大枝茂明監督(東京城南ボーイズ)

 昌平では「黒坂監督が城南ボーイズの選手を大切に扱ってくれて、技術面、精神面ともに指導してくれた結果がこのような評価(ドラフト1位)になったのではないかと思っています。吉野を大切に育ててくれたことには感謝しています」と高校野球の舞台でも埋もれることなく、下級生のころから頭角を現し、高校通算56本塁打をマークする世代屈指のスラッガーに成長。同じく東京城南ボーイズから昌平に進んだ古賀 智己外野手とともにクリーンアップを務め、2年秋には県大会初優勝も果たし、昌平高校野球部の歴史も変えた。

 186センチ、76キロと、スラッとして長距離打者とは思えない体格。それでも背筋力と合理的なスイングを身につけ、持ち前のスイングスピードに磨きをかけた吉野は、あっという間に球を遠くに飛ばし、多くのアーチを描いた。本塁打を放った試合後の取材でも「高校通算〇〇本目です。打った球は...」と質問せずとも、即座にはっきりと答える。メディアに対しても真摯的な姿勢で、通算本塁打へのこだわりを感じさせる姿が印象的だった。

 大きな期待を背負って挑んだドラフト当日。吉野は楽天に単独1位指名を受けた。「高卒外野手」では最も早く名前を呼ばれ、世代No.1の評価ということを示した。これは大枝監督にとっても「答え合わせ」ができた瞬間でもあった。「記者会見などが終わった後に、黒坂先生、母親、吉野という順番で報告を受けました。彼も喜んで興奮していました。誰もまさか1位とは思っていなかったので」と指名当日を振り返る。

 そして仮契約後の日曜日、吉野が東京城南ボーイズのグラウンドへ挨拶に訪れた際には、「契約金でマシン2台」をおねだり。ちょうど現在使っている打撃マシンが古くなっていた。「1台とは言わず2台買ってくれ、と言いました。笑って快諾してくれました」。そして「吉野の練習場としてマシン2台をここに置いておいて、プロの世界で苦しんだ時にはいつでもここに戻ってこいよ」と言葉を添えた。

 大枝監督の夢でもあった「高卒ドラ1」でプロ入りを実現し背中が大きくなっていたが、これからも「教え子」ということは変わらない。

(記事=編集部)