今治西(愛媛)編「夏甲子園出場回数は県2位!公立校ながら安定した強さを誇る今治西のつながり!」
杉内 洸貴、神野 靖大 (今治西)
愛媛県を代表する強豪・今治西。県内有数の進学校でありながら、野球部は全国でも知名度の高いチームであり、甲子園は春14回、夏13回という実績を誇る。夏13回の出場回数は、愛媛県では松山商に続く第2位なのであるが、この輝かしい成績を残す今治西の卒業生・軌跡を振り返っていく。
愛媛県を沸かせた二人のヒーロー「宇高・熊代」
今治西はこれまでに11名のプロ野球選手を輩出しているが、その中では、通算代打本塁打27本の記録を持ち、これが日本記録ならびに世界記録となっている「世界の代打男」こと高井 保弘氏や、東京ヤクルト・巨人などで活躍した左腕・藤井 秀悟氏、そして、埼玉西武の熊代 聖人選手は、現在では唯一の現役選手である。ちなみに、内川 聖一選手の奥様で、元フジテレビアナウンサーの長野 翼さんも、今治西出身である。
初出場の1963年夏でいきなりベスト4入りするなど、全国大会での実績が豊富な今治西。プロへ進んだ藤井がエースになった1995年春にはベスト4進出。その後、1999年春には、強力打線と用意周到な継投リレーで、ベスト4進出するなど、躍進を見せていたが再び知名度が上がるのは熊代が在学していた2005~2007年の3年間である。
2006年夏、2007年春、2007年夏と3期連続で甲子園優勝を達成している。
熊代は3番投手でチームの軸。その時に4番を務めていたのは、後に田中 将大、斎藤 佑樹らと共に全日本代表に選出されることになる、強打の遊撃手・宇高 幸治選手(日本生命)であった。宇高・熊代を擁する2006年の今治西は、甲子園の3回戦で、日大山形と激しい打ち合いを繰り広げ、愛媛県民のみならず、全国の野球ファンを熱狂させた。この試合は、延長13回表に2点を挙げ勝ち越した今治西だったが、その裏に日大山形が3点を取ってサヨナラ負けを喫している。
2007春は2回戦で優勝した常葉菊川に敗れるも、雪辱を誓った夏に、再び甲子園に舞い戻った。熊代は4番・エースとなり、2年連続でチームの主戦として活躍。八代東、近江、文星芸大附を撃破し、チーム26年ぶりのベスト8入りの悲願を達成した。そして迎えた準々決勝では、野村 祐輔―小林 誠司のバッテリー擁する広陵と対戦し、1対7で敗戦したものの、今治西が全国的強豪と認知される大会にもなった。
そのあとだけでも、春は5回、夏は3回も甲子園に進んだ今治西だが、この中で初戦を突破したのは2009年の春のみであり、全国の舞台では今一つ持てる力が発揮されていない。2012年夏には、桐光学園2年・松井 裕樹投手(現・楽天)に22奪三振をマークされ、甲子園記録を打ち立てられてしまった。(レポート)
愛媛県では、長年今治西のライバルとして切磋琢磨する済美、2016年夏にアドゥア 誠(現・広島)がエースとして活躍し、甲子園初出場を果たした松山聖陵の台頭に加え、秋の大会では、同じ公立校で甲子園経験の豊富な西条や宇和島東が上位に入った。
それだけでなく、今治西の元監督で、2度の甲子園ベスト4に導いた宇佐美 秀文監督が指揮をとり、2014年に甲子園に出場した愛媛小松も、この秋は県3位で四国大会に出場。再び上昇の気配を見せるなど、県内にはライバルが多い。
「野球王国・愛媛」を勝ち抜き、まずは2015年夏を最後に遠ざかっている甲子園の舞台に返り咲く今治西は見られるのであろうか。
近年の卒業生
これまでも大学・社会人で活躍する選手を多く輩出。そろそろプロを狙える選手が出てくることを期待したい。
■2010年以前の主な卒業生
高井 保弘(元阪急ブレーブス・代打本塁打世界記録保持者)
藤井 秀悟(ヤクルト―日ハム―巨人―横浜DeNA―巨人打撃投手)
藤田 和男(同志社大-日本生命-横浜DeNA2軍バッテリーコーチ 2018年より同1軍バッテリーコーチ)
宇高 幸治(早稲田実業―日本生命)
熊代 聖人(日産―王子製紙―埼玉西武)
■2010年卒
瀧野 光太郎(立命館大―トヨタ)
■2011年卒
日野 玲央奈(岩手大)
■2012年卒
合田 亮弥(東海大)
矢野 敦士(同志社大)
■2013年卒
中内 洸太(関西学院大―王子)
池内 将哉(立命館大)
■2014年卒
中西 雄大(関西学院大)
田頭寛至(龍谷大)
檜垣 孝明(同志社大)
石垣 敦行(龍谷大)
■2015年卒
越智 樹(同志社大)
若狭 大地(筑波大)
神野 靖大(関西学院大)
■2016年卒
中内 理貴(関西学院大)
杉内 洸貴(同志社大)
吉原 裕之介 (青山学院大・準硬式)
藤原 睦来(関東学院大)
秋川 優史(立命館大)
■2017年卒
山内 敦也(同志社大)
杉野 彰彦(高知工科大)
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