Column

大阪桐蔭(大阪)編2「大阪桐蔭の強さは一度の負けを糧にできること」

2015.07.03


左から浅村 栄斗選手(埼玉西武ライオンズ)、高校時代の藤浪 晋太郎選手、森 友哉選手

 大阪桐蔭つながりその2。今回は大阪桐蔭の栄光を振り返りつつ、大阪桐蔭の強さの根底にあるものを見出していく。

優勝した代はどの代も先輩たちの代より前評判が低かった

 大阪桐蔭が全国トップクラスの成績を収めるようになったのは2008年からである。この代は中田 翔の世代と比べると、突出した選手はいないと言われていた。だが西武で活躍する浅村 栄斗選手が夏の大会2回戦の石川金沢戦で2本塁打を放つなど、力強い戦いぶりで甲子園優勝を決める。現在この代では浅村選手を含め、社会人でプレーしている選手が3人おり、また大阪経済大に進学し、リーグ戦通算100安打を記録した福島 康平選手など、活躍する選手が多い代である。

 だがこの後は思うような成績を残すことができなかった。2011年夏は、藤浪 晋太郎投手や西田 直斗山足 達也河原 右京などその後プロ、アマチュアで活躍する選手が多く揃い、期待も高かったが、決勝東大阪大柏原に敗れ、甲子園を逃すことに。だがこの負けが藤浪を大きくさせ、2012年春の選抜では初戦大谷 翔平関連記事擁する花巻東と対戦。9対2で快勝し、その後も勝ち進み、決勝では前年の甲子園準優勝光星学院を破り、選抜初優勝を果たす。

 そして2012年夏は、2年生捕手・森 友哉との強力バッテリーで全く太刀打ちさせない投球で、連覇を果たす。攻守に隙がない最強チームと呼ぶにふさわしい素晴らしいチームであった。
森が最上級生になった2013年選抜16強2013年夏16強2013年国体優勝と、実績を残し、2014年夏は、森世代よりも突出した選手がいないと言われる中、チーム力で甲子園優勝を果たす。

 ここまでの軌跡を振り返ると、優勝に絡んだ世代はその前の代より前評判は低い世代だったが、その前評判を覆す活躍を見せている。先述したように浅村の世代は中田 翔の世代よりも個人では劣るといわれ、2012年は大エース・藤浪がいたとはいえ、個人で目立つ選手はおらず、むしろ森の世代の方が目立っていた。そして昨年の世代は森の世代よりも弱いといわれていた選手たちだ。2013年秋4回戦で履正社にコールド負けした経験から始まった代である。だが主将の中村 誠を中心に、エネルギッシュな選手が多くいた。

 大阪桐蔭の強みは、一度の負けの経験を糧として、その後手を付けられない強さを持ったチームに変貌できること。悔しさを次につなげることができるのだ。大阪桐蔭は高校野球で大事なことをしっかりと実践できている。

これが長年、高校球界のトップに君臨し続ける理由だろう。だからこそ、試合開始から試合終了まで全力プレーなどが徹底できているのだ。
この春は準決勝選抜優勝敦賀気比に0対11の大敗、近畿大会初戦彦根東に敗れるなど二度の屈辱を味わった。この2敗を、より大きくなるための糧にできるか。大阪桐蔭の夏に注目してみたい。

このページのトップへ

第97回全国高等学校野球選手権大会
僕らの熱い夏 2015
[page_break:2009年卒~2015年卒までの大阪桐蔭OB]

2009年卒~2015年卒までの大阪桐蔭OB

 卒業生を振り返ると、プロで活躍している選手はもちろん、大学・社会人で活躍している選手が多い。2013年卒以降は、レギュラーのほとんどが大学野球を続けている。甲子園だけではなく、上のレベルで活躍したい、という思いで練習を積んでいるからこそ、次のステージでも活躍できる選手が多いのではないだろうか。

■2009年卒
浅村 栄斗 (埼玉西武ライオンズ)
福島 由登青山学院大–Honda)
萩原 圭悟(関西学院大–ヤマハ
奥村 翔馬(関西大-元NTT西日本
福島 康平大阪経済大卒)

■2010年卒
佐野 力也青山学院大–日立製作所)

■2011年卒
江村 直也(千葉ロッテマリーンズ)
福本 翼(東芝–青山学院大

■2012年卒
西田 直斗 (阪神タイガース)
河原 右京早稲田大
山足 達也立命館大
北川 利生創価大
川端 晃希同志社大

■2013年卒
藤浪 晋太郎 (阪神タイガース)
澤田 圭佑立教大
大西 友也同志社大
平尾 奎太同志社大
水本 弦亜細亜大
白水 健太同志社大
安井 洸貴(関西大)
妻鹿 聖亜細亜大

■2014年卒
森 友哉 (埼玉西武ライオンズ)
久米 健夫(関西大)
笠松 悠哉立教大
水谷 友生也(法政大)
高木 俊希愛知学院大
葛川 知哉青山学院大
高西 涼太拓殖大

■2015年卒
香月 一也 (千葉ロッテマリーンズ)
福島 孝輔同志社大
横井 佑弥國學院大
峯本 匠立教大
正随 優弥亜細亜大
中村 誠(日体大)
森 晋之介拓殖大

関連記事をチェック!
【野球部訪問】大阪桐蔭高等学校(2011年05月27日公開)
【インタビュー】埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗選手(2015年03月20日公開)
【インタビュー】埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗選手(2014年08月26日公開)
【インタビュー】埼玉西武ライオンズ 浅村 栄斗 選手 (2013年04月25日公開)
【インタビュー】大阪桐蔭高等学校 峯本 匠選手(2014年09月06日公開)
【インタビュー】大阪桐蔭高等学校 香月 一也選手(2014年09月01日公開)
【インタビュー】埼玉西武ライオンズ 森友哉選手(2014年03月18日公開)
【インタビュー】亜細亜大学 水本弦 選手(2013年06月13日公開)

このページのトップへ

第97回全国高等学校野球選手権大会
僕らの熱い夏 2015

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.18

【神奈川】保土ヶ谷球場では慶應義塾、横浜が登場!東海大相模は桐蔭学園と対戦!<春季県大会4回戦組み合わせ>

2024.04.18

首都二部・明星大に帝京のリードオフマン、東海大菅生技巧派左腕などが入部!注目は184センチ102キロの大型スラッガー!

2024.04.18

強豪校を次々抑えて一躍プロ注目の存在に! 永見光太郎(東京)の将来性を分析する<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.04.18

【春季埼玉県大会】ニュースタイルに挑戦中の好投手・中村謙吾擁する熊谷商がコールド発進!

2024.04.18

【山形】鶴岡東は村山産業と山形工の勝者と対戦<春季シード決定ブロック大会組み合わせ>

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.15

【春季和歌山大会】日高が桐蔭に7回コールド勝ち!敗れた桐蔭にも期待の2年生右腕が現る

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード