Column

【三年生座談会】県立日立第一高等学校(茨城)【後編】

2015.09.20

 前編では塙 拓大主将、赤津 健太郎選手、渡辺 文弥選手、山舘 慧汰選手の4人に新チームスタート時から夏の大会までを振り返っていただいたが、後編では日立一の3年間はどんなことにこだわって日々、練習に取り組んできたのか。そして後輩たちへ伝えたいこと、自分にとって高校野球はどんなものだったかを教えて頂きました。


左から塙 拓大主将、赤津 健太郎選手、渡辺 文弥選手、山舘 慧汰選手(日立第一高等学校)

限られた環境で「自分にできること」を考えつづけた

山舘 慧汰選手(日立第一高等学校)

――普段の練習では他部活との共用グラウンドで、内野ぐらいの広さでしか使えない時もあるとのことですが、限られた環境で無駄にしないために日々、どんな思いで練習をしていましたか。

 やっぱり私学とかは、専用のグラウンドがあって、外野も使えると思いますけど、自分たちは毎日他の部と共有してやっているので、できない環境にあるのですけど、それを言い訳にしてやっているようでは勝てないと監督の中山先生から言われていました。だから環境のせいにはしないことは心掛けていました。限られた環境の中でどのようにしてやるのかを考えてやっていました。

赤津 僕は投手で、ベンチがほとんどでしたができるだけ準備はしっかりとしていました。打撃練習の時、投手は野手とは違ってトレーニングする時間があって、メニューも自由なのですが、その分、責任が生じます。中山監督から試合の8割は投手で決めるといわれていますし、マウンドを任される責任の重さがある。自分の投球が試合を左右するんだという思いで一日の練習を無駄にしないというのを心掛けていました。

渡辺 冬の練習の時に選手の理想像を一人ひとりが決めるのですが、目標を達成するには何をすればよいのか、考えていきました。

山舘 私学と違って、専用の球場はないのですが、いろいろな方に多くのことを教わることができました。僕は恵まれた環境で出来ると思いながらやっていました。

 限られた環境の中でも、環境のせいにしない。自分たちはどんな選手になっていきたいのか、それを考えてしっかりと取り組んでいたのだ。

僕らの熱い夏 2015

このページのトップへ

[page_break:日立一の3年間はかけがえのない時間]

日立一の3年間はかけがえのない時間

練習に取り組む選手たち(日立第一高等学校)

――そして夏の大会が終わって後輩たちに伝えておきたいことは?

 悔いを残さないようにということですね。僕は甲子園にいけなかった悔しさはありますが、自分たちがやってきたことに悔いを残すことなく終えることができて良かったです。

赤津 準優勝したことで、後輩たちも期待されると思うんですけど、僕たちの場合、一戦一戦を大事に戦っていたからこそ夏の準優勝につながったと思いますし、彼らには足をすくわれないように一戦一戦を大事に戦ってもらいたいと思います。

渡辺 結果が出ない時もあるんですけど、自分はどういう選手になりたいのかを見失わずに取り組んでほしいと思います。

山舘 僕はあまり試合には出られず、一塁コーチャーが中心でした。でも選手一人ひとりにそれぞれの役割がありますので、任された役割をしっかりと全うしてほしいと思います。僕らの代はそれができたと思います。

――では最後に、高校野球は自分たちにとってどんなものでしたか?

 結果としては準優勝でしたけど、結果が出るまでに、つらいことであったり、やりたくない嫌な練習もたくさんやってきました。それも仲間と一緒に乗り越えてきて、準優勝につながった。この経験は今後の人生につながるものだと思います。

赤津 先輩たちから2年間半はあっという間だよと言われていて、現役当時はあまりピンときていなかったのですが、実際に終わってみて、先輩たちが言いたかったのは本当だなと思いました。仲間たちと過ごした2年半はとてもかけがえのない時間で、一日一日を大切にできたなと思いました。だからこそ、こういう結果になったと思います。

渡辺 この2年半は自分にとってかなり濃い時間を過ごすことができました。この学校でやれて本当によかったと思います。

山舘 高校野球は注目されるスポーツだということが改めて分かりました。最初の頃はあまり分からなかったのですが、最後の夏は勝ち上がったというのもあるんですけど、勝ち進むごとにいろいろな方が見てくれて応援していただき、自分にとって励みになりました。決勝まで試合ができたのは本当に幸せだったと思います。

 なかなか勝てない中でも、結果にこだわりすぎず、過程を大事にして自分がやるべきことを1つずつ積み重ね、夏準優勝を勝ち取った日立一の選手たち経験は大きなものになっていくだろう。積み重ねの大事さを知った彼らは次のステージでもこの夏のように粘り強く活躍できるはずだ。

僕らの熱い夏 2015

このページのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.16

【群馬】前橋が0封勝利、東農大二はコールド発進<春季大会>

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.16

社会人野球に復帰した元巨人ドライチ・桜井俊貴「もう一度東京ドームのマウンドに立ちたい」

2024.04.17

「慶應のやり方がいいとかじゃなく、野球界の今までの常識を疑ってかかってほしい」——元慶應高監督・上田誠さん【新連載『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.1】

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.11

【埼玉】所沢、熊谷商、草加西などが初戦を突破<春季県大会地区予選>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード