第27回 駒大苫小牧が田中将大で、大会3連覇を果たすかという中で注目されていた年2018年08月22日
【目次】
[1]高校野球の歴史を大きく変えた駒大苫小牧
[2]3連覇を目指すも斎藤佑樹のヒール役に
高校野球の歴史を大きく変えた駒大苫小牧

高校時代の田中 将大選手
高校野球の歴史を大きく変えたと言われているのが、2004年の南北海道代表の駒大苫小牧の優勝である。2年連続出場となった駒大苫小牧。前年夏は初戦、倉敷工に4回二死まで8対0と大きくリードしていたが、台風の影響により大雨が止まずノーゲームとなり、翌日の再試合で敗退する。
その悔しさをバネに連続出場を果たしたのだ。大会前の評判は、「相手によって打順を組み替えられる強打のチーム」という触れ込みだった。とはいえ、まさか全国の頂点を取るような強力なチームだとは、さすがにほとんどの人は予想していなかったのではないだろうか。
実は、この年は北海道に野球革命が起きた年でもあった。というのも、プロ野球の日本ハムが東京から本拠地を札幌市に移転。球団名も正式に「北海道日本ハム」と名乗るようになった最初の年でもある。道民には新たに野球観戦文化が生まれかかった年でもある。
と同時に、北海道勢はこれまで甲子園で49勝、「50勝目は自分たちが…」そんな思いで挑んだ駒大苫小牧だ。この年の春には、尼崎市の野球少年だった田中 将大も、「多くの学校から声をかけられたけれども、全国の学校から施設や環境などを見て、将来プロ野球選手になるということを前提として考えた」という理由で、駒大苫小牧を選択している。そして、その男が高校野球新時代を誕生させるとともに、歴史的な試合を演出することとなるのだ。

2006年夏に注目された打の怪物 堂上直倫選手と中田 翔選手
04年と05年夏に駒大苫小牧は連続優勝を果たす。これで、すっかり北海道も高校野球強豪地区となった。05年のメンバーには背番号11で2年生の田中 将大がいたが、準決勝の大阪桐蔭との試合では先発して7回途中まで投げて平田 良介(中日)をことごとく抑えている。田中は京都外大西との決勝では後半にマウンドに立ち4回1/3を投げて優勝投手となっている。
そして3連覇を目指すこととなった06年、田中はシーズン前から投の怪物として注目を浴びることとなったが、この年は同じように打の怪物としては前年センバツで2年生ながら主軸として優勝にも貢献した愛工大名電の堂上 直倫がいた。その両方が、期待通りに甲子園に勝ち上がってきた。
ところが、愛工大名電は初戦であっさり福知山成美に敗退する。堂上は8回にタイムリーこそ放ったものの最後の夏の甲子園1安打で終わった。打の怪物としては大阪桐蔭の2年生の4番打者中田 翔に期待が移ったが、その中田も2回戦で早稲田実業の斎藤 佑樹に大胆に内側を攻められて3三振を喫するなどで無安打。チームも敗退した。そして、代わって大会のヒーローとなっていったのが、その斎藤だった。マウンド上で青いフェイスタオルで汗をぬぐう仕草も話題となって、時のマスコミは“ハンカチ王子”と名付けた。
こうして、甲子園は新たなヒーローを生み出していくのだが、それが一つひとつ勝ちあがっていくことで、さらに人気を得ていくことになる。それが、やがて“ハンカチフィーバー”となっていった。
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- 手束 仁
- 生年月日:1956年
- 出身地:愛知県
- ■ 経歴
半田高→國學院大。
大映映像事業部などで、映画・ビデオなどの販売促進、営業等を経て、編集プロダクションで10年勤務。実用書の企画・編集とスポーツ関連の企画も多数手がけた。
99年にムックとして『熱中!甲子園』(双葉社)を仕掛け刊行。さらに99年12月に、『アンチ巨人!快楽読本』(双葉社)を企画編集・執筆。その後、スポーツフィールドをメインとした書き手として独立。 - ■ 著書
『都立城東高校甲子園出場物語~夢の実現』(三修社)
『甲子園への助走~少年野球の世界は、今』(オーシャンライフ社)
『高校野球47の楽しみ方~野球地図と県民性』(三修社)
話題作となった
『甲子園出場を目指すならコノ高校(増補改訂)』(駿台曜曜社)
『スポーツ進学するならコノ高校』
『東京六大学野球女子投手誕生物語~ふたりの勇気』(三修社)
『三度のメシより高校野球』(駿台曜曜社)
『スポーツライターを目指す人たちへ~江夏の21球の盲点』(メディア・ポート)
『高校野球に学ぶ「流れ力」』(サンマーク出版)
『野球県民性』(祥伝社新書)
『野球スコアつけ方と分析』(西東社)
『流れの正体~もっと野球が好きになる』(日刊スポーツ出版社)NEW! - ■ その他の著書
『人生の達人になる!徒然草』(メディア・ポート)、『かつて、日本に旧制高等学校があった』(蜜書房)など文学と社会風俗、学校と教育現場などで独自の解釈と新境地なども開拓中。 - ■ 野球に限らずスポーツのあり方に対する思いは熱い。年間の野球試合観戦数は300試合に及ぶ。高校ラグビーやバレーボール、サッカーなども試合会場には積極的に顔を出すなど、スポーツに関しては、徹底した現場主義をモットーとしている。
- ■ スポーツをフィルターとして、指導者の思いや学校のあり方など奥底にあるものを追求するという姿勢を原点としている。そんな思いに基づいて、「高校生スポーツ新聞」特派記者としても契約。講演なども國學院大學で「現代スポーツ論」、立正大で「スポーツ法」などの特別講師。独自の視点からのスポーツ論などを展開。
- ■ 手束仁 Official HP:熱中!甲子園
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