【センバツ出場校分析】奈良大学附属高等学校（奈良）

坂口 大誠（奈良大附）

【チーム構成の特徴】

秋季大会登録は20人。その内、右投げ左打ちは2人で、左投げ左打ちは3人。レギュラー格は3人が左打者。
奈良県出身は18人で、残り2人は隣の大阪府出身。学校所在地の奈良市出身は2人。

【ディフェンス面】
エース・坂口 大誠が絶対的な柱。8試合全てに登板して4完投。中でも近畿大会1回戦の京都鳥羽戦では2安打完封を果たしたピッチングが光る。
投球イニングは53回1/3で防御率1.35。さらに自慢の制球力は、与四死球率1.52の数字が示している。これは32校の主力投手の中で4位。坂口が完投した4試合に限っての与四死球は1個か2個であった。
1試合平均許盗塁は0.42で、32校中7番目に少ない。特に近畿大会の3試合に限っては捕手・髙橋 康太朗が一度も盗塁を許さなかった。
失策も近畿大会3試合は1個だけと秋終盤になって安定してきた印象を受ける。

【オフェンス面】
チーム打率0.2929は出場32校の中で27位。全70安打に占める長打の割合は30.0%で、こちらは9位にまで上がる。
唯一の本塁打を放ったのが3番を打つ主将の池田 陵太。近畿大会1回戦の京都鳥羽戦では、8回まで0対0の投手戦だったが、9回に池田が放った2ランが決勝点となった。打率トップは0.406の2番・前田 勇大で、池田への繋ぎ役として貢献した。

チーム全体で際立つのが三振で、1試合平均2.63は32校の中で3番目に少なかった。試合別に見ると奈良県大会決勝の天理戦での5三振が最も多く、他は全て3個以内だった。
また8番・松下 侑平は打率0.100ながら、7四死球を得て、出塁率は0.321まで上がる、その差0.221は32校の主力選手の中で2番目に高い。打率がもっと上がれば、数字のインパクトはもっと増してくるだろう。

【戦い方から見える傾向】

夏の奈良大会は準々決勝で畝傍に完封負け。エース坂口 大誠が3安打に抑えながら、犠牲フライによる1点で涙を飲んだ。エースが残った新チーム最初の実戦は7月31日。当初は継投で試合をこなしていったが、8月13日の立命館宇治との練習試合で坂口が完投して以降は、一定の間隔でエースが1試合を1人で投げ切るように配慮されている。結局7試合で完投して、秋の大会に入った。

奈良県大会でも坂口は先発のマウンドに上がるが、最初の2試合は点差が開いたこともあり、中山 怜央へと継投されている。準決勝で奈良北を破って近畿大会出場を決めると、順位決めのための決勝では、坂口が初めて先発せずリリーフに回った。どの試合が勝負をかけるポイントかを見極めた起用法だったことが窺えるデータだ。
公式戦8試合中、コールドゲームは3試合。1試合あたりの平均イニングは8.13だった。

秋の大会が終わった後の11月も6試合の実戦をこなしたが、ここでは坂口の登板はなかった。