目次

[1]努力家の兄の存在が大阪桐蔭入学につながった
[2]プロの先輩・西岡剛のメッセージが浅村を変えた

プロの先輩・西岡剛のメッセージが浅村を変えた



大阪桐蔭・西谷 浩一監督

 大阪桐蔭OBはプロ・アマに限らず、多くの選手がグラウンドに帰って練習を行う。その期間は西谷監督は現役選手にとって大きなモチベーションになると話す。2007年オフ、当時、千葉ロッテのスタープレイヤーだった西岡剛(現ゴールデンブレーブス)もグラウンドに訪れた。

 西岡は練習をする中、プロ志望の浅村の動きをつぶさに観察していた。そして直接指導ができないため、西谷監督を通じて
「西岡は『プロにいきたいけど、今のままでは厳しい。プロはそんな甘いところではないよ』と話したんです。そのことを話してから浅村の意識が大きく変わりましたね。夏の急成長につながったと思います」

 そして最後の夏は甲子園で大爆発。打率.552を記録し強打の1番打者として活躍。華麗な守備を見せる大型遊撃手として評価をグングン高めていき、埼玉西武から3位指名を受け、プロ入りの夢をかなえた。西谷監督は
「お兄さんと西岡の存在がなければプロ入りはなかったかもしれません」と振り返る。改めて浅村は人に恵まれた選手だといえるだろう。

 西谷監督は浅村のプロ1年目、ブレイクを予感させるプレーがあったという。それはルーキーイヤーのフレッシュオールスター(札幌ドーム)だ。
「第1打席はショートゴロでしたが、当てに行ったものではなく、しっかりと振っているんです。これはすごいことで、高校生が大学以上のステージにいくと、打撃がどうしても小さくなる。プロは高校と比べると5段階上ですから、やはりそうなりますよね。ただ浅村は空振りを恐れず、高校時代よりもスイングが大きくなっていました」

 この試合は無安打に終わったが、西谷監督の目論見通り、浅村はプロ5年目の2013年に打点王を受賞し、現在は通算180本塁打を放つスラッガーまでに成長した。ここまでの活躍について、
「あの1年目の振りは西武さんの育成スタイルだと思いましたし、これまでの活躍は西武さんに育ててもらったものだと思います」

 オフにグラウンドに訪れる浅村を見ると、「年々、体が大きくなっていますね」と体格面の成長ぶりに驚く。

 昨年、プレミア12代表にも選ばれ、世界一に貢献した浅村について、「子供たちにとっては憧れの大先輩なので、これからも子供たちが喜ぶような選手であってほしい」とメッセージを送った。

 2008年夏の甲子園で魅せた浅村のパフォーマンスは世代トップレベルとも呼べるような活躍だった。しかし大阪桐蔭に入るまでのエピソードを聞くと、トップレベルに上り詰めるには「志の強さ」が一番大事なことだと教えてくれる。

(取材・文=河嶋 宗一

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