑)他の部員と話していても”れなち、れなち”と次々に声をかけてくれ私と話したがる部員が沢山いて対応しきれない時もあって本当に幸せものです。”れなち”というあだ名も部員がつけてくれました!(吉原)」

 「1年生だけど頼りにされていると感じることが多い。”飯野!””桜ちゃん!”などとコーチや部員に名前で呼ばれることが嬉しいです!(飯野)」


仲良し!春日部共栄マネージャー

 印象に残っている出来事は、「探し物をしていたが実は目の前にあり、監督から”お前視野狭いな”と言われたこと。それ以来広い視野を持つよう心がけています(飯野)」と自虐ネタも披露してくれた。

 マネージャーをしていなかったら「特になんの取柄もない普通の女子高生だった(寺崎)」「毎週のようにマリンスタジアムに通っていたと思う(吉原)」「帰宅部のJK。それはそれで楽しめたが、暇すぎて後悔しそう(飯野)」と個性あふれる回答をしてくれた。

 また吉原さんは、「マネがいなかったらお茶やおにぎりもないし、感謝は伝えられるうちに伝えないと」とお礼を言われたときは、「マネージャーを必要としてくれていると実感でき、本当に嬉しかった」と話す。

 主将の石崎選手も「マネージャー4人は、自分たちのことを陰で支えてくれる大切な存在です」と頭が上がらない。部員愛あふれる4人が支える春日部共栄野球部。これからもマネージャーの手作りおにぎりをたくさん食べて、甲子園に向けて駆け抜けてほしい!

(文=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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