第39回 石川 歩投手(滑川-千葉ロッテマリーンズ)進路志望が「プロ野球選手」に変わった日【前編】2017年03月23日

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恩師が語るヒーローの高校時代 石川 歩

【目次】
[1]第一印象はひょろっとした子
[2]希望進路は古着屋の店員?
[3]セレクションで堀田コーチが絶賛

 惜しくも準決勝でアメリカに敗れてしまった侍ジャパン。だがそれまで無敗と、素晴らしい戦いを見せてくれた。その勢いを生んだのは、WBC開幕戦という最も重圧のかかるマウンドを任された石川 歩の好投ではないだろうか。結果は4回を投げて2安打1失点。先発として試合を作り勝ち投手となった。その石川は中部大学、東京ガス時代はどちらも全国クラスの投手として注目を集めたが、滑川高校時代は無名の存在だった。

 同世代の田中 将大関連記事坂本 勇人関連記事らが甲子園で活躍する一方、高3の6月の時点でさえ口にした希望進路は「古着屋の店員になりたい」というものだった。日の丸を背負う現在の姿に当時は石川が在籍していた滑川で野球部部長を、現在は富山中部で卓球部の顧問を務める土井 聡先生は「もうびっくりですよね。笑っちゃいますよ。プロ入った時からそうですけど」と喜びの入り混じる驚きを隠せない。普通の公立校の普通の投手でしかなかった石川はどのような3年間を過ごしていたのだろうか。土井先生に話を伺った。

第一印象はひょろっとした子

土井 聡先生(富山中部)

「初めて彼を見たのは中学校3年の時だと思います。中学校最後の大会を観に行ったんですよ。なんかひょろっとしてるな、という印象ですよね。高校入学の時で身長は178cmぐらいかな。体重は56kgしかなかったんですよ、マッチ棒ですよね。中学時代に評判の好投手ということでもなかったと思います。もしそうなら富山商業や富山第一に行ってしまうので。石川の代で入部してきた子が10人だったかな。上の代が9人しかいなくて近年の滑川高校で1番部員が少なった時代です。

 そういうこともあったので、1年生の最初の頃から練習試合では出番をもらってましたね。ベンチ入りは秋からです。本人はどう思ってるかはわからないですけど、上のピッチャーがコントロールが悪かったので、エース格のような扱いを受けていたと思います。2年生の夏に背番号11をもらった時に不満そうだったのをよく覚えてます。1をつけたのは2年の秋からですね。3回戦で負けるんですけど、初めて1をつけたのはその秋だと思います。

 当時から全くガツガツしてるところも無くて。そういうのはあんまり変わってないんじゃないかな。あいつ、野球で泣いたことあるのかな。最後の夏も泣いてたかもしれないけど、多分さらっとしてたんじゃないかな。悔しいとかはもちろんあったと思うけど・・・あ、1回だけ涙を見たことあるのは2年の夏に背番号11番をつけて、氷見という甲子園を狙えるような重量打線のチームとやった試合ですね。

 先輩のピッチャーが打たれて2番手で登板して、ホームラン含む長打3、4本打たれたんじゃないですか。おもしろいように外野に打たれてノックアウトで。その時にベンチ裏で泣いてました。その試合は3番手のピッチャーも打たれてコールド負けしたんですけど、マウンドを降りてベンチ裏で1人でメソメソしてて『また次があるからな』と言って、話したのを覚えてます。そういえば(泣いてるところを)見ましたね。貴重ですね(笑)」

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中部大一 【高校別データ】
滑川 【高校別データ】

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プロフィール

小中 翔太
小中 翔太
  • 1988年大阪府生まれ、京都府宮津市育ち。大学野球連盟の学生委員や独立リーグのインターン、女子プロ野球の記録員を経験。主なWebの寄稿は高校野球ドットコム。また、野球専門誌「Baseball Times」にて阪神タイガースを担当し、スポーツナビやYahoo!ニュースにも寄稿する。大阪、京都を中心に関西の球場に出没中。
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