目次

[1]まずは土台作りで飛躍のきっかけを作った
[2]プロに行きたい、活躍したいという気持ちに変えた甲子園と高校日本代表戦

 3月26日、プロ野球が開幕。3連覇を狙う巨人はこの男の躍進が鍵を握っている。それがプロ3年目の戸郷 翔征聖心ウルスラ出身)だ。高校時代、2年夏に甲子園を経験。3年夏には甲子園出場を逃したものの、宮崎で開催された高校日本代表との壮行試合で好投を見せ、ドラフト6位指名を受け、巨人入り。

 6位ながら、プロ1年目からの歩みは若きエースそのもの。ルーキーから初勝利日本シリーズの登板を経験。プロ2年目は9勝。さらに日本シリーズでは敢闘賞を受賞した。そして高卒3年目ながら開幕第2戦目の先発が決まった。並外れた球速と成長力の原点はどこになるのか?

 今回は聖心ウルスラ時代の恩師である小田原 斉監督にお話を聞かせてもらい、当時のエピソードを語っていただいた。

まずは土台作りで飛躍のきっかけを作った


 戸郷の才能の高さは妻ヶ丘中時代から知れ渡っていた。それだけではなく、投手指導をメインにしている近藤部長は吸収力の高さを絶賛する。

 

 「教えたことをすぐに吸収できる能力はありました」

 あまり余る才能に加え、センスの高さ。その一方で、小田原監督は、体力面に不安があったと振り返る。
 「当時から体の線が細かったので、頑張ってプレーをしても体力面で1年間は思うような成長はできていなかったと思います。ですので、冬場はトレーニングはもちろん、食事を含めてきちんと行って、大きく成長していく必要がありました」

 入学当時の戸郷は同級生の中でもずば抜けた存在ではなく、2番手もしくは3番手くらいの立ち位置だった。それでも6月ごろにはAチームで登板させて対外試合デビュー。秋以降の戦いを見据えて経験をさせることができた。

 こうした順調なステップアップができたのは、練習の取り組む姿勢があったからこそ。
練習メニュー1つ1つを真面目にこなしていた。
 「やるべきことをコツコツ出来る。継続力のある選手でした」と小田原監督が評価する戸郷は、課題だった体力面も少しずつ鍛えられ、1年生の秋にはベンチ入り。5、6回ほどだが、試合で投げられるだけの体力を付けていた。

 そして迎えたオフシーズン、ここで戸郷は覚醒の時を迎えた。

 冬場に入ると、課題であった体力強化のためにトレーニングはもちろん、食事にも徹底的に指導していった小田原監督。
 指導を聞き入れ、戸郷の体格は大きく強くなっていく。そうして3月に入り、春の大会が近づくことにはピッチングが見違えるように変化していた。

 「球速が伸びるだけではなく、変化球にもキレが出てきたんです。そうしたら3月末からの春季大会では球速が5、6キロ伸びていて、140キロを超えるようになっていました。ですので、いい意味で冬場の成長はイメージしていた成長曲線ではなかったです」

 ここで1つ殻を破った戸郷は一気にチームのエース格まで駆け上がり、「夏はこの子を中心にチームを回す」と小田原監督のなかでも夏の戦い方は定まった。そして迎えた2017年の夏、聖心ウルスラは2年生エース・戸郷の活躍もあり、見事甲子園へ進む。