第1回 投手の負荷の高い登板の<長期的><短期的>影響を考える。2015年08月13日

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【目次】
[1]プロ以上の負荷が、短期間に集中的にかかる甲子園球児
[2]~長期的視点~ 夏の甲子園で500球以上を記録した投手のプロ入り後
[3]~短期的視点~ 150球を記録した投手、次の試合の成績は

 第97回全国高等学校野球選手権大会も大会中盤に突入。1回戦では、延長戦も続き、投手の球数が増えたゲームも見られたが、今回は、その「投手の球数」について、データの視点から掘り下げて考える。過去に甲子園で500球以上投げた投手は長期的にみて活躍しているのか?など、興味深い内容が満載!

プロ以上の負荷が、短期間に集中的にかかる甲子園球児

 甲子園球場を舞台とする全国大会の場では、過去いくつもの名勝負が演じられ野球ファンを虜にしてきたが、その多くの中心にいたのは投手だ。

 過酷な連投に耐えなければならなかったケースも多い。最近では、2年前の第85回選抜高校野球大会で、済美高の安樂 智大投手(現楽天)関連コラムインタビューが5試合で772球を投げ、ファンの声が賛否分かれたことがあった。さかのぼれば、2006年に行われた第88回全国高校野球選手権大会でも、早稲田実業斎藤 佑樹投手(現日本ハム)が948球を記録したこともある。

 安楽や斎藤のケースをプロ野球の記録と比較してみると、ローテーションの中心となってフル回転するエース級の投手が1ヵ月で記録する球数よりも多い。
 今シーズン5月で最も多くのボールを投げた則本 昂大投手(楽天)2014年インタビューは、30日間で633球。メジャーリーグでも5月の最多投球数だったデビッド・プライス(タイガース)も30日間で656球だ。
 甲子園で行われる全国大会は春のセンバツで10日前後、夏の選手権大会でも15日前後である。つまり、半分以下の日数でプロ投手以上の球数を記録しているのである。



 高校生の投手の球数が問題になるのはこの部分で、登板間隔が短く1試合で投げる球数も多い。
 プロの投手が登板間隔を空け、球数を抑えるのは故障防止、コンディション維持のためとされている。これらは当然高校生にも必要とされるものだが、一発勝負のトーナメント方式という制度が、登板間隔と球数の制御をむずかしくしている。

 高校野球を経ずにプロ野球選手になるルートは現在のところまだ未整備だ。こうした環境の中で、故障を回避しながらキャリアを積んでいかなければいけないのが、プロを目指す投手たちなのである。

注目記事
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プロフィール

DELTA
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  • 合同会社DELTA
  • 2011年設立。スポーツデータ分析を手がける。代表社員の岡田友輔と、協力関係を結ぶセイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。
    書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える セイバーメトリクス・リポート1,2,3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクスマガジン1,2』(DELTA刊)、メールマガジン『Delta's Weekly Report』などの媒体を通じ野球界への提言を行っている。
  • 最新刊『セイバーメトリクス・リポート4』を3月27日に発売。
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