Column

選手たちを支える母のような存在でありたい! 府立港(大阪)

2018.12.26

 大阪府大阪市港区に位置する府立高校野球部には、選手たちを裏で支える母のようなマネージャー4人が活躍している。
今回はそんな4人のマネージャーの日々の活動を追っていく。

マネージャーとしての自覚を持って活動に取り組む


この日も選手にノックを打つ吉本萌々香さん

 府立高校野球部17人を日々サポートしているのが、三宅美帆さん(2年)、吉本萌々香さん(2年)、今井真結さん(1年)、成田優衣さん(1年)の4人だ。

 普段の活動ではボール渡しやタイマーでの計測、練習の用意などをしている。そんな府立では、マネージャーがゴロノックを打ったりするほか、部活動の一貫として12月22日から31日の10日間は、堺市で部員全員がアルバイトに参加するなど、少し変わった活動にも取り組んでいる。

 選手から信頼されるマネージャーになるべく、次の行動に素早く移ることや、要領よく考えることを普段から心がけて選手をサポート。こうした活動に対してマネージャーとしての自覚を持って取り組んでいるという面では、他の高校のマネージャーに負けていないと語ってくれた。

 マネージャーをしていると男っぽくなったり、ズボンにお茶がついたりする事はよくあることだ、と少し意外な一面を語ってくれたが、今までに挫折しかけたことはあるのか尋ねると、「冬の寒さに負けそうになったこと」だと語ってくれた。

 冬になると寒くて唇が紫色になってしまうこともよくあるほど、選手たちを支える彼女たちは寒さと戦っている。そんな彼女たちのおすすめグッズはアンダーシャツや、足に貼るカイロ、お湯だという。寒さをしのぐにはこれ以上ないマストアイテム。おすすめグッズは彼女たちを支える大事なアイテムなのだ。

 もちろん夏になれば日焼け止めが必須だと語る彼女たちは、どうしてマネージャーという仕事をやろうと思ったのか。そのきっかけを尋ねると、「元々野球を見ており、もっと近くで見ていたかったから」という声も上がれば、テレビドラマへの憧れ、さらには「ボールを触っていたかったから」など彼女たち自身、野球愛が感じられる回答ばかりだった。

[page_break:部員とマネージャーで1つのチーム!]

部員とマネージャーで1つのチーム!


(前列左から)成田優衣さん、今井真結さん (後列左から)吉本萌々香さん、三宅美帆さん

 野球への愛情を語ってくれた彼女たちにとって、マネージャーとしてどんなときにやりがいを感じるか、と問いかけると、大会で勝ったときや試合に勝って喜ぶ姿を見たときだと話す。また、普段の活動の中でも、一緒に練習してきたことができるようになり、日々選手たちが進歩していく姿を見ることだと語る。暑さに負けず、寒さにも負けず日々選手を支えているからこそ、選手とともに喜ぶことができるのだ。

 府立は今秋の大会でベスト8に入った。府立唯一のベスト8で、校舎にも横断幕が掲げられるほどの功績を残した秋の大会のすべてが、1番印象に残っている自慢の出来事だ。

 特にその中でも、[stadium]関西創価グラウンド[/stadium]で行われた関西創価高校との2回戦は、投手戦となり、とても白熱したとのこと。

 さらには続く[stadium]豊中ローズ球場[/stadium]で行われた豊中高校戦では、選手たちの声がとても出ていたことや、ナイター試合という特別な雰囲気を味わえたことが思い出に残っており、印象的な試合の理由だという。

 今夏の北大阪大会では3回戦まで進んだが、[stadium]万博記念公園野球場[/stadium]で行われ、自チームの打撃が止まらず、11対1の5回コールドで勝利した2回戦・府大工業高専戦がとても記憶に残っていると話してくれた。

 その後の大阪学院大高に敗れて引退していった先輩方とは上下関係で悩んだこともあったが、3年生の選手たちは彼女たちの目にはクールに見えていた。そしてマネージャーの方は自分たちとたくさん話してくれたが、「時には自分たちのことを思って怒ってくれる、そんな存在だった」と語る。

 もし、マネージャーをしていなかったら礼儀知らずで、だらけた生活をしていたかもしれないとみなさんは話してくれた。礼儀や早寝早起きがしっかりとできるようになったのも、マネージャーになって自分自身が変わったと感じる点だと語る。

 マネージャー活動をしていてどんなときに嬉しいか尋ねると、「自分たちが作ったお守りを野球カバンに付けてくれたときはとても嬉しい」と話す。

 また、選手が重いものを率先して持ってくれる時や、本気で相談にのってくれる瞬間。さらには選手たちの筋肉や笑顔、闘志溢れるガッツポーズを見たとき、思わずキュンとして、青春を味わっていることに嬉しさを感じると答えてくれた。

 マネージャーのみなさんにとって、「部員とマネージャーで1つのチーム」であるという言葉がとても心に残っているという。そんなマネージャーから選手へ「妥協軍団からの脱却」という言葉を送りたいという。この言葉は西原佑騎監督が選手に向けて話したことだが、「妥協軍団から脱却できるように応援し、日々それをサポートしていきたい」という彼女たちなりの意気込みが込められていた。

 主将の清久 剛選手はマネージャーの4人のことを「僕たち選手のことを陰で一番支えてくれる存在であり、選手のことを一番理解してくれている存在」だと語る。

 毎日の練習メニューを見るとき、練習が盛り上がっているのを見るのが楽しいと語る府立のマネージャーのみなさん。選手を裏で支える母として活躍する4人のマネージャーと、府立高校の躍進を今後も注目して追いかけていきたい。

(文=編集部

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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