目次
恩師が語るヒーローの高校時代 山田哲人選手

[1]常に抱いていた「もったいない」という思い
[2]頑なに断り続けた副キャプテン就任 / 2年秋に突然訪れた意識の変化
[3]人間は意識が変われるだけでここまで変われる / マイペースは変わらないが「ペース」が変わった

 昨季は高卒4年目にして日本人右打者のシーズン最多安打記録を更新し、大ブレイクを果たした東京ヤクルトスワローズ・山田 哲人選手。
今季も前半戦でリーグトップタイの19本塁打を積み上げ、打率もリーグ4位の.306をマーク。さらにリーグ2位の15盗塁を記録(7月17日現在)。史上初の本塁打王と盗塁王を狙える位置に来ており、打てて走れる新時代の4番打者として、注目を浴びている。

 そんな山田選手はいったいどのような高校球児だったのだろうか。10代後半の成長過程を見守り続けた恩師・岡田 龍生監督に話をうかがうべく、山田選手の母校、大阪・履正社高校を訪ねた。

常に抱いていた「もったいない」という思い

履正社・岡田 龍生監督

 持って生まれた素質だけで野球をやっているという印象の選手でしたね。考えて野球をするという習慣はなく、一言で言うと「粗削りな選手」。しかし、足は速いし、肩はめっぽう強い。「将来的にはプロにいける素材なのでは?」と思ってしまうほどの身体能力の高さを備えていました。持っている素質だけで1年生の時から試合に出れたわけですからね。素材は明らかに飛びぬけていました。

 ただし、自分から進んで、他人よりも努力をするというタイプではなかったし、「野球が好きな子だなぁ」という印象もあまり受けませんでした。「それならうちのような練習のしんどい私立でなく、公立高校で楽しく野球をやる道を選べばよかったのに」と思ってしまったほどです。

 うちの卒業生であるオリックスのT-岡田なんかは「絶対にプロにいきたいです!」という強い信念を持って入部してきました。そうなると我々指導者サイドもプロに行くために必要と思われることを岡田に授けますし、岡田本人も目標達成のために必要な事をどんどん吸収し、高校野球を通じ、さらなる進化を遂げていきました。

 山田も「プロになれたらいいな」くらいの気持ちはあったんだろうけど、その意識、意欲はT-岡田などと比べるとかなり低く、「なにがなんでもプロになるんだ!」という思いは感じられませんでした。

 練習をサボるわけじゃないし、練習は普通にちゃんとやるんです。ただ、自分で「もっと!」と追求し、自らを追い込んでいくという要素が不足していました。いくらいい素質があっても、強い意欲が本人になければ開花させることは難しい。「ああ、もったいないなぁ」というジレンマが常にありました。

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