目次
恩師が語るヒーローの高校時代 石川 柊太

[1]入学当時から別格のストレートだった
[2]実は創価大で続けることは寝耳に水だった
[3]あいつは団結力があり強いチームを呼び込む人柄がある

実は創価大で続けることは寝耳に水だった



石川柊太投手(福岡ソフトバンクホークス)

 そして準々決勝では優勝候補として注目されていた二松学舎大附と対決。この試合に先発した石川は、2点の先制点をもらったが、3回裏4番京屋 陽に本塁打を打たれ逆転。強打の二松学舎大附に苦しみ、4回6安打3失点で降板した石川。

 その後、芦田が力投を見せ、接戦に持ち込んだ都立総合工科だが、9回裏にサヨナラ打を浴び、石川の夏はここで終わった。東東京では注目投手に上がり、その後の進路が注目された石川だったが、有馬監督には野球を続けないと告げていたという。
「だから放っておいていたんです。そしたらいつだったかは定かではないのですが、いきなり千葉先生の下に、創価大のコーチから「石川君は化ける可能性を持っているからうちで面倒をみたい」と連絡がきたんです。あいつ、私たちに告げず、創価大の練習会にいっていたんですよね」

 有馬監督にとっては寝耳に水の出来事だったが、こうして大学でも野球を続けることとなった石川。有馬監督は不安な点が多くあった。
「柊太は良い意味で、素朴。純粋さがある選手です。うちは規律が甘いですし、上下関係もあまりない。それで、アイドルが好きで、アニメが好きなように、当時からユニフォームを着なければ今時の高校生でした。そういう子が、一転して、体育会で4年間。プロどころか、まずは大学4年続けて、就職してくれればと思いましたよ」

 卒業後、石川の情報を聞いたのは4年春だった。
「大学に入ってしばらくあいつの情報は全くなかったですね。久しぶりに聞いたのは4年春。大学選手権に出場するという話を聞きまして、それで千葉先生が見に行ったんですよね。そこで好投してドラフト候補になって。その秋ですね、スカウトの宮田 善久さんと一緒にきまして、育成で獲りたいという話になりました。高校では思うように伸びなかったですけど、大学で才能が開花したのは、間違いなく、創価大の指導者のおかげだと思います。それでいて、あいつの人柄は全くすれていなかった。人間的なところもうまく引き出していただき、本当に感謝しています」

 2013年、福岡ソフトバンクから育成ドラフト1巡目を受けた石川。しかし入団2年間は怪我などで投げられない時期が続いた。そして入団3年目。ウエスタンリーグで好投を重ね、7月1日、支配下選手契約を結ぶ。背番号は「29」となった。一軍での登板はなかったが、9試合で4勝0敗、防御率3.00と、好成績を残した石川。オフに石川と再会した有馬監督は石川の人間的な成長に驚いたという。