【センバツ出場校分析】天理高等学校（奈良） 　

貞光 広登（天理）

【チーム構成の特徴】

秋季大会登録は21人。その内、右投げ左打ちは6人で、左投げ左打ちは3人。スイッチヒッターも1人いる。レギュラー格は4人が左打者。
奈良県出身は6人。その内、学校所在地の天理市出身は附属中学卒業の2人。県外では、隣接する大阪府出身者を中心に近畿地方が多い。また九州地方出身も3人いる。

【ディフェンス面】
投手陣は秋前半、上級生の齋藤 佑羽が主戦として活躍。近畿大会に入って下級生の森浦 大輔が台頭してきた。
齋藤は9試合に登板して3完投。53イニングで防御率は1.53。森浦は24イニングで防御率3.38だったが、近畿大会準々決勝で大阪桐蔭を2失点完投した試合が光る。
バックは1試合平均失策が0.70で32校中、7位。前半の4試合と、近畿大会決勝、それに初めて敗れた明治神宮大会初戦が無失策だった。内野手では投手である齋藤を除き、わずか2つしか失策をしていない。
また1試合平均許盗塁は0.40でこちらは6位だった。

【オフェンス面】
チーム打率0.32938は32校中、15位。全111安打に占める長打の割合は21.6%でこちらは24位となっている。
1番の舩曳 海は打率0.262とやや苦しんだが、四死球11を得て、出塁率は0.415まで上がる。また全出場選手の中で2番目に多い11盗塁を成功させた。舩曳の打率が上がれば、13打点の3番貞光 広登、10打点の4番・坂口 漠弥の数字がもっと上がると考えられる。

その坂口は、3本塁打を放つなど長打率が0.703。四死球も10個あり、出塁率は0.532。夏は奈良県大会タイ記録となる4本塁打を放った強打者だけに、秋はマークされた中でどれだけ活躍できたかを示す数字と言えるだろう。

近畿大会までは強打を見せてきた天理だが、明治神宮大会で仙台育英の佐藤 世那に対し6安打1失点と初めて完璧に抑えられた（試合レポート）。さらにこの試合では12三振、近畿大会の大阪桐蔭戦（試合レポート）では田中 誠也から10三振と、今大会でも奪三振率上位の投手に対してはやや多くなった印象もある。

【戦い方から見える傾向】
夏は奈良県大会決勝で敗退。新チームの実戦スタートは8月8日だった。そこから31日の敦賀戦で引き分けるまで22戦全勝。奈良県大会、近畿大会と無敗で勝ち抜き、明治神宮大会前の練習試合も連勝。神宮での仙台育英戦が新チーム最初の黒星となった。

秋を勝ち抜く上で、最大のサプライズだったのが下級生・森浦 大輔の存在。夏の奈良県大会では決勝で先発した左腕だが、秋に入ってからは奈良県大会2回戦の五條戦で二番手として投げただけだった。それが近畿大会では初戦の報徳学園戦でリリーフすると、大阪桐蔭との準々決勝で先発のマウンドに上がっている。8月31日のいなべ総合との練習試合以来の先発だったが、見事2失点に抑えて完投した。逆に大阪桐蔭はデータが少ない森浦に対し、15個のフライアウトと完全に戸惑った印象。天理サイドの戦略勝ちだったと言える試合だろう。
公式戦11試合中、コールドゲームが3試合。1試合当たりの平均イニングは8.27だった。